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猫じゃなくて植物になれたら

作者: 企画開発部


 ボクは猫。

 とある大学のとある研究施設の中で、毎日忙しそうにしている彼を眺めているだけの猫。



 ボクは毎日、彼を困らせている。

猫のくせにそんな自覚だけはあるんだ。

「にゃーーーーーん」


「あ!こら、またどこから入って………」


 研究施設は無菌?ということにこだわっているらしく、ボクみたいな汚い奴の侵入を嫌っている。

 彼に構われたくて、大学内をウロウロするんだけど、どうもココ以外で彼を見つけることが出来ない。

 彼はとても研究熱心なんだと思う。…どんな研究をしているのかなんて猫なボクにはまったく分からない事なのだけれど。


「あーあれ?どこやったんだっけー?」


 彼は、ポケットからボクのためのエサを探そうとしている。ボクが毎日、彼からエサを貰いたくて叫んでいると勘違いしているみたいだ。


 ボクは、そんな誰にでも優しい彼が本当は犬派なことを知っている…。

 自分の家の犬の写真を眺めては、ニヤニヤしている事を知っている。


 ひとりぼっちが嫌いな彼が、独りにならないようにこうして見守っているのだが、彼にとってボクは本当に必要なんだろうか?

 ボクが傍にいてあげなくちゃって勘違いしているのはボクのほうなのかな…


 ボクがもし、猫じゃなくて人間でもなくて、彼に害をなさない植物だったなら…ボクを愛してくれましたか?


 ー毎日、夢に見るんですー


 彼がボクに向って「毎日、可愛いね」って言って、ボクの体に優しく触れて、「今日も水をあげようね」って言って構ってくれて、同じ部屋で眠る夢を…。


 雪が降り出して寒くなると、彼がクリスマスツリーに飾ってあった綿を土に敷き詰めてくれたりして、「寒くない?大丈夫?」って

毎日…毎日…愛情をそそいでくれる。



 彼は、自分に対して向けられる意見が嫌いだ。

 植物になれたなら、言葉を喋れないから、彼の1番の傍にいられるかなって思ったんだ。


 毎日、彼の傍に訪れては、エサを主張するボクみたいな猫では、彼に愛してなどもらえないって分かったんだよ。



……だから、僕は植物になりたい。

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