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プリズム☆グレイ ~令嬢な魔法少女のカノジョは魔法が使いたい~   作者: 高災禍=1
第一章『乙女ゲーの章』
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第五話「思い」

 黒辺涼音は、かなり優秀な魔法少女である。それこそ、この梓ヶ丘で伊織が現れるまでは、事実上トップを張っている自信はあったし、国内の中でも上位に位置している。自他共に認める、“優秀な魔法少女”だ。

 しかしそれは、“優秀”程度でしかなかった。本来ならば、優秀というだけで満足できるほどの感情は得られるのだが、涼音はその程度では満足できない、満足できないのだ。

 ───もう一度、()()の前に立つために。



「───心象投影(インストール)───、開始(スタート)



 涼音の意識が、現実世界の今へと戻る。

 何処か別の制服を身に纏い、首にはストールらしき物を巻く。そして、その上からカーディガンを羽織る。これで、冬以外でも着ていられるのだから驚きだ。


 今回のケモノは、ここからだと肉眼でははっきりと捉えられないほど離れた位置にいる、燃え盛る鬣を持った馬型のケモノ。涼音が聞いた“乙女課”からの報告だと、炎を操る能力を持っていて、少なくとも乙種、それもその中でも平均以上は固いらしい。

 本来ならば、今現在動ける魔法少女の中で特に戦闘能力に秀でている涼音か伊織に頼みたいものだが、伊織に対しては連絡先どころかその正体まで不明。まるで、上からの圧力でも掛けられているかといったレベルで、“羽織の彼女”の情報は何もない。

 だからこそ、狩り出された涼音には、この馬型のケモノを倒す他に、伊織を拘束するという別の任務を“乙女課”の()()()()()から頼まれるのだった。

 ───しかし、今はそんな事よりも、今現在へと意識を向けるべきだ。


「───」


 弦を引き絞る。

 此処からケモノまでの距離は、目測でおおよそ五十メートルほど。のちの逸話にでも神業と称される、所謂絶技と呼ばれるものでしか届きそうにない。


「───五十メートル、ですか。それなら、()()はありませんね」


 離れる。

 五十、四十、三十、二十、十、………着矢。


 そう、黒辺涼音は魔法少女である前に、伊織と同じ武芸者だ。

 流石に伊織には敵わないと自他共に認めているのだが、それでも同年代どころか鍛錬を積み重ねてきた大人相手にだって負けるつもりはない。

 ただ、涼音が習っている“黒澤流弓術”は、人を殺すための武術で、この平和な時代に習っている人なんてかなりごく少数なのだが。


 そのせいで、涼音の子供時代はかなりいじめられていた。散々浴びせ掛けられた罵詈雑言の中には“人殺し”という武術に関しては的確なものもあったし、同年代の普通の友達なんてできやしなかった。他にも、色々とあった。

 けれど、涼音はそれでよかったのだ。

 何も涼音は、学校生活を共に過ごす、そんな当たり障りのない、意味なんて一過性のもにに過ぎない友達を作りたい訳じゃない。鍛錬を積み重ねて、その先で手を合わせてくれる、そんな彼女と同じ武芸者がいればよかったのだ。

 ───そう、彼女のような。


「駄目ですね。こんなことを考えているようではっ、彼女の隣に立つことなんて到底不可能、───っ!?」


 ケモノと涼音の視線が合う。

 それはほんの一瞬に過ぎない、ただの偶然と片付けることができるのかもしれない。

 けれど、そう思った涼音は直感したのだ。これは偶然ではなく、流し目による彼女の位置の確認だと。


 ───タッと、そう結論付けた涼音が建物の屋上から飛び降りる。

 そして次の瞬間、先ほどまで涼音がいた場所がなくなっていた。いや、正確に言うのなら、その階自体が吹き抜け構造と成り果て、ガラガラと轟音を立てて崩れ落ちていく。


「───我らが奉る神よ。我が矢を届けたもう」


 傍から見れば、無策で地上数十メートルの高さに投げ出され、そのまま自由落下を味わう彼女。下手をすれば、その自由落下による恐怖心で、意識が停止したとしてもおかしくはない。

 だが、涼音はそんな無策でも無力でもなかった。

 自由落下に耐えられているだけではなくて、瓦礫の中を飛び回っているのではないか。


 魔法少女としての涼音の《マホウ》は、自身の身体機能の向上だ。

 これが身体能力の向上と違うのは、運動能力面だけを強化している訳ではなく、五感などの感覚的なものも同時に強化されているという点。近接能力よりも感覚的なものが必要になってくる弓術をメインにしている涼音にとっては、身体能力の向上よりも遥かに相性がいい。

