第三話 何だこのステータス!?
「とりあえず武器とか用意したいから、明日数値を調べにギルドに行こう。」
どうやら、直ぐに壁を出るわけではないようだ。ちょっとは心の準備ができそう。
「もしギルドのメンバー表にお前の名前があれば、身元も特定できるしな。」
ギルドに……俺の名前?
「どういうことだ?」
「お前の話を聞いていると、異世界から来たというのは本当だとしても、この世界で一度記憶を失っている可能性もあると思う。それならお前が実はギルドのメンバーだという可能性だってある。」
リリがまともなことを言っている……!?
「身元が分かればお前をさっさと追い出せる。お前に財産があれば、そこから礼金も頂ける。」
全く。ちょっと見直したのに、その言葉は余計かな。
*
翌日。
「それでは、この魔石に手をかざしてください。」
そう言うギルドのお姉さんは、先ほど俺がここのメンバーで無い事を教えてくれた。
「あ、後で私たちも計っていいですかー?」
「はい、どうぞ。」
受付も勤めていることもあってか、パーフェクトな笑顔が途切れない。
えっと、この青くて丸いのに手をかざすのか……
ピカァッ!
魔石は一瞬眩く光ると、また元のコバルトブルーに戻った。
「はーい、取れましたよー。」
お姉さんは、魔方陣のスタンプを押された羊皮紙を石の上に広げ、隣のインクを魔法?で浮かばせ始める。
「今結構光んなかった?すごいじゃん!」
「確かに結構光りましたね。新人さん、結構強いかもよ?」
「本当ですか? ところで、私の能力値が出る前に、数値の相場が知りたいんですが。」
ふよふよ浮いたインクの小さな粒子が、羊皮紙に突進してシミを作る。まだ二割も終わっていなさそうだから、この間に受付さんに質問をしてみた。
「えっと、どの数値も大体60から100ってところですね。高くても120台は上回りません。」
「なるほど……」
確か数値は、身体機動力、物理攻撃力、体力、回復力、最大魔力、魔力回復力の6つだっけか。さっきチェリに聞いた。
後は最適魔法属性も出してくれるとか。何でも、人間には必ず一つ適した魔法の属性があるらしく、それ以外の魔法とは桁違いの出力と効率を出すらしい。
「えっと、出ました。これは……」
「どれどれっ!何これ、壊れてんの?」
即座に飛びついたチェリの後ろから、お姉さんのもつ羊皮紙を覗く。
身体能力:149
物理攻撃力:146
体力:135
回復力:159
最大魔力:256
魔力回復力:231
最適魔法属性:炎、雷
……。
…………。
………………。
何だこのステータス!?
超えることは無いと言われた120の大台を、全数値において超えている。魔力関連の二つに関しては二倍以上だ。
それに、さらに驚くべきは最後の項目。
『最適魔法属性:炎、雷』
……最適属性って、一人一つじゃなかったっけ?
「私達はこのギルドのテスト魔石の精度に、誇りを持っています。この石が数値を間違えることなんて、あるはずないんです。ですが……」
驚きを必死に抑えるお姉さんの顔に、さっきまでの笑顔の面影はなかった。
「もう一度、計りなおしてもらえますか?」
双子キャラって、名前がどっちがどっちかわかんなくなったりしません?私はします。
とりあえず、リリの名前はリリィ(=百合)からとっているので、ガチ百合の方です。