第5話 予想外の死(部下)
先ほど僕は「死闘を始めよう」とは言ったが、正直そこまでこの戦闘を長引かせるつもりはない。
だって今展開してる簡易領域、魔力の消費えげつないんだもの。すでにボスを吸収して魔力量は増えたと言うのに全魔力量の半分消費してしまっている。
別に尽きるまで魔力使ってもいいけどあれってなんかだるいんだよね。
5徹した後に二日酔いにかかったみたいな怠さがするんだ。二日酔いしたことないし知らんけど。
――《瞬壊》
その場で手を銃型にし、一言。
「――バーン」
その、この場に合わぬ光景を呆然と見つめる一人。
僕が指先を向けた人がその言葉を聞いた瞬間その場で心臓を抑えうずくまった。
「お、お前!何をした!!」
僕がやったことは単純明快。指から僕の魔力を超圧縮した弾丸を飛ばしただけ。
効果は単純、当たったところから徐々に体が崩壊していく。まぁ本当に徐々にでそれ自体はあんまり効果ないといっても過言ではないんだけども。
だけどこれ、実質込める魔力量に制限がないから重宝してるんだよね。
理論上、僕の全魔力を込めることもできるし、それをすればたぶん東京一個は壊滅する。
それに、一回魔法陣を構築すればあとは発動句一個で何回も撃てるし。いや発動句なしでも撃てるけどかっこいいじゃん?だから必要にしてるの。
「次は君で行こうか」
今僕に問いかけてきた馬鹿に指を向ける。
込める魔力量はまぁ体感残り魔力量の3割くらいかな。
この魔力量だと結構弾丸も大きくなるし何人か一気にやれるでしょ。
次の起動句は、、、
「——ファイア」
起動句に合わせて火属性も加えてみたけど、撃った後思う。
やりすぎた。あきらかにやりすぎた。
だってほら、周り全て焦土になっちゃったもん。
あ、ほら。この光景を見て隊長くん(推定)わなわなと震えてるよ。
すげぇや、超音波洗浄機みたい。
「お前は、、、お前は人を殺すことにどうとも思わないのか!!」
「特に何とも思わないよ?他人の生死なんてなんで僕が気にしなきゃならないのさ。それに、この領域内にいる間は君たち絶対に死なないからね」
「なっ?!」
おーおー、びっくりしてるね。
でもわかるよ、その気持ち。僕もいきなり「絶対に死なない」なんて言われたらそんな反応する自信あるしね。それと同時に暴れまわる自信ある。死なないなら好き勝手してみたいじゃん?
「お前は、、、人としてくるっている。俺でも人殺しには抵抗を持つというのに」
あ、そっち?おどろいてるのそっち?
えー、特に人殺してもどうとも思わないのってそこまで変?
別に他人が生きようが死のうが自分の知ることではなくない?
「僕の攻撃で死ぬってことはそれだけ相手が弱いってことでしょ?つまり相手が僕よりも強くなるための努力を怠わったってことだよ。まだダンジョンに入れるようになって一年もたってない僕に負けるって、それって相当努力を怠わったってことじゃないか。そんな奴が死んだからって僕は何も思わないよ。、、、まぁ無関係の一般人が死のうと僕は興味ないけど」
うん、まるっきり本心。別に誰が死のうが興味ないね、僕。
まぁ僕が気に入った人間が殺されたりしたら僕も怒るかもしれないけど。
「そうか、、、一応聞いておく。俺はここで何があっても死なないんだよな?」
「多分ね。この魔法も権能も使ったの初めてだから断言はできないかな。ほら、この魔法に使った魔力量を超えた攻撃を僕がしたら『死』っていう概念も復活すると思うよ。あとは、、、さっきの【瞬壊】とか当たったらかな。これは完全に予想外だけどね」
うん、そうなんだよ。
なんかさ、そこに倒れてる僕が初めに【瞬壊】を当たったモブAくん、胸から崩壊が始まってるんだ。いやぁ、この魔法で起きる『崩壊』は『死』とは違うんだね。
こう、なにかな。『肉体』が『崩壊』して結果的には『死』ではなく『消滅』する的なサムシングなんだよ、たぶん。今知った。【瞬壊】すげぇや。
「んなっ?!」
あわてて崩壊の始まったAくんを支えるボス君。
いいね、その絆。そんなの目の前で見せられたら妬いちゃうよ。
――《陽炎》
あたりに高熱の霧を蔓延させ、その場に長くいられないようにする。
ぶっちゃけこんなことしないでも簡単に倒せるけど僕は今決めたんだ。こいつだけはフィジカルで倒すって。
深層に挑戦するんだ。こいつくらいは簡単に倒せるようにならないとね。
存分にこの人の持つ技術を吸収させてもらおう。
「ほら、そんなとこに長くいたらこんがり焼けちゃうよ。さっさとかかってきな。もう僕は魔法使わないから」
「そんなこといってられるかよ!おい!!佐藤起きろ!!!」
「た、隊長、、、俺のことはいいから行ってください。お嬢の願いを、、、グっ」
「さ、佐藤!!!」
うーん、なにこれ。僕は何を見せられてるの??
