第二十二話 流石に言えない
【旅のつぶやき】
-知実のつぶやき-
アニメとかで、やけに登場人物が女性ばかりのことってあるけど、あれかな?
俺が異世界来てから殆んど女性としか話していない気がするのも、そういうことなのかな?
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「それで、お姉ちゃん。モモ姉の家への道とか、わかるの?」
昨日は暗くなる前に近くで宿をとった。
やっぱり久々のベッドは柔らかくて、ぐっすり眠ってしまった。
「うーん、湖の近く……かな?……」
ダメみたいだ。
「手紙はあるから、地図を買って地名を見つければ……」
「それよりは人に聞いた方が早いでしょう。お前、行って来い。」
「えぇっ俺!?」
マジか。コイツ、俺に道を歩く見ず知らずの人間に話しかけろと言っているのか。
「いや、リリが行けばいいじゃないか……」
「私、初対面の人と話すの苦手だから。」
いや、俺もなんですけど……
「でも……」
「絶対服従。」
絶対服従って……この前のあれか。まだ続いていたのかよ……
とりあえず、引き下がる様子もないので仕方がない。ここはリリの言うことに従って……
「あ、あの!そこの人! ……道を聞いてもよろしいでしょうか?」
「はい?……」
声をかけられたその人は、くるりと振り返る。
「ねえ、トモザネ。その人は……」
とっさに呼び止めたため意識していなかったその容姿が、遅れて俺の頭に入り込んでくる。
「ちょっと小さすぎるんじゃないかしら。」
流れるような銀髪、白く濁りのない肌、少し尖った耳……
そして、自分より十センチは下であろう身長。
あ、間違えて小さい子に声かけちゃった。十二才くらいかな?
「誰が子供だー!」
*
「話を聞くと、お前たちは湖の近くで恋人と暮らしているという姉に会いに来た、と。」
「そうだ。」
「小っちゃいのに、えらいねぇ。」
チェリが頭を撫でようとすると、その子はそれをパッと弾く。
「だーかーらー、私はハーフエルフなのだと言ってるでしょ!? 十九よ、十九!」
「ごめんね~、よしよし。」
「だから撫でるなぁ! 本題に移れないじゃないの!」
と、言いつつ今度はチェリに頭を許してしまっている。
和むなぁ、と思いつつリリの方をみるとその子の方をすっごい睨んでいた。おお、怖い。
「チェリ、今度リリの頭も撫でてみたら?」
「なっ!? お前何を言い出す!?」
なんということでしょう。リリが能面モードから赤面モードに早変わり。
「リリ、嫌なの?」
「そんなことない! そんなことないけど……ないけどちょっと体が持たないというか……」
リリが指をツンツンしてもじもじ話す。
コイツ、二重人格か何かか? まあ二重人格の人なんて見たことないけど。
「えぇい! 勝手にいちゃつくな!」
「いちゃ……」
「わーたーしーのーはーなーしーをー! 聞けー!」
「ああ、ごめんごめん。」
リリが面白いもんで、ついこの子のことを忘れていた。
「まず言っておこう。その姉の恋人というのは、私だ。」
マジか。こんな小さな子を恋人って、お姉さんの趣味大丈夫か?……あ、自称十九歳なんだった。どう考えても言動も子供っぽいけど。
というかその話が本当だとすると、リリの姉も女の子好きの女の子ってことか。百合って遺伝するのかな? いや、両親はさすがにノーマルだろうから、覚醒遺伝?
「なーんだ。それならもっと早く言ってくれればよかったのに。えっと……」
「ロマリンだ。」
「ロマリンちゃん。」
「話すタイミングを無くしてきたのはそっちでしょ。あと、姉様って呼んで。ロマリン姉さまって呼んで。」
「わかったー! ロマちゃん姉様!」
チェリに抱き着かれたロマリンは、よろけながら「そーじゃなーい!」と抗議する。
和むなぁ。
そう思いつつ隣のリリを見ると、
「お姉ちゃんとぎゅ~……お姉ちゃんとぎゅ~……っ!」
やっぱり呪うような目つきで向こうを睨んでいるのであった。
今度リリのことも抱いてみたら? とは流石に言えないな……ニュアンス違ってくるし。
久しぶりの投稿なのにあんまり話が進まなくて申し訳ない、虹村萌前です。
今回はミモザに続いて二人目のロリキャラが登場しましたが、作者はロリコンではありません。
ほんとですよ?ロリ百合が好きなだけで、ロリコンではありませんからね?