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私を嫌う幼馴染の様子がおかしい。

作者: 佐能 遥歩

 わたくし、エチューリ・チユヲルド侯爵令嬢には幼馴染がいます。

お互いの両親がとても仲が良いので、幼い頃から彼とは一緒にいました。エマ・ジオール侯爵子息…何故か嫌われていますが、なんだかんだ成人間近まで一緒にいたのです。

彼がわたくしの事を嫌っているのは態度でわかることなので、婚約の話は一度も出ませんでした。両親が無理に結婚させればわたくしも彼も幸せにはなれないと考えたためです、正直助かりました。傍にいても一言も喋らず、わたくしを見る目はまるで氷のようで…彼は怖いです。

そういった理由で婚約者にはならずとも、わたくしに宛がわれる婚約の話は全て彼と同じような身分、容姿、剣術、魔術……条件がそろった方だけ。

わたくしの両親は少々過保護で親ばかなんです…条件設定が高すぎてなかなか婚約の話が来なくてヒヤヒヤしました。彼はとてもかっこよくて優秀すぎるから、彼を基準にするのは良くないと何度も言いましたのに両親ったら……。

色々と苦労しましたが、わたくしにも婚約者が出来ましたお相手はなんとこの国の王子様であるエト様です。

エト様はまるでおとぎ話に出てくる理想の王子様のような方で、とてもかっこよくて優秀で、何より優しい目でわたくしを見てくださるの。彼の氷のような瞳ではなく暖かな光のような瞳のエト様…良い縁談に恵まれたわたくしはこの国一番の幸せ者なのかもしれません。

エト様とわたくしの仲はそれなりに良好だと思います。決められた婚約ですがエト様はわたくしを丁重に扱ってくださって、王子様の婚約者になり始まった王妃教育は大変ですがエト様を想えば頑張れました。

そしてわたくしと彼との関係は、相も変わらず。何か嫌われるようなことした覚えはないのですが…大いに嫌われています。一応幼馴染という関係なので寂しい…素直に言うと傷つきます。

わたくしにはエト様という婚約者がいますし、以前よりも彼と顔を合わせることは減りました、その代わりにエト様との時間が増えお互いを想い合うようになりました、わたくし達は傍から見たら相思相愛の二人。

このまま何もなければわたくしはエト様と結婚し将来はこの国の王妃になる…えぇ、何もなければ。ですが起きてしまうのです、不思議なことが。

少女が現れたのです王宮でエト様と一緒にいる時にわたくし達の目の前に。見慣れぬ服装に、珍しい漆黒の髪、チョコレートのような瞳を持つ少女、名をエリカ。

人が恋に落ちる一瞬を初めて見ました、エト様とエリカです。一目惚れという言葉が似合いますね、目と目が合った瞬間…二人だけの世界になりました、わたくしなどそこらに転がっている小石のよう。

わたくしとエト様の婚約はなかったことになりました、エリカは異世界から来た神秘的な少女として聖女に認定されそのままエト様の婚約者に選ばれました。

こんなにもあっさりと切られるなんて…お互いに想い合った相思相愛の二人なんて大げさすぎましたね。今までの努力が全て無駄になりました、信頼していたのに裏切られました。

別に、良いのです。王妃教育はわたくしを淑女として成長させましたし、エト様も…愛していたわけではないんです、信頼はしていましたけど恋や愛などではなかったのです。

過保護で親ばかの両親は怒りのあまり謀反を起こすなどと言い出して、止めるのが大変でした。ジオール侯爵夫妻もわたくしに気を遣ってくださり…本当に優しい方です。

久々に会った彼は…やっぱりわたくしを嫌っていました、寧ろホッとするというか…わたくしには居場所があるんだな、と思わせてくれます。嫌われているのにこう思うなんておかしいですよね。

またわたくしの婚約者探しがはじまりました、なかったことになっていますがわたくしは王妃教育を受けた淑女、婚約のお話は沢山来ました。でもその中で彼基準の条件を満たしたのは指折りで数えれるだけ…だから条件設定が高すぎますって…彼はわたくしがエト様と婚約する前より素敵な方になりました。なので基準も高くなるわけで…もう、修道院行きになる可能性もあり得ますね。

婚約者探しが大変なこと以外はのんびり生活を送っていたわたくしにまたもや悲劇が起こるのです、庭を歩いている時に背後から何者かに刺されて死んでしまったんです。事切れる直前に見たものはエト様の護衛の騎士の姿でした、何故なの……?

本当に何故なの?わたくし刺されて死んだはずなのに、何時ものように朝早く目覚めているのかしら?なんだか幼くなってる気がします…エト様と婚約する直前のような…。

「おはよう、チュチュ」

どうなっているのか、流石に困惑している時に聞き慣れた声が…え、エマ様?

