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魔法生物で水上レース!〜異世界でボートレース始めました〜  作者: 吉良 鈴
波間に揺れる六色の夢

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17/35

#17 湖の公式レース

魔道障壁に包まれた湖面に、六艇のオルカヌーが並ぶ。

第1回オルカヌーレース――ついに幕が上がる。


「さあ、スタート展示です! 各オルカヌーのスタートタイミングに注目!」


1枠・白のオルカヌーが静かに加速し、スタートラインをぴたりと越える。

2枠・黒はやや早めの仕掛け。3枠・赤は鋭く通過。4枠・青はミネスの手綱で完璧なタイミング。

6枠・緑は慎重な立ち上がり。

そして――5枠・黄が、わずかに早くスタートラインを越えた。


「おっと! 5枠・黄、スタート展示でフライングです! 本番では気をつけたいところ!」


展示タイムが記録石に刻まれる。

白:0.09、黒:0.12、赤:0.11、青:0.09、黄:Fフライング、緑:0.14


「青のミネス、さすがのセンス! 展示でも安定したスタートを見せました!」


続いて周回展示。

騎手たちは一周を使い、湖の風と波を確かめる。南西の風、波は穏やか。


「周回展示に入りました! 旋回性能、艇の安定感、そして風の読みが試される!」


白は内側を守るように丁寧な旋回。

黒は外から煽るような軌道。赤は直線で突き抜けるが、ターンではやや膨らむ。

緑は切れ味のある切り返し。黄は逃げの構えを維持し、青はターン後の加速に磨きをかけていた。


「白は堅実、黒は攻め型、赤はスピード型、緑は差し型、黄は逃げ型、そして青は……まくり差しの気配あり!」


観客たちは魔道券を投じながら、ざわめきを増していく。


「投票締め切り5分前です! お買い忘れはありませんか? 魔道券はお早めに!」


湖畔のアナウンスが響くと、観客たちは一斉に魔道券売機へと足を速める。


「赤と緑の一騎打ちだな……でも青の差しが怖い」

「黄、展示でフライングだったけど本番は逃げるかも」

「白が展開に恵まれれば……いや、黒の煽りが気になる」

「青、展示タイムも良かったし……ミネスならやってくれるかも」


魔道券を握りしめた手が、迷いながらも記録石へと伸びる。

最後の一枚を投じる者、何度も見直す者、仲間と相談する者――湖畔は予想と緊張の熱気に包まれていた。


「ただいまをもちまして、投票を締め切りました!」


魔道券売機の光が消え、記録石が静かに沈黙する。


そして――ファンファーレが鳴る。

湖西の楽団が奏でる旋律が、空気を震わせる。


「さあ、いよいよ本番! 第1回オルカヌーレース、スタートです!!」


騎手たちが再び入場。

インコースには1枠・白、2枠・黒、3枠・赤。アウトコースに4枠・青、5枠・黄、6枠・緑。

枠順の変更は無しだ。

それぞれが少し後ろから、スタートタイミングを狙う。


湖畔の大時計が、カウントを始める。


「5……4……3……」


オルカヌーが加速する。水面が震える。


「2……1……スタートォォォ!!」


全艇、完璧なタイミングでスタートラインを超えた。フライングなし。


「スタート決まりました! 黄、今度はしっかり合わせてきた! 逃げる逃げる!」


黒が外から煽る。赤が直線で並ぶ。白は内を守る。緑がターンマークで差しにかかる。


青は、ミネスの手綱でぴたりと加速。インの流れを見ながら、冷静に位置を取る。


「青は好位置! ミネス、展示と同じく完璧なスタート! 差しの構えだ!」


第一ターンマーク。

黄が先頭で回る。赤と黒が外に膨らむ。緑が内から差し込む。白は粘る。


青は、まだ後ろ。


第二ターン。

緑が黄に並ぶ。赤が外から巻く。黒が失速。白が内を守る。


「緑が並んだ! 黄と競り合い! 赤が外から巻く! 白が粘る! そして……青が動いた!!」


最終ターンマーク。

青が内から差しにかかる。白の懐に飛び込む。緑と黄が競り合う外側を、青のオルカヌーが一気に抜ける。


「青が来た! まくり差しぃぃぃ!! 水面を裂いたぁぁぁ!!」


ゴールライン。

青が一番に駆け抜ける。


「勝者は青! ミネスと青のオルカヌーが、まくり差しで第1回王者に輝きましたァァァ!!」


湖畔が歓声に包まれる。

ファンファーレが再び鳴り響く。

ミネスが興奮したようにオルカヌーの上に立ち上がる。


「やったぁぁぁぁ!! 勝ったぞぉぉぉ!!」


両手を大きく振り、観客席に向かって満面の笑みで叫ぶ。

湖畔からは拍手と笑いが巻き起こる。


「ミネス、立つなって! 危ないってば!」

「調子乗りすぎだぞー!」


隣を走っていた赤の騎手が、軽く赤のオルカヌーで青のオルカヌーを突く。

緑の騎手も「お祝いだ!」とばかりに水しぶきをかける。


「アッ、ちょっ、やめ――」


バランスを崩したミネス、見事に湖へダイブ。


「ぶはっ……! またかよ……!」


ずぶ濡れのまま水面に浮かび上がるミネス。

青のオルカヌーは、何事もなかったかのように静かに漂っている。


観客席は爆笑。

他の騎手たちも、オルカヌーの背で肩を震わせて笑っている。


「格好つかないな……まったく……」

ミネスは苦笑しながら、青の背に手を伸ばす。


「でも、最高だった!ありがとう、みんな」


湖は、静かに波を揺らしていた。

第1回オルカヌーレース――幕を閉じる。

ひとまず、これが章の区切りとなります。

次回は間話となります。間話を飛ばして次の章を読んでも大丈夫です。

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