 しかし、そんな欠点のない《マホウ》と思われがちだが、自身の限界能力値以上の物事はできないという欠点というか、道理がある。

 だからこそ、この《マホウ》は、涼音とともて相性がいい。身体能力だけではなく感覚的なものも引き出せて、それでいて武芸者として鍛えている彼女ならば。

 ………ただ、獣耳尻尾らしき物が付くのは勘弁してほしいと思う、涼音であった。


「やはり、そう簡単には行きませんね」


 最初の一射は、不意打ちだったからこそ、命中したのだ。確かに、涼音の腕がなければ奇襲どころか当てる事すら不可能だったが、不意打ちによるアドバンテージは大きい。

 ただ、それで馬型のケモノが慌てふためいていれば、そのまま涼音の追撃を当てられたのだろう。

 しかし、かなり馬型のケモノの立ち直りが早くて、此方の動きを余裕を持って対処してきている。先ほど放った涼音の三射も、避けるなりその纏う炎で吹き飛ばすなりしてきた。


「なら、どう動いても避けられない、そんな一撃を叩き込めばいい話ですね」


 そう言い切った涼音は、着地した後、すぐさま馬型のケモノへと走り出した。その走る速度は、アスファルトの地面を砕かずとも、並大抵が捉えられないぐらいには出ている。

 しかし、それは“何とか”といった具合だ。先ほどから涼音に向かって放たれている火球は、ほんの数瞬前にいた彼女の位置に対して性格に放たれている。問題ないとそう思うのかもしれないが、この均衡が崩れることはそう先の話ではないという事だ。

 ───ほら、均衡が早々に崩れた。


「───ふっ」


 先ほどまでの涼音の速度、確かにあれだけでも魔法少女の中でも並以上はあったのだが、それこから彼女は更に加速しだした。

 そして、それによって生み出された隙。その時間の猶予を使って、涼音はアクロバティックな動きを合わせつつも正確に矢を叩き込んでいく。上下逆さまになる程度、彼女にとっては些細でしかなく、障害にすらなりえない。

 しかし、それで勝てるほど乙種のケモノは、そう甘くはない。最初こそ、傷を付けられたのだが、すぐに対処された。此方の動きも対処されるのに、そう大した時間は掛からないだろう。


「狗ソッ!」

「流石にもう無理そうですね。思ったよりも対処が早い。さっきまでは乙2種辺りかそこらかと思っていましたが、少なくとも乙1種はありますね」


 乙2種辺りなら、“黒澤流弓術”を使わずとも涼音は勝つことができるが、乙1種となればそう簡単に上手くはいかない。相性さによっては、敗走することも視野に入れなければならない。

 ちなみに、本来勝てる筈の相性だった甲殻に覆われたケモノに涼音は遅れを取り、そして“羽織の彼女”───つまりは伊織に助けられた理由は、単純にかつ致命的に体調が悪かったからという、何とも締まらない話だ。


「ですが、───所詮、乙種程度ですね!」


 そう言い切った涼音は、先ほどと同じように駆け出すのだが、それは違う。

 本来、弓術とは基本的に遠距離主体の攻撃手段だ。確かに、間合いを詰められた場合に柔術を習ったりもするが、それでも弓による遠距離戦がメインである。

 だからこそ、この選択は弓術に自信がある人ほど取れない筈なのだ。

 ───弓使いが、自ら近接戦を仕掛けるなんて。


「菟、唖ァ唖ァ唖ァ!」


 自ら七へと足を踏み込んでくる涼音を好機と思ったのか、馬型のケモノは火球で落としに掛かる。

 けれど、先ほどの涼音が逃げて、馬型のケモノが迎撃するという構図にはなっていない。

 それには幾つかの要因があるのだろうが、一番は先ほどから等間隔で打ち込んでくる一射。確かにそれ自体には脅威の字すらないが、確実にケモノに対して致命傷になりそうなものだ。

 だからこそ、涼音に向けられる迎撃の手が、どうしても手薄になってしまう。


「菟………」


 この展開は不味い。そう、馬型のケモノは思うのだが、その考えはもう古すぎた。

 そして、その思考に馬型のケモノが囚われた時点で、決着はもう明らかだ。


「やはり、思考は出来ていても、生まれたてだからか甘いんですよね」


 そう言い放った涼音は、既に馬型のケモノの懐というか、彼女の近接戦における間合いに入り込んでいた。

 両の掌を腰だめに構え、そして全身の筋肉が流動して、それは壮絶なる破壊力を伴って放たれるのだった。



《体術、轟雷掌》



 ───ドン!!

