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異世界転移!? 禁忌《チート》☆兵器  作者: 虹村 萌前
第一章 南方都市ソプロシュヌ
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第十話 いつの日にか、

「属性が二つ……人格も……もしかすると人間兵器というのは、的を射ているのかもな。だがどうしてこいつはそんな……」


 目を開くと、少し昔まで見知らなかった天井。


「……ん……リリ?」

「おー、起きたか、起きたか。」

「えっと……あれ? 確か俺、空き家探索に行って、使い魔のゴーレムがいて、それで……」


 それで、一回チェリが倒して、でも復活して……ダメだ。そこからが思い出せない。


「お前はゴーレムの攻撃にビビッて失神したんだよ。ゴーレムはお姉ちゃんが華麗に倒した。」


リリが冷淡に言う。


「マジか、俺めっちゃダサいな。」

「……そうだな。」


あれ?いつもならもう少し侮辱してくるような……

それはそうと、この部屋には二人だ。いつかを思い出す。


「チェリは?」

「お姉ちゃんは例の使い魔の魔石を換金しに行っている。ありゃあ随分と大物だったからな、当分金には困らないだろう。」

「そりゃあ良かった。」

「ああ。お前にも感謝しているよ。」


 リリが? 俺に?……感謝?


「いや、俺は結局照明を灯したのと、ゴーレムの体制を崩しただけだ。それに、後者はお前でも出来たんだろ?俺に実戦をさせるためにやらせただけで……」

「そ、それは……そうだが……でも、ありがとう。」


 こんな大人しいリリは初めてだ。珍しいこともあるものだな。


「あ、それとこれ。お姉ちゃんが。」


 そういって渡されたのは一冊の本。表紙には『異世界書記』と書かれている。


「読んでおけ。お前が一体何なのか、その手がかりになるかもしれない。」

「ああ、ありがとう。」





「ただいまー。今夜は御馳走だよー。」


 扉が開く。同時に聞きなれた声が届く。


「ああ、ちー姉。おかえりー。あと愛してる。」

「チェリ、お帰り。この本助かったよ。」

「それで、あなたは本当にこの本の世界から来たの?」

「そうだな。まだ途中までしか読んでないけど、俺の住んでいた世界、住んでいた国とよく似ている。ただ、これは俺がこの世界に飛ぶより数年……少なくとも六年以上は前のものだと思う。」


 『異世界書記』は変わった形式の文章をしていた。地図、地名、建物、土地柄、方言、料理。そういう情報が、観光マップのように書かれている。その内容が架空のものだと思えば、画期的で、非常に作りこまれた本だと受け取られていただろう。

 あの本に詳しく書かれていたのは東京都心。だが、塔が足りない。


「それでさ、この作者の居住地とかってわかるかな? 行ってみたい。何かヒントになるかもしれないし、あわよくば直接会えるかも。」

「うーんと、詳しい出身地は調べてみなければわからないのだけど、少なくともフラガリアは国外、ダイモニアの作家よ。」

「……そうか。その国は遠いのか?」

「それなりには、ね。それよりあの国はあんまりいい噂聞かないというか……まあでも、行ってみてもいいかもね。途中の街にも色々寄りたいし。アンドレイヌとか……」

「私は別に、途中の街に興味はない。」

「もぅ、リリったら。」

「えっと、とりあえず二人も同行してくれるってことだよね。ありがとう。」

「もともと、そろそろこの街も出ようと思ってた。明日にでもこの街を立とう。」


 明日って……急すぎないか?

 まあでも、『異世界書記』を読んで郷愁のようなものが胸の中に湧き出てきた。

 この異世界も悪くはないが、やっぱり故郷は故郷だ。俺のそれはなんの変哲もないような場所だが、それでも一生戻れないとなると懐かしくなってくる。

 いつか。いつの日にか、帰ろう。

 そのために、行こう。ダイモニアへ。

とりあえず、チュートリアルにあたる第一章、完結です。

これから、はじまりの街を出て、冒険の旅が始まる予定です。予定ですが、あんまり内容考えてません。その時の気分で進めていきます。そういう作りの物語です。

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