そんなに仲間って大事?そんなに足手まといって大事かな。
僕そんな奴が仲間にいたら即座に首飛ばす自信あるよ。
、、、でも、いいなぁ、それ。僕もそんな仲間ほしいよ。
僕と対等な力を持った仲間、欲しいよ。切実に。
「、、、はぁ。わかったよ、この試合が終わるまでこの空間から『崩壊』という概念も消そう。失った部位はたぶん治らないけどそれでたぶん大丈夫でしょ?」
「あ、ありがとう!!」
そうして、僕はまた行使する。
この領域内でのみ許された僕の権能を。
まだまだ使い慣れておらず、不安定なその権能を。
――《理滅法統》
ぐっ、頭が。やっぱり駄目だね、慣れてない力を多用するっていうのは。
それも現在進行形でそこに発生してる『概念』を消そうとするのは少なくとも今の僕には負荷が大きい。
あぁ、ほら。視界が赤く染まっちゃったよ。なに?血でも出てきたかな。
ははっ、視界が染まっちゃう。これじゃあ前がよく見えないよ。
「お前、、、大丈夫なのか?」
「なにが、だい?」
「その、、、俺らを助けるために魔法を使ってから目から血が――」
「――違うね。僕がこの権能を使ったのは君たちを助けるためじゃない。僕が君の技を吸収するためだよ。君、さっきのままじゃまともに戦ってくれそうになかったじゃん」
ぜんぜん大丈夫じゃないんだけど、これたぶん悟られたら戦ってくれないよね。
幸い、昔からやせ我慢は得意なんだ。なにせする機会も多かったからね。ふふふ、僕のやせ我慢の技術の見せ所だよ。
これくらいのハンデがあったほうが、きっと戦いも楽しいさ。
「それじゃあ、行かせてもらうよ」
「、、あぁ、肩を借りるつもりでいかせてもらう」
「どっちかというと、僕が技術を盗む側だけどね」
こんどこそ、この言葉通りだ。
――さぁ、死闘を始めよう
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ 山〇組総長目線 ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
何が起こったかは分からない。
だが、戦いは俺が蹴飛ばされるとこから始まった。
反射的に受け身を取ったが、それでもクレーターができるほどには強い力で蹴られたため、体中が痛い。
だけど、今の攻撃を食らったからわかる。
本来、あいつの力はもっと強いのだろう。
だけど、今のあいつは俺の部下を助けるために『権能』とやらを使い、消耗している。
叩くなら、今がチャンスだと、俺はそう思っていたが、このガキは負傷してなお俺よりも力が強い。
だがそこには、技術がない。俺にはある技術がない。
自慢ではないが俺は柔道、空手、テコンドーなどあらゆる武術で世界大会一位を取っていた。
こいつがそのことを知っているかはわからねぇが、俺に技術があることだけは見抜いていたのだろう。それこそ、あの黒瀬の小僧が生まれるまでは最強だった、そんな俺の技術を。
即座にその場を飛びのき、全身の力を抜く。
リラックスしたように体をだら~んってさせ、攻撃にいつでも反応できるようあたりに意識を向ける。
「ははっ!今の攻撃で受け身を取るなんて!僕びっくりしたよ!!」
「ならこれで勘弁してくれ!!俺はお前に勝てるビジョンが見えねぇんだよ!!!」
ったく、話しながら攻撃を逸らし続ける俺の身にもなってくれ。
技術が伴っていないとはいえ、力だけは強いんだ。その攻撃を受ける俺の腕がしびれるんだよ!!
連撃の隙をみつけ、みぞおちに掌底を叩き込む。
この攻撃の強さから察するに、内部に衝撃を与える系以外の攻撃はこいつには通用しない。
「グッ――」
「――食らいやがれ、《破嵐旋脚》!」
ダメージで後退しているところに、俺の持つ技の中でも強力な部類の蹴りを放つ。
我ながら大人げないと思うが、これくらいしないとこいつには勝てないしダメージを与えることさえできないだろう。
「いいねいいね、そういう技が見てみたかったんだ!」
「けっ、変態が」
なんだよなんでそんな技を食らって満面の笑みしてるんだよ。やめてくれよ勝てる気しねぇよ。
お願いだから倒れてくれ。お嬢の願いをかなえさせてくれ。お前の無事を願っているというのになんで俺がお前を無事じゃなくさせなきゃならんのだ。
別に俺が倒せるとは思わんがかといってお嬢の願いを反故にするわけにゃいかんのだよ。そんなことしちゃ黒瀬家御頭首に《〇口組全員殺されてしまうんだよ。
「あぁーあぁー、こういう感じかな?――」
その場で蹴りを試していたガキが言う。
そして、俺はそのあとの言葉を聞いて、唖然とした。
「――その技、もらったよ。《滅嵐瞬閃》」
俺の技とは少し違う技名。
されど、その小僧の言う通り技は完全に盗まれた。
この技を習得するのに俺でさえ6年かかったというのにこの小僧は、、、
と、そんなことを考えながら完全に昇華されたその技で、俺は意識を落とすのだった。
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現在、研修旅行中。
書きダメがなくなったんでホテルで急いで書いてます。
このためにサブPC持ってきててよかったぁ。
先生にばれたらおしまいだけどね()
主人公君、どうやら技の盗みが得意なようです。
強いね、主人公君。だてに主人公最強のタグを背負ってない。
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