 それはまるで、雷のような轟音を響かせる、涼音の踏み込みと衝撃によるインパクト。


 戦闘において、一つの強力な武器は、並大抵の小細工程度は簡単に破壊できる。複数の事を習うよりも、一つの事を極めろというのはその絶対性を生み出すためだ。

 しかしそれは、絶対性を生み出すことのできる“才能”と“努力”の両方が下地にあって、初めて得る事ができるのだ。サボりがちな天才や、才能がなくても努力すればできるという、生半可な到達できる領域ではないのだ。


 その点で言えば、涼音は後者に近い。

 何も才能が皆無だとかそう悲観するものではないのだが、それでも血の滲む努力した天才に勝てるほど才能がある訳ではない。

 そして、その事実を涼音は理解をしている。


「───勝つために最善を尽くせ。それは私に武術を教えて下さった、おじい様の言葉です」


 そう、一つの絶対がなければ、戦闘における選択肢を増やせ。

 “絶対性”が一振りの名刀なのだとすれば、“可能性”は体に仕込まれた暗器だ。それは、どちらにせよ厄介と言えよう。


「………」


 そして、先ほどの涼音の一撃で、もう馬型のケモノは返答を返すことはなかった。ただただ、ケモノが消える時に発する、黒い塵が宙へと散っていくだけだった。


「ふぅ、終わりましたか。乙種以上は稀にとても単純であろうとも知能を付けていることがありますが、まだ思考が甘くて良かったですね」


 ケモノの中には、人間と大差ない知性を持つ強力な個体がごくまれに現れることがある。涼音も一度だけ戦ったことがあるが、もう二度と戦いたくないほどの強敵だった。

 ケモノの知性は、どれくらいの時間を生きたかに比例する。中には、生まれながらに成人した人間と同等の知性を持つ個体もいるが、それは比較対象となっている人間とて同じ話だ。






 鈴野蓮花は、聖シストミア学園に通う、ごく普通の女子学生だ。

 その経歴に黒い澱みの類は一切なく、勉学も出来て社交的な、学校側としては鼻が高い優秀な一般生徒である。例えば、“天才”は世の中とそりが合わない不適合者としての扱いを受ける事もあるが、蓮花の場合は褒める側には何らリスクもない、“優秀”な生徒なのだ。

 そんないい意味でも優秀な涼音は、今後の薔薇色の学園生活に胸を高鳴らせて、学園の門を叩くのだった。


 だが、順風満帆な学園生活が送れるという蓮花の願いは、早々に儚く散ることとなった。

 確かに、蓮花は社交的故順調にクラス内の友達を作る事に成功した。まだ、このクラス内の人たちは会ったばっかりで、先に話し掛けてくれる蓮花は、内気な女子生徒や男子生徒にとってかなり話しやすかっただろう。

 しかし、それが悪かったのか。そこで、カレン・フェニーミアという女子生徒と出会うことになったのが、運命の分かれ道だったのだろう。

 フェニーミア家と言えば、五本の指に入ってくる名家だ。それこそ、一家庭の出たる蓮花にとってカレンの優雅な生活は、正しく雲の上には一体どんな世界だろうと、思いをはせていても関係のない、それほどにまで空いた距離だった。

 そして、今もまだ何故そんなカレンが蓮花に対して突っかかってくるのか。それを分からないでいる。


 そんな時、会ったのが柳田伊織だった。

 最初会った時は、何やら凛々しい人がいるな程度のものだったが、まさかカレンと親しくしていたのを蓮花は見て、そんなに凄い人だったのかと驚いたりもした。

 蓮花から見て伊織は、非の打ちどころのない人だ。

 最初の試験ではトップを飾って、体力テストではぶっちぎりの一番だった。それに加えて、あの整った容姿とスタイルは、溜息をもらすほどに整っていて。少し、口調が男性らしいものだったのだが、伊織に対してのイメージと合っていて、あざとらしいどころかとても似合っていた。

 そして、伊織がまさか“国家防衛魔法契約少女”───通称、魔法少女と知るなんて、人生どうなるのか分からないものだ。


「………本当に、分からないものですね」

「菟菟ッ………」


 本当に、人生何があるか分からないものだ。

 蓮花は、学園の帰り道に、丁度入学式に向けて買っておこうと思った物が何か。それを突然に思い出したのだ。そういった忘れられた記憶というものは、何らかの要因によって思い出されることが多いため、それに該当する“何か”があったのだろう。

 そして、蓮花は梓ヶ丘で一番大きくて品揃えが良いショッピングモールで、買い忘れた物を買ったのだった。


 ───そんな時だった。

 ケモノが現れた事による警報が、辺りに非常事態だと叫んでいるように鳴り響く。

 人々は係員の迅速な対応によって、このショッピングモールの地下のシェルターへと避難を開始した。しかし、中には避難訓練をしたことないような自己中心的な人は何処にでもいるようで、その人たちは我先にと逃げ出した。

 それが、───決壊した。

 人は非常事態において、秩序良く避難するという行為は、暗黙の了解だ。助け合えば自分も助かるのだという、妄信ではあるが真実。だが、その暗黙の了解が崩れたのだとすれば、誰かを助けるという行為は、自らの危機を高めるだけの行為でしかない。


