プロローグ
『英雄になりなさい。それがあなたに与えられた使命です』
今のは夢?
魔王になれってどういうこと?
私ただの人間だしなれるわけが・・・・・・
ここはどこなの!?
「旦那様、奥様、元気な女の子です。おめでとうございます」
横を見るとメイド服を着た老婆が微笑みながら話していた。
もしかして私生まれ変わったの!?
転生とか本当にあったんだと感心していると、2人の男女が私の顔を覗き込んできた。
「美しい金髪に透き通るような青い瞳、間違いなく私たちの子だ」
「もう貴方ったら、当然よ! こんな可愛らしい子が私たちの子供じゃなかったら信じられないくらいよ」
私の前でイチャイチャしないで欲しい、本当に。
私は前世で彼氏いない歴=年齢だったのだ。
だが私の両親はどちらも優しそうな人で良かった。
そうして私は幸せに包まれながら目を閉じた。
◇◆
「お嬢様そろそろご就寝の時間です。夜更かしは身体に障りますので」
「わかったわ。ありがとう」
私は7歳になった。
私の名前はニア・アーデライトと言い、私が生まれたアーデライト家は伯爵という上級貴族の家らしい。
私のいるアーデライト家は他にもグラニスお父様、イーナお母様、ロデオお兄様、カリナお姉様が居る。
家族に囲まれて、貴族でも平民でも家族愛があるということが実感できた。
私が想像していたとても厳しい貴族の印象とは違い、とても充実した毎日を送ることができている。
最近は勇者や名を残した冒険者の英雄譚を読んでいる。
英雄譚は本当におもしろい。
主人公が苦戦していた魔物を倒した時の爽快感がたまらない。
そして、英雄譚を読んでいてわかったことがある。
この世界にはクラスというものが存在し、人々はそのクラスに合った職業に就く。
クラスによって出来ることや使えるスキルが異なるため、それぞれ重宝されている。
スキルというものがよく分からなかったが、お兄様に聞いてみたところ、人が使える特殊な能力だそう。
英雄譚を読んでいるうちに私は剣聖というものに強く心を惹かれた。
剣聖は魔法は使えないが、スキルと剣術を駆使して戦うのだそう。
素直に憧れた、と言ってもいい。
貴族の娘である私が思うのも変かもしれないけど、その将来に夢を感じた。
夢で思い出したが私が生まれ変わった時に聞こえてきた声、『英雄になることが使命』と言っていた。
ちょうどいい、明日お父様に相談しに行こう。
そう決めた私はゆっくりと眠りに落ちていった。