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幕間
魔王討伐の為の勇者に関する神託が無かった理由
「待てよ。時系列がおかしくないか?」
「そうですか?」
「先に神がいらして、それから魔王なんだよな?」
「ええ、そうです」
「何故、魔王が家に来るまで神託が下りなかったんだ? 私が本当に勇者の器を持つ人間だったとして、その私の傍に居たのならすぐに気付かないか?」
「気付いてはいたでしょうね。けれど、あくまでもポチとして我が家に居ましたから。ペットから神託とか威厳皆無ですよ」
「……威厳の問題か?」
「得てして神というのはそういう所に拘って厳かに見せ掛けたい存在でしょう」
「ペットを止めるという選択肢は無かったのか」
「どうでしょう? どちらにしろ、お兄様を勇者として指名なんかしたら、毛という毛を一本ずつ引き抜いて毛無しにします。それを分かっていたのではないでしょうか」
「動物虐待、ダメ、絶対!」
「動物ではありませんよ。ただの神ですよ」
「神も虐待しちゃダメ!!!」