『………ぅ、ああああぁぁぁぁ』


 それは、蓮花も避難をしている時の事だった。

 子供、それもかなり幼い男の子の泣き声が聞こえてくる。しかし、建物内で鳴き声が反射の連続で、聞こえていてもどこにいるのかまでは分からない。

 だからこそ、サラリーマン風の人も、夕食の買い物に来たであろう主婦も、誰もかれもが聞こえないふりを続けていた。


『───』


 その男の子の鳴き声を聞いて、蓮花は走り出した。何処にいるのかもしれない、男の子の方に向かって。

 蓮花に当てなんてない。ないが、困っている人を助けたいという、人として正しいであろう願いによって、彼女の足をせかしていく。


 結果として、あの泣き声の主たる幼い男の子は、案外呆気なく見つかった。うろうろしていたみたいだが、その場からあまり動かなかった事が逆に功を奏したのだ。

 だが、それによって男の子と蓮花は、命の危機に瀕していた。

 それもそうだ。確かに、動かなければ見つけて貰う確率は少しばかり上がるが、それは男の子を助けに来ようとしている愚者と、獲物を探している狩人も同じ事だ。


 それは猿型の───いや、どちらかと言えばゴリラ型のケモノだった。

 先ほどの猿型と違うというのは、その剛腕だ。爪などを必要としない、その強固なまるで鋼のような肉体を主要とする、ゴリゴリの格闘スタイル。小細工などをせずに、ただただ己の長所を叩き込んでくる、討伐する魔法少女にとってはあまり相手にしたくないタイプだ。


 蓮花と幼い男の子にとって、攻撃された時点で死ぬのが確定な現状況。

 まず、振るわれる剛腕との間に何を挟んだとしても無駄である。現れた時には、壁を軽くたたき壊すように現れたので、鋼鉄の塊でもなければ障子を破るよりも呆気ない。

 そして、避ける事も勿論不可能だ。蓮花が本当に万が一億が一でも運よく避けられたとしても、その幼い男の子は誰とも分からない肉塊と化す事だろう。そんな選択肢を蓮花が取る事は、不可能な話だ。


「(………あぁ、私───死ぬんだ)」


 圧倒的な窮地どころか、死地である今現在に、蓮花はそう思ってしまった。

 ケモノが現れて誰かが死ぬ。そんな事態はあまり少ないのだが、それは少ないのであって、こうして死ぬ事は可笑しい事ではない。何故なら、人が他人を救うのに、その数に限りがあるからだ。誰も死なない、そんな歪な偶然なんてありはしない。


 ───もしも、私が魔法少女だったら。

 そう、蓮花は思った。

 たらればの話だ。妄想をするのは自由だが、現実はいつもそこにあって、襲い掛かってくる慈悲のない、達観できるほどの事象。

 それは、蓮花の目の前に迫ってきているようで───。






『やぁ。君には、何を犠牲にしてでも叶えたい、そんな願望はあるかい?』


 そこは、白一色の空間だった。調度品どころか染み一つなく、家事をやったことある人が見れば羨むほどの白。

 けれど、それは現実にあって不可能に近く、それが何者かによって生み出された空間だと。そう蓮花が思うに、少しばかりの時間を必要とした。


『………、あなたは一体?』

『? あぁ、そう言う事か』


 知らないことが、まるで異質なようで。


『初めましてでも言った方がいいかな。ボクの名は、“プラン”。君を魔法少女に勧誘をしに来た、ただの使いだね』


 そう、黒い猫は流暢な言語で、事も簡単そうにそう言った。

 それにしても、叶えたい願望とは何か。それがどうして、魔法少女に関係してくるのか。蓮花はまだ知らない。

 だが、こんな都合のいい展開が、果たしてあるのだろうか。


『………えっと、すみません。私には願いがあるんですけど、何かを犠牲にしてまでの願いは、ちょっと………』

『? 人は何かを犠牲にして生きているのだろう? なら、君自身の願いも、何かの犠牲の上に成り立っていると思うけど、違うのかい?』

『………』

『もう一度問おう。君には、何を犠牲にしても叶えたい願いというものはあるかい?』


 叶えたい、願い。

 今蓮花が願うものがあるのだとすれば、それは今を生きる事。あの泣いていた、幼い男の子を助ける事だ。

 それを願いと肯定することは簡単だろう。

 しかし、それが一体何を犠牲にするのだというのか。ケモノを倒さずにこの場を凌げる可能性がある以上、ケモノの命などではなく、己に帰ってくるタイプなのだろう。


『………』


 普通なら、それは躊躇する行為だ。

 分かっていたなら、覚悟ができる。しかし、どんな反動があるのか分からないという不透明感は、独特な恐怖で覚悟ができる人も二の足を踏ませるほどの不気味さが、そこにはある。


