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十九話「!?」

 俺は全ての事に終止符を打ちリビングのソファに寝転んでいた。

 ちなみにあの後どうなったのかというと、一応旭さんとのご両親と話をして今回の件は俺自身は不問とする事にした。

 ただ、ちゃんと旭さんとお兄さんに向き合ってあげてくださいと話すと二人して目を合わせてキョトンとしていた。

 本人たちは愛を最大限注いでいたと思っていたらしい。


 俺はそれ以上何も言えなかった。

 だって、その愛を俺はあまり知らない。

 親から貰う愛は受け取ったが、それをどう活かすかは分からないのだ。


 どうしたもんかなと思っていたが、旭さんは「私はもう一度、再出発してみます」と俺に話してくれたので、今はその言葉を信じるだけだろう。


 ひょんな事から、かなりの親子の問題や兄妹の問題に加担してしまったが、そんな俺にも休日というものがやって来た。

 俺は自分で入れて来たコーヒーを飲みながら、一人ため息を吐く。


 ここ最近、俺の身にも少し変化が起きた。

 会社が統合して統合先の部署に移動となったのだ。

 それが芸能プロダクション課とかいう所だった。


 うん、実は妹が所属しているライバー事務所『トライアングル』の事務所である。

 一応数ある事業の中の一つでこの課があるのだが、まさか俺がここに来ることになろうとは思いもしなかった。

 そういうことで、裏方ではあるが俺もトライアングル事務所の一員になったのでした! 






 なんで????? 


 一つ言っておこう。俺はこれまで人生に置いて一回も運営側に立ったことなどない。

 一応元の会社も小さな芸能事務所でちょっとしたアイドルなんかを輩出してはいるが、それでも俺は事務で淡々と仕事の依頼を受けて、それを上に提出しているだけで、本格的に関わった事などない。


 しかし、今回は違う。

 俺の立ち位置は大岩さんと同じ立場。そうマネージャーである。

 WTF!!?!?? 

 ガッツリ関わる立場じゃねぇか!! 


 大岩さん曰く「所属タレントも多くなって来ましたし、私一人では流石に荷が重いと思いまして〜」と言っており。

 いや、これまでも一人でやって来たんですか貴女……。バケモンじゃねぇか。

 などとニッコニッコしている大岩さんには言えずに俺は粛々とマネージャーを拝命した。


 これからの俺の人生どうなるんだろう。


「お兄ちゃん!」

「え?」


 考えに耽っていると萌香の顔が俺の眼前にいきなり広がった。

 は? かわいい。


「え? かわいい」

「ま、ちょ……えへへ……お兄ちゃんってば……」


 いきなり褒めたら顔を真っ赤にしてクネクネし出す我が妹。

 やはり俺の妹は世界一可愛い。


「どうしたの? ぼーっとしちゃって」

「ん? ああ、俺にこんな大役務まるのかなって」

「務まるでしょ」

「ええ……妹からの信頼度が高すぎる」


 どうやら我が妹はこの兄の事を過剰評価し過ぎているようだ。

 兄ならできる、か……。

 しかし人間不思議なものである。この世で一番愛している人物に肯定されると不思議と出来る気がするのだ。


「まあ、うじうじ悩んだって仕方がないか。やれることはやってみる」

「うん! 後、お兄ちゃんの為に考えてることあるから楽しみにしててね!」

「お、そうか楽しみだな」


 萌香が考えてることか……それは楽しみだな……。

 というわけで、俺はそれを楽しみにしながら待っているのであった。


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