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僕、字書きに挑戦しはじめる。

 総勢10名以上の人物の絵を、僕たちは、たった数時間で描きあげました。

 ぽんぽんと次々に描いては、「全部良い」とお互いに褒め称えあったのです。


「好きな要素ばかりを持った人の絵ってこんなに良いものだったのか」と、その遊びの虜になった僕達は、しばらくの間その遊びで出会った人物達の絵をひたすらに描き狂いました。


 そのうちに、「これは絵だけではもったいない。彼らにも人生があるだろう。それを知りたい」ということになりました。


 それぞれ自分の好きな人物に関する、何らかの物語を紡ごう。です。

 そして、きっとこの人達はみんな同じ国の人だ。矛盾が無いように制作しよう。ということになりました。


 共有宇宙、シェアワールドと呼ばれる制作方法だと思います。


 それまでは男性ばかりを描いていましたが、物語を書くにあたって、女性も登場するだろうということで、女の子も描きました。男性しかいない世界なわけが無いので。

 ワルツで言うと、カミィとの出会いです。この「女性枠」に限っては、人に描いてもらうのではなく、最初からそれぞれ自分で描きました。


 そうして絵の人物同士の関係性に思いを馳せながら、この人達の生きる場所について考えます。


 ここからがなかなか難しかった。

 物語はそれぞれで書くとしても、世界は同じ。登場人物達が暮らす国の発展具合や各種組織の体系、歴史に、大きな動きの時系列、等、すり合わせなければならない部分があまりにも多いのです。

 しかも、この地球とはちがう遠い世界のことだから、正解がはっきりわからない。おたがいに自分の考えを述べることしかできません。「こうだと思う」と自分の考察を伝えても、相手が「いやそんなこと無いと思う」と言ったらもうだめなのです。


 育児に忙しいSさんは「2人の意見に従う」と一時離脱し、残った僕と壁サー子で話し合うことになったのですが。


 話し合いは、苛烈を極めました。

 何日もかかりました。24時間寝ないで議論した日もあります。お互いに妥協しあい、ときには喧嘩に発展する始末。最終的に投げやりになって、IFとかパラレルでも良いのでは? という結論にたどり着くことも。


 そんなやりとりを繰り返し、ある程度まとまった後。


 壁サー子の物語はそのうち漫画にする予定で、まずは絵を描いて練習をするということで、僕は先にひとりで小説を書きはじめました。


 僕の字書き歴といえば、絵本作家を目指していたときに少し文章を書いたことがある。あとは学生のときに児童文学のようなものを少し書いてすぐに打ち切り。

 他には少しだけテキストサイトを運営したり、ちょっとした詩みたいなものをこっそりしたためていたり……その程度です。


 というわけで、ほぼはじめての小説に挑戦です。


 文章作法なんてもちろん知りません。「…」はひとつだし、「―」はマイナスです。行頭字下げもないし、考えていることは全て()でくくります。数字にも言葉にも統一性は無く、構成の良し悪しなど発想すらありません。とりあえず登場人物達の繰り広げる出来事を時系列に並べて書きました。


 そして出来上がった「そしてふたりでワルツを」第1稿。

 今でこそ、最初の山場までに3~4話ほどですが、この第1稿では、後に夫婦となる主要人物2人が出会うまでに、9話もかかりました。

 盛り上がるまで長すぎて、読む側からすると飽きるでしょう。


 それでも僕は、こうやって登場人物達のことをいろいろ考えて字に起こしているだけで満足でした。


 僕は小説の新しい話を書くたび、壁サー子の人物が登場する部分について、「この人のこの場面の行動はなぜこうなるのか?」「この台詞はどういった心情からか?」と確認をとっていました。


 そしてある日、壁サー子に言われたのです。


「いちいち確認とられるんめんどくさい! もう飽きた!」


 なん……だと……。

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そしてふたりでワルツを【小説版】
webサイト【漫画版はここから】

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