 ───だが、蓮花は常人には二の足を踏んでしまう選択に、平然と答えるのだった。


『私にはあります! 沢山の人を助けるために魔法少女になります』


 その言葉を聞いたプランは、一瞬ぽかんとした後、少し面白そうに蓮花の願いを聞き届けるのだった。


『なら、此処に契約は成立した。これからはボクは何も手を貸せないけど、頑張るんだよ』






 蓮花の意識が現実へと戻る。


「………」


 一体何が起きたのか、蓮花には分からなかった。 

 既に、蓮花の体は壁際まで吹き飛ばされたかのように、彼女の背にはボロボロになった壁があった。魔法少女になったからだろうか。けれど、流石に無傷とはいかないようで、体の節々が痛いどころか、碌に動く事もままならない。

 そして、先ほどの泣いていた幼い男の子はというと、吹き飛ばされる直前に蓮花の体が反射によって突き飛ばしたのか。ゴリラ型のケモノから少し離れた位置で、うつ伏せの状態で倒れていた。


 どうにかなった。

 そう思うのは勝手だが、依然として目の前の脅威が去って行った訳ではない。


「虞ゥゥゥ………」


 ゴリラ型のケモノは、恐怖で動けないままの幼い男の子に向けて、その歩みを進めていく。どちらの仕留めたという、単的な思考故だろう。事実として間違っていないし、もしも蓮花があの時魔法少女になることを拒否しているか機会すら訪れなかった場合、それは回避できぬ未来になっていたことだろう。


「………、待って───ください」


 だが、あらればの展開とは違い、蓮花は燈火ながらもまだ生きている。

 手足は碌に動かなくて、体はボロボロ。しかし、蓮花の心はまだ、その命の燈火を燃やしていた。


「───心象投影(インストール)───開始(スタート)


 その鍵言を蓮花が発した時、彼女の体は不思議な光に包まれた。

 そして、ほんの数瞬後に不思議な光から解き放たれた蓮花は、まるでアイドルにでもなったかのような衣装を身に纏っていた。煌びやかでありつつも、動きやすさにも配慮された。

 それはまるで、魔法少女のようであった。


「でも、本当にこれでどうにかなるかな?」


 しかし、蓮花が引き当てた《マホウ》は、この今現在の窮地において、役に立つとは思えなかった。確かに、今のボロボロの状態ではなくて、大きな傷一つない万全の状態であったなら、また話は変わっていたことだろう。

 だが、それがどうしたのだと、蓮花の足は前へ前へと、止まることなく運ばれていく。

 ───人を助けるために。


「───私と、勝負しなさい!!」


 そう高らかにゴリラ型のケモノに対して宣戦布告を叩きつけた、そんな満身創痍の魔法少女な蓮花は、一歩一歩踏みしめていた歩を徐々に速めていく。

 そして、その途中で蓮花は、自身に《マホウ》を掛けて行く。

 蓮花の《マホウ》は、指定した誰かに対して身体能力などを上昇させていく支援型のものだ。本来なら、誰かに掛けて行くものだが、この場に他の魔法少女がいない以上、頼れるのは彼女自身だけ。


 対して、ゴリラ型のケモノは、魔法少女になった蓮花には碌に意識を向けていない。

 蓮花がまだこれが実践どころか戦闘初期で、伊織のように何か武術をやっている訳でもなく、そこに気の鋭さが見られないからだ。それに、後衛型、それも支援型というのは、そういった鋭さを持ち合わせないことが多い。

 勿論、それらには例外は存在するが、幸か不幸か、蓮花にはその鋭さがなかった。


 そして、今回に限って言えば、それは幸へと傾いた。

 ケモノのフルスイングが恐怖で動けない幼い男の子に当たる直前、身体強化を自身に施した蓮花が抱え飛ぶことで事なきを得た。敵を倒すためではなく、誰かを助けるためだからこそ、幼い男の子は助かったのだろう。


「───あっ、ありがとう。お姉さん、魔法少女だったんだね………」

「えぇ。此処は私が食い止めますから、貴方も早く逃げて下さい」

「う、うん………」


 そうは言っても、先ほど蓮花が吹き飛ばされた件から、少し不安に足を引きずられつつも逃げ出す彼であった。


「さて、………これからどうしようかな?」

「我ァ唖ァ啞ァ啞ァ!」


 戦って勝つという選択肢は、存在しない。

 もしも、伊織のように戦いに慣れた人ならともかくとして、魔法少女とはいえただの女子学生が倒せるほど、ケモノという“人類の敵”は甘くはない。強力な彼等の中には、大量の一般市民の他に魔法少女すら何十人と葬り去ったものまでいる、一筋縄ではいかない“人類の敵”だ。

