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魔法生物で水上レース!〜異世界でボートレース始めました〜  作者: 吉良 鈴
波間に揺れる六色の夢

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12/35

#12 湖畔の再会

ムウが作ってくれた資料を抱えて、僕は領主邸の門の前に立っていた。


「すみません、領主様にお話が……」


門番は眉ひとつ動かさず、首を横に振った。


「アポのない訪問は受け付けておりません。お引き取りを」

「でも、これを見ていただければ……!」


資料を差し出す僕に、門番は一歩前に出て、静かに言った。


「平民が勝手に湖を使って騒ぎを起こしていると、すでに報告は上がっています。これ以上の無断行動は、処罰の対象になりますよ」


……そりゃそうだ。

ただの平民が、湖に魔道障壁を張ってレース場を作って、賭けまで始めようとしてるんだ。

アポなしで突撃したって、話を聞いてくれるはずがない。

僕は資料を抱えたまま、トボトボと湖畔へ戻った。

夕暮れの光が水面に反射して、青いオルカヌーが静かに浮かんでいる。


「……どうしようかな」


そのとき、湖のほとりに立つ人影が目に入った。

あのときの、お嬢さん――緑のオルカヌーに乗ってくれた、あの貴族の少女だ。

彼女は湖を見つめていた。風に揺れる髪が、夕陽に照らされて金色に輝いている。

僕は、少しだけ迷ってから声をかけた。


「ねぇ、またオルカヌーに乗ってみない?」


彼女は振り向かずに言った。


「……もう私が貴族だって分かってるんでしょう?」

「うん。でも、今は騎手としてお願いしてるんだ。今度はぐるっと周回するんだよ。試運転してるんだ。もちろん、魔法は禁止でね」


彼女はくすくすと笑った。


「しょうがないわね。私も魔法を使ったし、少しは手伝ってあげる」


僕は青に、彼女は緑に乗って、湖面を滑った。

夕暮れの湖を、2艇のオルカヌーが並んで走る。

魔法も、貴族も、平民も関係ない。ただ、風と水と、オルカヌーの鼓動だけがそこにあった。

暗くなるまで、何度も周回した。

彼女は笑っていた。僕も、少しだけ泣きそうだった。

そうしているうちに、湖畔に馬車が止まった。


迎えが来たようだ。降りてきたのは、彼女の妹とメイド。

僕は、ようやく気づいた。


「……領主の娘、だったんだね」


彼女は少しだけ困ったように笑った。

彼女は領主一家、レイグラン家の長女、ナディア・レイグラン。


「そうよ。でも、今は騎手として乗ってたの。それだけは、忘れないで」


僕は頷いた。それでも、覚悟を決めて口を開く。


「じゃあ、騎手として――もう少しだけ、僕の話を聞いてくれない?」



彼女は妹とメイドに目配せをして、静かに言った。


「……話して。私も騎手ですもの。」




領主邸の応接間は、静かだった。

壁には古い地図と、湖の絵。

窓の外には、ミネスが整備した桟橋が小さく見える。

ミネスは、資料を胸に抱えて立っていた。

その向かいに座るのは、領主、パドール・レイグラン。


重厚な椅子に腰掛け、腕を組んでナディアを見ている。

「……随分、遅かったなナディア。」


ぴちぴち、ちゃぷちゃぷ、らんらんらん♪ってめちゃくちゃ語感がいいですよね

口に出して言いたくなる

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