電線と夏の空
梅雨時期だと言うのに今日も一日快晴だ。
夏の日差しは容赦なく降り注いで私の肌を焼いていく。
こんなにも暑いのに元気よく走り回る子供たちには感心する。
こんな田舎には高いビルなどないので見上げて映る景色は、大きな青い空と電柱のあいだを伝う電線だけだ。
いつだってこの景色は変わらない。
そしてこれからも変わりそうにない。
私が住んでいる町はきっとこれからも大して発展するように思えない。
でも、それはそれでいいのかもしれない。
これから町を離れるあなたがいつかこの町に帰ってきた時に、変わらない景色に安心するだろうから。
その時に私はいつだって変わることない青空と、電線が見えるこの景色の元であなたに声を掛けるんだ。
「おかえりなさい」