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34.洞窟探検隊

 俺はなぜかつるはしという訳の分からない武器を担いでいる。ロンとニアに連れられて山に向かっていた。


 なぜ山に向かっているかというと、この間スキルホルダーが欲しいと言った二人にメジストが"魔金"を持ってきたら作れるぞと言ったのが始まりだった。


「にいちゃ楽しみだね!」

「お兄ちゃんもお揃いにしようね」


「おっ、そうだな」


 二人は楽しみにしているが俺は今回はさすがに難しいと思っている。


 そもそも俺は魔金という存在を知らないのだ。冒険者ギルドで本を読んでみたが、何も情報を得られなかった。


 むしろ冒険者達がポーターだからといって、俺達装備を見て絡んでくる方がめんどくさいのだ。絶対お前らよりロンとニアの方が強いんだからな。


 そもそも最近は冒険者ギルドのスタッフと関わるのが嫌でギルドにも行っていなかった。


 直接メジストとモーリンに魔石と薬草を卸して利益を得れば問題はない。


 そんなかんやで俺達は山の中にある洞窟に着いた。


「二人は後ろからついて来てね」


「わかったー!」


 元気な二人の返事は洞窟に響いていた。俺は魔石が埋められた灯りを持って歩き出した。


 辺りは真っ暗で急に何かが出てきても対応できないのだ。だからこそ外套をしっかり着てゆっくりと進んでいた。


「二人ともついてきてるか?」


「……」


 俺が声をかけても反応がなかった。外套を着ているから2人の存在を認知しにくいのだ。


「ロンー! ニアー!」


 俺が大きな声を出しても洞窟の中に声が響き返ってくるのは俺の声だけだった。俺が前ばかり気にしていたため二人は本当にいなくなってしまった。


「わぁ!」


「ひゃい!?」


 急な声に俺は驚いてその場で跪いてしまう。


「ロンが脅かそうって言うからお兄ちゃん倒れちゃったじゃん!」


「にいちゃごめんね」


 俺は二人を見つけるとそのまま引き寄せて抱き締めた。


「本当にいなくなったと思ったよ」


 俺の気持ちが伝わったのか二人は俺を抱きしめ返す。


「ごめんなさい」


 あまり人には言いたくはないが、昔から俺は暗闇が苦手だった。


「じゃあ、歩いて行こうか」


 今度は心配させないとニアが灯りを持ち、二人が俺を引っ張っててくれた。何も言ってはいないが俺としては助かった。


 洞窟の中は奥に進むと少しずつ広がっていき、次第に窮屈さは感じなくなってくる。


「にいちゃ何かいるよ?」


 この辺は獣人であるロンの方が敏感だった。俺はすぐに鑑定を発動させた。


「痛っ!?」


 突然の情報量に俺の脳が追いつかず頭痛がした。俺はすぐに目を閉じて一度深呼吸をした。


「天井に魔物の集団がいる」


 俺が見たのはブラッディバッドと呼ばれる魔物が隙間なく天井にくっついていたのだ。それでも俺達の存在に気づかないってことは外套の効果があるのだろう。


 俺達はそこを通り過ぎるとしばらくまた歩いた。途中からロンに従って歩いてきたがスキル【収集】の効果によってなのかいつのまにか一際明るい場所に着いた。


「多分ここにあると思うよ」


 どうやらロンは魔金のある場所をなんとなく感じとっているのかもしれない。


 俺はつるはしを持って大きく振りかぶった。


「硬っ!? こんなん無理だぞ」


 ロンに言われた通りにつるはしを使って壁を叩くが一向に掘れる気配がしない。元々つるはしもそれ専用のスキルがあるのだろう。


 それから場所を変えても全く掘れずにロンとニアがやっても変わらない。流石に諦めるしかなかった。


「なぁ、もう帰ろうか」


「嫌だ!」


「お兄ちゃん仕方ないよ」


 それでもロンは諦めずに一生懸命つるはしを振っていた。


「だってここにあるんだよ? スキルホルダーがあったらもっと強くなってにいちゃとニアを守れるもん!」


 泣きながら強くなるために必死に頑張るロンを見て、最初から諦めている俺は自分自身に絶望した。


 小さい体でこんなに頑張っているやつが、目の前にいるのに自分は何をやっているんだ。


「よし、掘れるだけ色々試してみるか」


 俺はつるはし以外で掘れる方法を探した。つるはしも何かしらのスキルで掘ることが出来るのなら……。


「これでいけるか?」


 俺はサハギンの時に雷属性のスキル玉を使った時に異様にサハギンが柔らかくなるのを感じていた。


 その時と同じ原理で壁が柔らかくならないかと考えた。


 俺は【雷属性】と【短剣術】のスキル玉を取り出し左手に持ち、右手には匠の短剣を持つと大きく壁に突きつけた。

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