#11 資金と領地と魔道障壁
「……金が足りない」
誰の心の声が漏れてしまったのかは分からない。けれど、ここに居た誰もが思っていたその一言が、湖畔に集まった僕たちの空気を一気に重くした。
ムウノスが魔道盤の前で肩を落とす。
「魔力制御石が尽きた。障壁の安定化に使いすぎたかも。予備もないし、工房の在庫も底をついてる」
兄も、手にしていた帳簿をパタンと閉じた。
「楽団と実況の手配も、資金がギリギリだ。魔道券売機の設置数を増やすなら、魔力転送盤も追加で必要だし……屋台の配置も、資材が足りない」
僕は唇を噛んだ。
レース場は完成した。観覧席もある。魔道券売機の試作も順調。
でも、肝心の“運営”が回らない。
所詮、僕らは寂れた湖畔の町の土産屋なのである。ド平民で裕福なわけはない。
「……資金調達、どうする?」
兄は腕を組み、湖面を見つめた。
「町の商人たちから少しずつ出資を募る手はある。けど、今の規模じゃ焼け石に水だ。今更すぎるが、湖を使っている時点で領地の問題が出てくる」
「領地……?」
ムウノスが顔を上げる。
「この湖って、領主一家の管理地だよね。派手にレース場作ったからバレちゃったかも」
僕は背筋が冷えた。口角もピクピクしている。
「……それ、まずいんじゃない?」
兄はため息をついた。
「昨日、領主の使いが来たんだ。“湖の使用について正式な許可を得ていない”って。今は黙認してるけど、イベントが大規模になれば、黙ってはいられないだろうな」
「じゃあ、交渉するしかない……?」
「そうだな。でも、領主一家は保守的だ。魔道障壁や賭け事には慎重だし、何より“湖を騒がせるな”っていうのが基本方針だ」
僕らは青のオルカヌーを見た。
静かに浮かびながら、キューと鳴いた。
「……でも、あの子たちが走る姿を、もっとたくさんの人に見てもらいたいんだ」
兄は少しだけ笑った。
「なら、領主を説得するしかない。金も、場所も、全部まとめてな」
ムウノスが魔道盤を閉じながら言った。
「……交渉用の資料、作ってみるよ。魔道障壁の安全性と、町への経済効果をまとめる」
僕は頷いた。
「よし。じゃあ、僕は――
領主一家との勝負だ」
『えっ!?』
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……そう、どんな世界でもバトルで決着が着くのですよ




