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第3話 トップスレイヤー

狩人。

それはヒーローのように誰しも皆が1度は憧れるが、決してそれをやりたいと思う人は少ない。

確かに子供達は憧れる。

しかし、それは子供だからだ。

その子供でもモンスターを見たり、狩人の戦いを見れば嫌でも現実を知る。

自分には大きすぎる目標だったんだと。

モンスターとの戦いでの狩人の命は軽い。

狩人になることは、ほぼ死を意味すると言っても過言がないほどに‥

狩人の人数は近年減少傾向にある。

これは、現代の人々が安定性を重視しているからだと推測される。

そんな狩人の中でも突出した強さもち、常に勝ち続けた狩人をトップスレイヤーという。

しかし、今現在トップスレイヤーは3人しかおらず、内2人は高齢化の影響でいつ引退してもおかしくない。

と言ってもトップスレイヤーと言うのは、明確な規定などがあるわけではない。

大体、一定数の推薦が集まればなれるといったアバウトなものであった。

しかし、トップスレイヤーと呼ばれる者とそうでないものには誰が見ても明らかに違う。

そう言わせるだけあって、人間、いや、生物としての格が違うのだ。



ある腰の曲がった2人の老人の会話。


「トキちゃん今年は、どうかね。」


「最近は不作だからねぇ。今年豊作だといいねぇ。」


息の合った会話。

この会話だけで2人は人生のうち長い時間を共有したことが分かる。


「今年は、どうかね。」


「最近は不作だからねぇ。ここ最近同じことばっかり言って。あんたよっぽど心配なんだねぇ。ごめんねぇ。」


「何で謝るんじゃ、トキちゃんが謝ることじゃないだろ。ワシはワシらがいなくなった未来が心配でのう。ほら、名簿を見せてくれ。」


「あいよ。」


ペラッ


ペラッ


ペラッ


慣れた様子でぺらぺらとページをめくっていく。

その手には数々の戦闘の傷と思われるものがある。


ペラッ


…あるページでその手が止まる。


「おお、コイツは上手く育てばワシみたいになれるぞ。アイツ以来の才能かもな。」


「爺さん。。バカを言いなさんな。あんたの顔はこんなイケメンじゃあ無いでしょう。どっちかと言うと爺さんは可愛い顔だからねぇ。それにしても珍しいね。赤い髪に黄色い目なんて。お、こっちの子もいいじゃないか。」


「コイツはダメじゃ。危ない雰囲気を纏っておる。」


長年、狩人を育ててきた勘だろうか。

否が応でもこいつは強くなるそんな気がした。

しかし…


「爺さん、あんたそんなこと言っているけど、顔が笑っているよ。私はいいと思うけどねぇ。」


「だって、コイツは強くなるのがわかるのじゃ。しかし、同時に闇に飲まれる。そんな気がしてのぉー。

…でも、それを乗り越えられたらあるいは‥‥」


グガァー グガァー


「爺さんやおい、爺さんや、また寝ちまったね。毛布を持ってきてあげるか。」



コツンッ コツンッ


コツンッ コツンッ


廊下に足音が響き渡る。


「まあ、今年もそんな危ない子たちは放って置かないけどね。」


さっきまでの優しい声ではなく、冷たくそう言った老婆の腰は、老婆とは思えない程ピンと伸びていた。



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