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48.またやらかしましたか?

 俺はローガンまであと少しのところまで近づいた。


 だが、急に身の危険を感じて咄嗟に後ろに下がった。


 そのタイミングと同時に大きな盾が目の前を通り過ぎた。


「いやーん、これでいけると思ったのに避けられた」


 圧倒的な実力に俺は驚いていた。


「あーん、ウォーレンちゃんどこなのよー!」


 見えていないはずなのに、偶然なのか俺の動きに合わせていた。


 今は誰もいないところへ盾を振り回している。


 俺が再び近づくとやはり同じタイミングで盾が目の前を素通りしていた。


 俺は近くにある地面の土を投げると、盾で土を飛ばしていた。


「いやーん、ウォーレンちゃんじゃないわよ!」


 これでローガンが視覚認知ではなく、近づく存在をなにかしら認知していることがわかった。


 俺は足に力を入れてローガンに向かって飛び込んだ。


「近くにいるのはわかっているのよ!」


 俺は盾が目の前に来た瞬間にそのまま短剣を床に刺し【短剣術】と【雷属性】を発動させる。


 そのまま地面を砕き勢いよく、土をローガンに向けて放った。


 数が多ければ認識がしにくいと思ったのだ。


「やっと当たったわ!」


 その考えは的中した。


 困惑するローガンは盾を突き出した。


 そのまま大きな土の塊が盾に当たった瞬間、ローガンは盾を押し込んできた。


 俺は体を逸らし、近づいてきたローガンに向かって短剣を突き刺した。


「あっ……やべぇ!?」


 俺の短剣はローガンに突きつけるつもりだったが、咄嗟に反応したローガンは盾で防御した。


 スキル【短剣術】と【雷属性】の組み合わせは金剛の守護者ゴーレムを砕くことはできなくても、洞窟の壁や床を掘ることができたのだ。


「ぐぇ!?」


 一瞬その場の時間が止まった。


 しかし、すぐにローガンが叫び出した。


「いやーん、私の盾が欠けたじゃないの!」


 結果、ローガンの盾は斜めに大きく亀裂が入り欠けてしまった。


「あああ、ごめんなさい!」


 俺は外套のフードを外し全力でローガンに謝った。


 必死に戦っていたがまさか盾が割れるとは思ってもいなかった。


「おい、ローナさんの盾ってあの魔鉄で作ったやつだったよな?」


「ああ、中々手に入らないやつだったのに残念だな」


 俺は遠くで話している冒険者達の話を耳にした。


「あのー良かったらこれで代わりの盾でも……」


 俺は申し訳ないと思い、アイテムボックスから魔剛アダマンタインを取り出してローガンに渡すと彼は震えていた。


「あんた……なによこれ……」


「魔剛アダマンタインです」


「受け取れないわよ! 今すぐに片付けなさい」


 どうやらローガンも知らない金属のため返されてしまったようだ。


「あんな世界に1つしかない金属なんて受け取れないわよ」


 いや、俺のアイテムボックスにはいくつかいろんな金属が入っているぞ。


 ひとまずこの模擬戦は終了となり、俺はとぼとぼとロンとニアのところへ戻った。


「あー、惜しかったよー!」


「にいちゃお疲れ様」

「今度は私達が頑張るからね」


 俺は二人に抱きつくと人の目も気にせずにモフモフして癒された。


 その後、ロンとニアの順番になったが二人の成長には驚いた。


 ロンはスピード重視でローガンを翻弄して何度も傷をつけていた。


 外套の効果もあるが、スピードが早く俺の目でも全然追えないのだ。


 なんとか目で追えるように鑑定を発動させると、どうやらステータスの速度がBになっていた。


 最後はローガンに捕獲されモフモフされていたが、立派になったロンの姿に俺は大きな拍手を送った。


 そして、一番活躍したのはニアだった。


 ニアは開幕と同時にスキル玉【氷属性】を使用して会場全体を一気に氷漬けにした。


 足が滑ってしまいローガンの速度が活かせられずに、動けなくなっているところをさらに追い討ちで様々な魔法を打ち込んでいた。


 メジストがいくつかスキル玉をあげているのは知っていたが、スキルが使えなくてもニアは充分戦えていた。


 ちなみにニアも魔力がBに上がっている。


 たまに繰り出される杖術での打撃が思ったよりも強く、途中からはローガンとの鬼ごっこになっていた。


 結果、全体的に冒険者昇格試験で活躍できなかったのは俺だけだった。

「マン・マン・マンドラ・ゴラゴラ・マンドラ」


「ゴラ・ゴラ・マンドラ・マンマン」


『ウェーイ! マン・マン・マンドラ! ★をたくさん寄越せヨォ!』


「マン・マン・マンドラ・ゴラゴラ・マンドラ」


『マン・マン・マンドラ! ブクマもよろしくな!』


 マンドラゴラは今日も元気なようだ。

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