わけがわからない…刺されて死んだはずなのに生きているし、なんなら幼くなってるし…それに加えてエマ様がわたくしに声を掛けている?わたくしを嫌っているあのエマ様が…。

「チュチュ?気分が優れないのかな?」

しかも優しいです…なんだか不安になってきます……そういえば何故わたくしの部屋に…。一応男女なんですからそういうのは良くないですよ…あら?な、何故近づくのですか、寝起きでみっともない姿ですのに…。

「やっぱり驚いているね、一から話すよ」

そう言ってわたくしのベッドに腰を掛け、わたくしの身に何が起きたのかを一つ一つ語り始めてくれました。その声は優しくまるで絵本を読み聞かせるようで、何時もの冷たく低い声でないことに少し違和感を感じつつも、話に耳を傾けました。わたくしが何故殺されたのか…わたくしを刺したあの騎士はエト様の護衛をしている者で忠誠心の強い方でしたからエト様の命令でしか動かない…でもわたくしを殺す理由は?恨みを買った覚えはありませんし、そもそも殺されたのに何故今生きているのでしょうか…。

「チュチュが死んでから……俺の世界が寂しくなってしまったんだ」

「…はい?」

彼って…エマ様ってこんなこと言う人でしたっけ?わたくしが死んで寂しくなった?これは夢なのかしら、きっとそうですね、死んだのは夢、エト様と婚約するのは予知夢、そうこれは夢です。

「傍にいるだけで安らげたのに、チュチュは殺された。悲しみで俺は狂いそうだったよ。」

「あの…?」

なんて怖い夢なのでしょう、早く目を覚ましたいです。あの氷みたいに冷たい瞳のエマ様がわたくしの事を愛おしそうに情熱的な瞳で見つめてきます…。

それに傍にいるだけで安らげるだなんて…エマ様はわたくしを嫌っているのですからありえません。

「あの異世界から来た女がクソ王子を…」

「エマ様、どうしたんですか?らしく、ありませんわ…」

「そうかな?あぁでも、こうやって話すのは久しぶりだね?」

「そう、ですわね…エマ様はわたくしの事を嫌っていた、ようなので」

「うん、嫌いだった。」

認めましたわ!今まで嫌い雰囲気出していたので、わたくしも周りの方も気づいてはいましたが…本当に嫌われていたのですね、わたくし…。面と言われると傷つきますね…。

でも嫌いだった?今は違う、という事なのでしょうか…確かに嫌いオーラは出ていませんし…寧ろ…好き?って感じが…いえ、何を自惚れたことを…。

「チュチュのいない世界で生きるなんて考えられないから、時間を戻すことにしたんだ。」

この人は何を言っているんですか?時間を戻すって…

「死ぬ直前だと俺は傍にいないから助けれない。どこまで戻そうってなった時…どうせならあのクソ王子のモノになる前にして、俺のモノにしようかなって」

んん?だんだん話が分からなくなってきました…エマ様は一体…

「失って気づくなんて俺もクソだよね…でも、今なら…」

何故そんな顔をわたくしに向けるのですか、わたくしが死んでから貴方様に何が起きたのです…?

「チュチュ、俺と結婚してくれ。」

わたくしの事を嫌っていたはずの幼馴染の様子がおかしいです!!

エチューリ・チユヲルド


侯爵令嬢。

亜麻色の髪とチェリーピンクの瞳を持つおっとりしつつも真面目で強かな美少女。

幼馴染のエマに嫌われているが、あまり気にしないようにしてる。

親しい人には名前と苗字を掛けてチュチュと呼ばれている。

実はエマに一目惚れしていたが嫌われてしまっているため気持ちを押し込んでいったら強かになった。



エマ・ジオール


侯爵子息。

藍色の髪に氷のような銀色の瞳を持つメガネをかけた美青年。なんでもできる天才で多くを語らないクールな性格。

チュチュの幼馴染。何故かチュチュを嫌っているが、一緒に行動することが多い。会話も滅多にしないがちゃんとチュチュと呼んでる。

チュチュが死んでから様子がおかしい。




エト


国の王子。チュチュの元婚約者。


エリカ


異世界から来た少女。エトと恋に落ちた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] エトとエマの名前がややこしいような… [一言] よっぽどの理由がなければ、続編で、エマとくっつくのを祝福できる読者は少ないかと…
[一言] 誤字?かと思われます。 少女が現れたのです王宮でエト様と一緒にいる時にわたくし達の目の前に。(見慣れる)服装に、珍しい漆黒の髪、チョコレートのような瞳を持つ少女、名をエリカ。 見慣れる …
[気になる点] おもしろかったのですが、何点か気になって… エマが魔法のようなものを使えるのは、この世界の人には普通のことですか? 何故、エマの護衛がチュチュを刺したんですか?エマは何故チュチュを嫌っ…
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