私は弱虫~弱虫だった彼が教えてくれた~
好きだけど言えない。
彼は友達だから。
好きだけど言えない。
彼には大事な人がいるから。
好きだけど言えない。
彼に迷惑かけちゃうから。
好きだけど言えない。
この関係を壊したくないから。
好きだけど言えない。
彼のタイプの女の子じゃないから。
好きだけど言えない。
私なんて相手にしてくれないから。
好きだけど言えない……。
私は弱虫。
告白した後の最悪な結果しか考えていない。
変わらなきゃ。
このままだと何も成長しない。
分かってはいるけれど動けない。
「最近お前、元気ないな?」
ある日、彼が私に言った。
彼に心配かけた?
彼に迷惑かけた?
告白しなくても彼に迷惑かけちゃうの?
私の存在がダメなのかな?
「お前は相手を優先しすぎ。
思っていることは口に出さないと伝わらない」
彼はそう言って私の頭をポンポン撫でた。
そっか。
私は自分よりも彼がどう思うのかいつも考えていた。
私の気持ちをちゃんと彼に伝えなきゃ。
「あなたに告白したら迷惑かな?」
「ずっとその言葉を待ってた」
彼は顔を赤くして私に言った。
私もきっと顔は赤いはず。
「俺はずっと前からお前が好きだ。」
「ずっと前から?」
「お前が小さい時、俺に言ったんだ。
“思っていることは口に出さないとダメだよ”って」
「私が?」
「大きくなって会ったお前は昔の俺と同じだった」
「もしかして……あの泣いていた男の子?」
「俺はもう泣かない。
それをお前が教えてくれたんだ。
だから俺もお前と同じことをした」
彼はいつも私を助けてくれてた。
言わなきゃ。
一番大事な言葉を。
「ありがとう」
「俺も、あの時はありがとう」
私はまだまだ弱虫。
だけど少しだけ成長した。
彼がそっと背中を押してくれたから。
彼がずっと待っててくれたから。
読んで頂きありがとうございます。
子供の時は言えたのに、大人になると言えなくなる言葉ってありますよね。
そんな言葉を言えたらどんなに楽なのかなと考えるときがあります。
大人って生きるのが大変ですよね。
大変だからこそ、乗り越えたときの達成感はいいですよね。