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最弱の荷物持ちは謎のスキル【証券口座】で成り上がる〜配当だけで伝説級の武器もスキルも手に入る〜  作者: k-ing


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88.守る者

 しばらくすると2人はふらふらしながらも無事に帰ってきた。


「おい、大丈夫か!」

 ハリスとホークスは上空を移動しているときに魔法を掠めて怪我をしたらしい。


 俺とニアは急いで回復魔法をかけると2人とも無事に完治して命に関わるほどの大きな怪我はないようだ。


「様子はどうだった?」


「みんなが王都の前で戦っていたよ。 向こうから火や煙が出ていたのもそれが原因みたい」


「まさか本当にスタンピードが起きるとは……」

 ゴードンから聞いていた話が実際に起きているのであれば今王都は魔物に囲まれている状態ということになるだろう。


「早く馬車を――」


「いや、急ぎすぎて馬が動けなくなってしまえばさらに遅くなってしまう。 だから今は仲間達の力を信じて王都に戻るしかない」

 海街マルティーから王都までは直線であれば距離は近いが、魔虫の森などいくつもの森を迂回して戻る必要がある。


 ゴードンの言っていることも間違えではないため俺は王都に残っている冒険者達を祈ることしかできなかった。





 少しずつ王都に近づくたびにどこか俺の心は焦り、いつのまにか馬車の中にいても話さなくなっていた。


「お兄ちゃん大丈夫?」


「ああ」

 1人で夜営の見張りをしているときにニアが起きてきたようだ。


「みんな大丈夫かな?」


「どうだろうね」


「お兄ちゃん!」


「なんだ?」


「なんでそんなに怒ってるの!?」


「いや……そんなつも――」


「ずっと怒ってるよ! みんな何も言わないけど心配してるよ?」

 王都には俺よりも強い人がたくさん存在している。だから俺が行かなくても大丈夫だと思っているが、みんなが戦っている時に何もできない俺自身に苛立ちを感じていた。


「私はね……みんなには悪いと思うけど、お兄ちゃんが王都に居なくてよかったと思ったよ」


 ニアがそんなことを言う子だとは思いもしなかった。王都にはエヴァンやプリシラ、冒険者の仲間達などたくさん俺のことを大事に思ってくれている人達が住んでいる。


 そんな人達がいるのにニアは何も思わないのだろうか。


「おい」

 

「だって私にとってお兄ちゃんは大事な家族なんだよ。 ゴードンさんから話には聞いていたけど、昔に起きたスタンピードの被害ってすごい多かったんだよ」


「それでも――」


「わかってるよ!」

 いつもとは違った感情が剥き出しになって悲しそうに怒っているニアを見るのは初めてだった。


「私だって冒険者だよ! でももしかしてお兄ちゃんやロンに何かあったらどうするの! それをお兄ちゃんはわかってるの!?」

 ついにニアはその場で泣き崩れてしまった。


「私もプリシラお姉ちゃんやみんながいる王都も大事だけど1番大事なのはお兄ちゃんとロンなんだよ」

 ニアもずっと1人で戦っていたのだろう。それを必死に子ども達の面倒をみて誤魔化していたのかもしれない。


「自分のことばかり考えてごめんな」


「お兄ちゃん……」


「そうだよな。 俺もニアとロンがいなくなるのが正直1番耐えれないだろうな」

 いつも一緒にいることが当たり前になってきているが、突然2人がいなくなるって思うと俺もそんな先の未来は考えられない。


 アドルにパーティーを追放され何もかもが色褪せた俺の世界に家族という存在ができた。


 今となってはそれが俺の生きる理由となっていた。そんなことを俺は忘れていたのだ。


 2人を大事に思っていると口には出していたが本当に大事にすることができていなかったのだろう。


「にいちゃ? ニア?」


「起こしちゃったかな?」

 俺とニアの声がうるさかったのかロンも起きてきてしまったようだ。


「ううん、大丈夫だよ。 にいちゃはそんなに背負わなくて大丈夫だよ? オラがにいちゃとニアを守るから」


「ふふふ」

 ロンはいつからかずっと俺達を守ると言っていた。小さい体から伝わるロンの気持ちの方がよっぽど俺よりもしっかりしていた。


「だから大丈夫!」


「私もお兄ちゃんより強いんだからね!」

 それを言われると兄としては何も言えない。実際に魔法を使う人をあまり見たことはないが、ニアの魔法は強いと思う。


「それは頼もしいな! じゃあ俺達は家族を一番に守らないとな?」


「うん!」

 俺の言葉にロンとニアは笑顔で頷いていた。


「じゃあ、朝まであと少しだから2人はもう少し寝ておいで」


「はーい」

 テントに戻るニアの顔は普段通りの元気なニアに戻っていた。


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