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異世界転移!? 禁忌《チート》☆兵器  作者: 虹村 萌前
第三章 西方都市アンドレイヌ
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第二十八話 普通じゃない

【旅のしおり】

―聖騎士―

対魔戦能力のある聖職者の中でも、特に各教会に直接所属し、魔物から街や国を守る者のことを指す。(あくまで魔物を敵としている部隊であり、警察組織ではない。)

聖剣士が志願、採用されることが多い。

街ごとに必須条件として資格を設けていることがほとんどで、資格の取得を目指す者のために聖騎士学校を開いている街も多くある。街によっては聖騎士学校の入試を合格しただけでも才のある人間だと言われるほどにレベルが高い場合もある。

 完敗だった。

 師匠の動きは俺の動きを知っていたかのように的確で迷いなく、自分が師匠に操られているようにすらも感じた。


「あまりダメージは与えてないから、君の回復能力ならもう立てるわよね。」


 そう言って、しゃがみ込む俺に手を差し伸べる師匠は、とっても大きく見えた。


「師匠ってこんなに強かったんですね。意外……」


 立ち上がってみると、やっぱり師匠のつむじを見下ろすことになる。

 でも、姿勢とかを見ると結構きちっとしていて、こういうところは大きいなぁ、なんて。


「意外って……君ったら、ちょいちょい失礼なことをいうわよね。」

「すみません……」


 普段の師匠があまりに子供っぽいので、つい……なんて言えないな。


「ま、これで私が凄いっていうのも少しは身に染みてわかったでしょ。それじゃ、特訓を始めるわよ。」


 良かった……体に刻み込むとか言ってたから何してくるのかと思ったけど、どうやらもう満足したみたいだ。

 まあ確かに、師匠が強いっていうのは十分にわかった。

 こんな小さい体で……ここまで強いなんて、予想できなくて当然だ。……のはず。


「はい、お願いします。師匠。」


 後ろ髪から朝露が弾けた。



 *



「それで? 姉様ちゃんの特訓はどうだったの?」


 昨日と同じ洞窟を三人で歩きながら、リリ質問を投げかけてくる。

 姉様ちゃんというのは師匠のことだろう。リリの師匠への呼び方はコロコロ変わるのだが、どうやらまた新種が発生したようだ。


「なんか、師匠ってあんな強かったんだなって………」

「師匠?……あ、様姉ちゃんのこと? へー、そんな強いんだー。」


 どうやらチェリも半信半疑だったようだ。やっぱりあの体格でああも強いって普通じゃないよな。俺の常識だけが間違っていたわけではないよな。

 それはそうと、また呼び方が変わってる。いつになったら安定するんだよ。

 こういう言葉の自由な使い方は、やっぱりモモさん譲りなのだろうか。

 言葉に限らず、リリにはモモさんに似たものを感じる。

 人の性格なんかは遺伝よりも育ち方の影響のほうがずっと強いというが、リリはきっとモモさんをたっぷり見て育ったのだろう。



 *



 洞窟をさらに抜けると、魔物のレベルがやや上がり、同時に群れるようになってくる。

 昨日はこの少し先で引き返したが、今日はもう少し先まで行く予定みたいだ。


「お前、やっぱり昨日より調子良さそうだな。」


 今朝の特訓は、基礎の基礎だけやっただけだ。

 なので、まだ剣術としては一応の完成にすら程遠いが、やはり基礎を抑えているのと抑えていないのとでは動きも自身も全然違うわけで、しかも動かし方を知らなかっただけでこの体は本当によく動いて……

 要するに、楽しいのだ。


「そうだね。まだ砲撃のカバーとしてしか使えてないけど、そのうち剣メインで戦えたらなって。楽しいし。」

「そりゃあよかったな。」


 リリの言うとおり、よかった。

 ロッドソードにして、剣術を教わって、よかった。


「調子に乗りすぎてまた低級のトラップに引っかかるなよ。」

「流石に大丈夫だって。……たぶん。」


 リリはこう、真顔で冷やかしてくるからわかりづらい。

 でもまあ、最初の頃は俺との会話すら嫌がっていたのだから、なかなかに進歩したものだ。


「おい、前、魔物。」


 単調に、ポツリと落とされたリリの言葉に、振り返っていた首を前へ戻す。

 戻す……戻すとすぐ目の前で大毒蜘蛛が睨んでいた。


「うわっ、(ファイア)剣撃(スラッシュ)!」


 頭部を切り裂かれた大毒蜘蛛の断面は炎で覆われ、一拍おいて全身が蒸気と化す。


「そういうことは早く言ってよ!」


 心臓が止まるかと思った。


「私が指摘しなかったらお前は今頃攻撃されていた。教えてやっただけ感謝しろ。」


 リリは一切悪びれていない様子だ。というか声色も表情も、さっきから一切変化していない。


「ぐっ、それはそうだけど……俺がでっかい虫苦手なの知ってるよな……」

「でーもリリがトモザネに危険を知らせるなんて、確かに珍しいね。最近リリ、トモザネにちょっと優しく……」

「そんなことない!」


 洞窟の奥まで充満していた静寂を、リリの叫び声が切り裂く。

 リリがこんなに声を出すなんて。


「……リリ?」

「ご、ごめん……でも私は!……私には、お姉ちゃんだけ、だから。」


 ゴゴゴゴゴ……


 突如、何かが、大きく重い何かが迫ってくるような轟音が響く。


「あー、なんか凄いの起こしちゃったかなー?」

二日に一回を目標に、四日ちょいに一回の投稿になってる虹村萌前です。どうも。

後書きのネタもなくなってきました。小説家としてのコミュニティでも出来ればネタが増えそうなんですが。ということで、私に興味を持ってくださった方はTwitterで冷やかしにでも来てください。

いや、後書きのネタなんかより賞の参加資格の最低文字数に足りない! 頑張って書かないと!

頑張るので感想ください。感想が欲しいんです。反響のないままに投稿するのは怖いんです。

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