 だからこそ、最初は戦闘訓練という形で慣れさせていくのだが、窮地によって魔法少女になった蓮花には、それらの経験がゼロ。勝てる道理がない。

 そして、逃げ出すことも不可能だ。

 もしも、この場でどうにかして蓮花が逃げ出したとして、先ほど彼女が逃がした幼い男の子の方へと行かないとは限らない。勿論、可能性はかなりのブレ幅があるが、万が一の事を考えてしまう彼女にとっては土台無理な話だ。


 そう、蓮花ではどちらの選択肢も取ることができない。危険を冒してまで幼い男の子を犠牲にするのか、彼女自身を犠牲にするのか。

 これは、蓮花の良いところでもあり、悪いところでもある。

 もっとも、誰かと自分を比べてしまう上に、それを思考してしまう蓮花の結末は、きっと碌なものになることだろう。


「───でも、私はあの子を助けたい」


 そのためには、蓮花自身の命を代償にした時間稼ぎが必要だ。

 その事実を、その選択肢を自ら取った蓮花は理解している。

 ───だからこそ、蓮花は壊れているのだろう。


「ふぅっ───」


 恐怖で震える手を、握り拳で押さえつける。

 何処か壊れた蓮花であっても、当然のことながら、そこに恐怖は存在している。

 立ち向かう恐怖というのは、挑戦的思考だ。誰であろうとも、そこに譲れぬものがあるからこそ、恐怖をし、それを乗り越えようとする。

 ───そう、恐怖が自らを成長させるのだ。


「菟………?」


 そこでゴリラ型のケモノは、目の前の魔法少女の空気が変わった事を察する。

 人間の成長とは、酷く曖昧だ。誰が言ったことがそのまま反映されることもあれば、積み重なった経験努力によって反映されることがある。その定義は、かなり広い。

 ───だが、覚悟を決めた時の成長は、明確だ。

 覚悟を決めるという行為は、自らの意識を沈めた上で、その更に上の段階へと引き上げるものである。

 だからこそ、人間という生命は恐ろしい。


「ぁ、ああああぁぁぁぁ!!」

「我ゥ啞ァ啞ァ啞ァ!!」


 恐怖を原動力に替えて、蓮花はひたひたと進めていた足を段々と速めて行って、最後には走り出すに至った。

 格闘経験が一切ない蓮花にとって、絡め手とは土台無理な話だ。勿論、建物などの障害物を使った絡め手の類ならば、蓮花ももしかしたらできるかもしれないが、その程度の強度ではゴリラ型のケモノによって破壊されるのがオチだろう。

 だからこそ、蓮花は正面戦闘を行うしな他ない。

 だが、そんな窮地であっても、蓮花の表情に諦めの二文字は存在しない。


 それに対して、ゴリラ型のケモノも、その自慢の拳を握る。剛力によるストレートだ。

 例えば、まっすぐにストレートよりも絡め手が有効とされているが、それはケースバイケースと言えよう。

 絡め手が強いという訳ではなく、圧倒的な暴力に立ち向かうために絡め手も進化した故、絡め手の方が強いとされている。そう、どちらが先か、という事だ。

 しかし、藁で作られた城ほど信用できないものはなく。下手な絡め手は、簡単に暴力によって押さえつけられる。




 ───そして、交わる───、かのように思われた。




「あれあれ。わたし達の知らない魔法少女がいるよ、雫」

「ほんとぉだ。知らない魔法少女だね、凪」


「───えっ?」

「我ッ!?」


 蓮花と乙種のケモノの間に割って入ったのは、二人の幼い少女。

 少女とは言っても、先ほど逃げ出した幼い男の子ほど幼くはなく、大体中学生ぐらいの外見をそれぞれしている。

 それだけならば、蓮花も怪訝な反応をしたりはしない。確かに、生きるか死ぬかの戦いの中で麗しい二人の少女がいること自体が可笑しな事だが、それは付属品だ。

 そう、何処か別のところの学園の改造制服らしき服を着る彼女等は、───魔法少女だった。


「ねぇねぇ。ボロボロだけど、助けてほしい?」

「えっと、………さっき逃げて貰った子供がいるので」

「で、死ぬつもり?」

「───」


 息をのむ。否定できなかったからだ。

 蓮花が突如として現れた二人の魔法少女に対して、先ほど逃がした幼い男の子を頼んだのは、そちらの方が彼の助かる可能性がある、という訳ではない。ただ、もしも危険な状態に晒されていた場合、助けられる可能性が高いのが蓮花自身ではなく二人の魔法少女だからだ。

 そう、蓮花に死ぬつもりがなかったとしても、彼女が取る選択は死しか結末にないだろう。

 だからこそ、その図星を付かれて蓮花は、否定できなかった。


「………はぁ、こんな命知らずな野良の魔法少女がまだいたなんてね、雫」

「でも、野良と言っても、私たちの後輩だよ、凪」

「だね。こういう時は───」


「───あっ」


 そう、先ほど蓮花の目の前に現れた二人の魔法少女同士が話している最中、その隙を狙ってケモノの剛腕が振るわれる。

 程度にもよるが、華奢な体つきで身体系の《マホウ》でもなければ、まともに食らえば死ぬこともあり得る。先ほどの蓮花も、何とか致命傷は避けたから、全身が死ぬほど痛い程度で済んでいるのだ。


