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神槍のルナル  作者: 未羊
第五章『思いはひとつ!』

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第132話 シグムス王家の墓

 智将の提案で、呪いを解く事をシグムスの国王とも相談する。その結果、ルナルたちは国王の直々の案内でシグムス王家の墓場を訪れることになった。

「この墓場は王族と近しい者しか知らない場所でな、よそ者を入れた事はこれが初めてなのだ」

 国王は、表情も声も実に重苦しそうな感じだった。そのくらいに王族の墓というものは国家にとって神聖なものなのだろう。

 今回許可を出したのは、シグムス王家の未来の事を考えての事だ。自分が思い悩んだ経験があるし、ディランという過去の過ちの結果をも目の当たりにした。そういった苦い経験があるからこそというわけである。

 シグムス王家の墓場は、王都シグメラから離れた場所にあった。

「ここは?」

 思わず尋ねてしまうルナル。

 それもそうだろう。そこにあったのはみすぼらしい小屋が一つなのだから。

「意外と思うだろうが、ここが王家の墓だ」

 国王はそうとだけ告げる。

「ここは、初代国王デュークと王妃シグメラが過ごした思い出の小屋なんだ。お二方の遺言によって、二人はここに埋葬されたんだ」

「そして、以降は王族は亡くなるとここに葬られるようになったのだよ」

「そう、だったのですね……」

 国王と智将の説明を聞いて、言葉に詰まるルナル。

「でもよ、初代国王って不死者になってたんだろ。どうして埋葬されているだ?」

 湿っぽくなっていたところに、セインの無神経な質問が飛ぶ。

「あっ、確かにそうですよね。となると、もしかして今も……?」

 セインの質問に反応しいたルルだったが、喋りながら顔を青ざめさせていく。

「いや、眠られているのは間違いない。王家に伝わる話では、初代王妃シグメラ様が亡くなられた翌日、デューク様は自分の剣で胸を一突きして眠りに就かれたそうなのだ」

「愛する者とともに。お二方はそのくらいに深い絆で結ばれていたのだろうね」

「そうなのですね……」

 国王と智将から告げられた言い伝えに、再び言葉を失う。

 深い愛情があるからこその、悲しい話なのである。

「そうした言い伝えがありながらも、年月が経った事で忘れ去られていたのだろうな……。ディラン王子の件は、本当に痛ましい話だ」

 国王は悔しそうに言葉を漏らした。

 ルナルたちが小屋の中に入ると、そこには地下へと続く階段があった。

 地下に降りて墓場を確認する一行。しばらくの沈黙ののち、サキが口を開く。

「それはそれとして、シグムス王家の呪いをいかにして解かれるというのですか、ルナル」

 そう、ルナルが大口を叩いた呪いを解く件についてだった。墓場に来る前にも簡単に話はしたものの、改めての確認というわけである。

「それなのですが、セインくんの持つ破邪の剣でどうにかできると思うんですよ。確証は持てませんけれどもね」

「ルナル、いい加減な事を言わないで下さい……」

 策なしのルナルに、頭が痛いサキである。

 ところが、その時だった。

「な、なんだ?!」

 セインの持つ破邪の剣が、突如として光り始めたのだ。

「セインさん、剣を抜いて下さい」

 ルルが叫ぶ。

「がきんちょ?!」

「いいから早く抜いて下さい」

 戸惑うセインを叱りつけるルルである。小さな子どもであるルルの勢いに押されて、仕方なく剣を鞘から抜くセイン。すると、先程から放たれる光がさらに強まっていく。

 そして、小屋の地下の墓場が眩い光に包まれる。

 しばらくして光が晴れると、そこには鎧に身を包んだ男の姿が現れた。

『久しいな、ここは』

 辺りを見回した男が口を開く。

 その姿をよく見ると、どことなくセインに似た雰囲気を持っていた。

『おい、いつまで寝ているんだ、デューク』

 男が呼び掛けるように声を発すると、墓の中のひとつが突如として盛り上がっていく。

「まったく、もっとまともな起こし方はないのか、ザイン」

 胸に剣を突き立てた男が現れた。先程の話と照らし合わせれば、この男こそシグムス初代国王デュークなのだろう。

『悪いな、ここに到着するまでに時間がかかっちまったからな。それにしても酷い姿だな』

「仕方がないだろう。愛する妻と一緒に眠りたかったのだからな。それにしても、君もちゃんと子孫がいたんだな」

 デュークがちらりとセインを見る。

『ああ。だが、家は知らない間に没落して、俺はその身を錆びだらけにされたがな。まさか俺を修復したのが魔王とは、何の因縁なんだろうな』

 デュークの言葉に反応しながら、ザインはルナルの方へと視線を向ける。これにはルナルもつい驚いてしまう。

「……剣でありながら、すべて見てらしたんですね」

『ああ、俺の意識はその剣の中にあるからな。これも全部、親友であるデュークを救うためなんだからよ』

「まったく、呪われた私のために、君は禁忌に手を出したというのか。嬉しいけれど呆れてしまうな」

『そういうな。お前が救えるのなら、俺に後悔はない』

 何とも話が見えてこない。ルナルたちはそのやり取りをただ黙って見つめるだけである。

 ただ一人、ルルだけが違った反応をしていた。

「そんな……。その方法を取る人間がいただなんて」

「ルルちゃん?」

 酷く驚くルルを心配するルナルだが、ルルの表情はますます青くなっていく。

 一体、ザインがデュークを救うために取った方法とは何なのだろうか。

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