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異世界転移!? 禁忌《チート》☆兵器  作者: 虹村 萌前
第二章 旅の始まり。
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第十一話 独りでも

「では、行こうか。」


 壁外への門の前。リリがそう言うと、今から旅に出るのだという実感がふつふつと沸いてくる。

 元の世界へ帰るために、この世界を冒険するのだ。

 それと、旅の間にいっぱい魔物を倒して、この世界で独りでも生きてけるくらいにならないと。


「おーい、知実君。」


 いきなり呼び止められた。

 声のするほうへ振り向くと、見覚えのある鎧を着た女性と、見覚えのある羽を付けた少女。


「ソレイユさんに、ミモザさん?」


 チェリが不思議そうにソレイユを見て、


「ああ、先日の剣士さんですか。」


 と、納得する。


「この前渡し忘れたものがあってね。これ、君が倒した魔物の。」


 ソレイユは、大きめの皮の巾着袋を差し出す。

 中を開けると、小さな紫色の石が沢山詰め込まれている。


「これ……」

「お前の倒した魔物だ。」

「倒したって、この前の巨大火球?いや、いいですよ。危険な目にも合わせてしまったんですし……」


 というか、あんなに怒ってたのにこれはこれでちゃんと渡すんだな。受付さんが『騎士』とか読んでたけど、案外、義とかを重んじる人なのかもしれない。


「お前の手柄だ。受け取れ。」

「えっと、では。お言葉に甘えて。ありがとうございます。」

「ああ、それと、その様子だと旅に出るのだろう?」

「ええ、まあ。」

「体には気をつけろよ。たぶんお前の体はお前だけのものではないから。だよな。」


 ミモザが首を縦に降る。浮いているためか胴も軽く揺れ、羽から光が散る。綺麗だ。光魔法の一種だろうか。


「だそうだ。じゃ。」


 そう言って二人は去ってしまう。

 ……俺の体が俺だけの物じゃあない?確かに今の俺の体は元々の体とは違うが、それはあの二人には話してないはず。それに、『だけ』という部分が引っかかる……

 まあ、いいか。


「良い人だね。この前殴られそうになったって言ってだけど、結局殴らなかったんでしょ?本気じゃなかったんじゃない?」

「ああ、そんなこと言ってたね。でもあれ、こいつがビビッて意識失ったからでしょ?お前、気絶すんの好きだなぁ。」


 そういえば、そうだ。この世界に来てまだ数日だというのに、俺はもう二度も失神している。


「好きで倒れる奴がどこにいるんだよ……まあ、確かに良い人かも知れないけど、俺を殴ろうとした目はマジだったね。ただ、自分じゃなくてミモザちゃんのために怒ってたみたいだから、過保護なんじゃないかな。」

「あれ?、でもあの二人ってどういう関係なんだろう?ミモザちゃんは明らかにヒューマンじゃあないし、姉妹ではないよね。」


 確かに、言われてみればそうだな。


「さあ?……俺もよくわからない。」

「とりあえず、出発しよ?お姉ちゃん。」

「そうね。」


 門番に目的を伝え、門を開けてもらう。

 堀を渡り、最初の一歩を踏み出す。

 前に魔物討伐に出たときには感じなかった、高揚感。

 これから俺は、冒険に出るのだ。



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