「菟、ォォォッ!」




「「───此処は私たちに任せて先に行け、ってね」」




 その言葉の瞬間、宙に血飛沫が舞う。

 一体、誰のものか。

 ───それは、明らかだった。


「菟ゥ………」


 突如の光景。

 一瞬にして思考が真っ白になった蓮花の意識は、その数瞬後には元の現実離れをした現実へと引き戻される。

 そう、蓮花が見た光景は、襲い掛かってきたケモノの腕が吹き飛ぶところだった。しかも、鋭利な刃物で切断されたという残酷だがよくある光景などではなく、根本からその腕が吹き飛ぶという、なんとも痛ましい光景だった。

 そして、蓮花の思考が現実へと引き戻されるのと引きちぎれたケモノの腕が地へと落ちるのは、奇しくも同時期であった。


「乙種と聞いていたけど、限りなく丙種に近いね、雫」

「だね。思っていたよりもずっと弱いね、凪」


 これが魔法少女なのかと、同じ魔法少女な蓮花はそう思った。

 今しがた魔法少女になって戦闘訓練を積んでいないド素人な蓮花とは違い、《マホウ》を手足のように扱い手慣れた感じでケモノの腕を引き飛ばした人間兵器。

 ───それはまさしく、観衆たる人々が思い描くであろう、情景と畏怖を集める魔法少女という名の人間兵器だった。


「虞ゥ………」

「あれ、逃げ出すの? まぁ、逃がさないけど───」


 この状況をケモノは劣勢だと見たのか。そのまま反転したのちに、この場から逃げ出した。

 緑色のショートの髪をした彼女───凪は、その逃げ出したケモノの逃亡を止めようと、幾つもの不可視の風の刃を宙に奔らせて、切り刻みに掛かる。それは、余程感覚が鋭くなければ躱すことのできない一撃。

 それをいともたやすく躱していくのだから、放った当の本人も少しだけ細めていた目を見開いた。


「なら、───」

「そうだね。───」

「待ってください!」


 再度、追撃。

 先ほどとは違い、今度は雫も含めて追撃に奔る。あの軽やかに避けたケモノに当てる事は少し難しいのだろうが、それでも時間が掛かるだけで、あのケモノを倒すのに何ら支障はない。

 だが、その選択肢は、時間を喰ってしまう。

 その事実を予感した蓮花は、どうにかして彼女等の選択を止めようと、声高らかに挙げた。

 別に、蓮花は自らケモノを倒したいという、魔法少女としては当たり前な考え故の事ではなく、ただそれは()()のためであった。


「何ですか。足手纏いはさっさと───」

「アレが向かった先に、私が逃がした幼い男の子がいるんです」


 そう、蓮花は逃がした幼い男の子を助けたい。

 ケモノが逃げ出した方向は、偶然にしては出来過ぎて、蓮花が逃がした幼い男の子がいるであろうものだった。勿論、それを偶然だと言う事も可能だが、不自然な方向転換に人を喰らうケモノという存在。それらを踏まえれば、この考えに行きつくのは何ら可笑しなことではない。


「それは不味いわね、雫」

「このまま追って行ったら、確実に怒られるよ、凪」


 その蓮花の助けを求める言葉は、二人の魔法少女の動きを躊躇されるに至った。

 それもその筈で、基本は魔法少女がケモノを倒して、警官達が市民の避難誘導を行うという線引きがされている。これは利益の問題で、魔法少女の方はケモノを倒すことで己の願望への一歩を踏み出すことができ、警官も市民からの信頼を得ることのできるという。

 しかし、これは魔法少女側に限る話なのだが、その過程で逃げ惑う人々を見ぬふりをするのはあまりよろしくない。

 日常ならともかく、戦場で役に立ちそうもない一般市民の倫理感が、魔法少女を潰そうと影のように広がっていくのだ。

 ちなみに、警官がケモノと戦わない事は非難される事はまずない。もし、戦ったとしたら、伊織のような元から化物クラスでなければ、死ぬ事が確定だからだったりする。


 しかし、その躊躇が仇になる。

 あのケモノの足はとても速く、魔法少女の身体能力でさえ届きそうにない。しかも、立体的に逃げている───いや、獲物を追っているのだから、碌に標準していない攻撃では当たりそうにもない。


