プロローグ 君に出会う前
『お前ってさ、「異世界行って転生特典でチートしてハーレムしたい!」とか思う?』
オタク友達から突拍子もない言葉が飛び込んできたのは、本当に平凡な日曜日の、本当に平凡な昼過ぎだった。
『何? いきなり。』
そう聞き返すと、すぐに返事が送られてきた。
『お前、そういうアニメあんまし好きじゃないやん。鬱系も結構見てるし、ハーレム系は進んで見ないし。だけど、「実際に自分が」って考えたらどうなんかなって。』
『いや、別に嫌いなわけではないけど。それに、異世界に行ったからって転生特典があるとは限らないし、転生特典でチート出来たってその後の人生がヌルゲーになるとは限らないでしょ。』
『まあそうだけど。これは転生特典チートハーレムヌルゲー人生が待ってると仮定しての話だ。』
『うーん、ホントにそこまで人生が楽になるなら、それに越したことはないかな。ハーレムまではいらないけど。』
『あそ。』
自分から聞いてきた癖に、そのあっさりとした反応はなんなんだ。ちょっとムカつく。
とりあえずスマホを置いて、外の世界に気を配ることにした。
ああは言ったが、本当にそんなストレスのない人生を過ごしていたら、ストレスが恋しくなったりしそうだな。
「まぁいい。とりあえず朝食でも……いや、もう時間的には昼食だな。何か食べ物あったかな……」
その時俺は、自分の部屋に無かったはずの物があることに気がついた。
「なんだ……これ。」
机の上に、赤く丸いものが置いてある。
「リンゴ?……こんなもの買った覚えは……」
でもこのリンゴ、なんだかとても……
「美味しそう。」
俺は気づけば、皮も剥いていないそのリンゴに歯を掛けていた。
とりあえず異世界系でも書こうと、特に何も考えずに書き始めたので、至らぬ点も多々あると思いますが、それでも読んでいただけるのなら幸いです。