「雫、サーポートをすれば、届きますか?」

「精密な射撃が必要になるので、少し時間は掛かりますけど、この距離なら問題はありません。」


「───いえ、少し待ってください! あのケモノ、もしかしたら群衆を狙っているのかもしれないです」


 そんな雫の言葉の数瞬前には、ケモノの動きが急激に変わり、先ほどまで狙っていたと思われる幼い男の子がいるであろう方向ではなくなったのだ。

 ブラフ、はったりだ。

 先ほどまでのケモノの立体的な逃げは、この振られた展開だからこそ言えるのだが、これが本気なのだと勘違いさせるようなものだった。そう、激しく動いていることで、そういう風に演出していると言えよう。

 しかし、演出する必要がなくなって、全力で逃げ出した───獲物へと走るケモノの動きは、先程の比ではない。


「───雫!」

「ごめんなさい。標準ならどうにか合わせられそうですが、射程がわたしには無理みたい!」


 そう言う雫ではあるが、同様に凪にも無理な話だ。それも、先ほどの作戦は雫を主体とした強力技であって、凪単体の技なぞ、とうに射程なぞは知れている。

 だが、それを無理とも言えない話だ。

 此処で市民に被害が出るのは、正直避けたい事実。最近やっと、魔法少女という存在が世間的に認められだしたので、このような負の面はあまり見せたくはない。

 そう、魔法少女には“負け”の二文字は、世間的にも彼女等的にも認められていないのだ。


 ───勿論、そんな事にはなりそうもないのだがな。


「───マホウ強化術式、付与」

「これは、───あなたがやったの?」

「はい! まだまだ《マホウ》は上手く扱えないですが、どうにか成功したので良かったです」

「………そう。今回の新しい魔法少女たちは、憎らしいほどに将来性がありますね」


 そうだとも。

 魔法処女になったからとはいえ、すぐに《マホウ》を使える訳ではない。実際、同じ魔法少女のアーチャーだって、《マホウ》を扱うのには、それ以上の時間が掛かった。

 何故、《マホウ》を扱えるようになるまで時間が掛かるのかというと、単純に慣れていないというのが大きい。イメージとしては、自らの体に突如として生えた五本目の腕を上手く使えと言っているようなもので、人の殻に収まっていない機能はそう簡単に扱えるものではない。

 そんな、人体機能にない能力を一発で使えるようになった蓮花を、果たして“天才”と呼ぶかは少しだけ疑問に残る。


「雫、これならいけますか!」

「はい、照準は変わりなく問題なし。射程も、援護によって問題ありません!」


 照準よし。射程も問題ない。

 狙いは、今も立体的な機動を以って逃げ続けているケモノ。しかし、ソレはまだ此方の事には気付いておらず、ただただ走り続けるばかり。おそらくは、その先にあるガラス窓でも割って、そこから飛び出すでもするつもりなのだろう。

 しかし、ケモノがガラス窓を割って外に出るよりも、雫のトリガーを引く方がずっと速かった。


 ───。

 直線に放たれる水流。

 普通なら、玩具などの水鉄砲でもイメージするのかもしれないが、そんな生易しいものではない。

 あれは、高圧洗浄機の強化版とでも言えばいいのだろうか。まぁ、原理などはこの際おいておいて、圧縮されたその水流は、鉄板でさえも容易に打ち抜く事が可能だ。

 

「虞ッ、唖ァ啞ァ!?」


 そして、その威力は乙種程度のケモノなぞ、容易に貫くに至った。

 だが、脆い人間とは違い、その程度の風穴程度では、致命傷にはなりえはしない。

 しかし、苦悶の表情?それと声を挙げているのは、その正確な射撃によるものだ。凪も雫の腕前を信じているようで、見事にそのケモノに対して的確な位置による風穴を開けていた。

 つまりは、ケモノの活動に必要不可欠な、人間の心臓に当たる臓器───魔石が、そこからぱらぱらと、どさっとケモノが倒れる音と共に落ちて行くのだった。






 それから数分後にようやく、獲物を隠しつつも携えた伊織が現場にたどり着いたが、如何やら事は終わったようだ。その答えが正解だというように、後始末をしているスーツ姿の人たちが何人かいた。


「………。もう、終わったのか。いつもなら、終盤に差し掛かる程度の時間帯なんだがな」


 そう、ケモノが現れたとて、すぐさま人々を守るためというか、魔法少女が現れる事なんてそうそうあり得ないのだ。

 それには、単純な現場との距離という問題もあるのだが、一番は一体誰を派遣するかという利益や損害の問題。そう、誰が己が願望を叶えるための一歩を踏み出すのかという魔法少女側と、魔法少女側の実力が足りない場合に起こる損害の二点だ。

 そのため、色々とお偉いさん方や魔法少女側の都合で、到着まで十分以上は掛かる筈。

 だが、今回に限って言えば、ケモノ出現からの数分で事態が片付くという、伊織から見て異例とも言える出来事だった。


「となると、上の人にも意見を押し通せる人が駆けつけたのか。それとも、ケモノの出現位置に丁度魔法少女がいたという。それのどちらかな?」




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