3D人形にたよりはじめる。
前回のあらすじ
小説家になろうの挿絵機能を知り、「いける」気がしたので、挿絵を入れることにしました。
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にしても、毎話挿絵を描くのは時間がかかって大変です。もっと素早く描きたい。
そんなことを考えていたとき、壁サー子にとある3D人形を教えてもらいました。
人物ごとに骨格や筋肉量や頭身などを設定して保存ができて、自由にポーズを取らせることができる便利なソフトです。
これはすごい。
僕は教えてもらって即それを購入しました。
そして作ったゲツエイという人物の3D人形がこれです。
微妙に、違和感。
あまりにも自由に設定できすぎるのです、3D人形というものは。
僕は「足は長いほうが絵にしたときかっこよかろう」と思い、足をとりあえず伸ばしました。全員の足を伸ばしたのです。
そして、「ふとももの筋肉があると強そう」という理由で、トーマス(王子)以外の全員太ももを太くしました。
トーマスは他の人物よりさらに足を長くしました。王子だからです。
あとは人物ごとに上半身の筋肉量をふやしたり、顔の輪郭の形をかえたりして、全員分の体型を設定しました。現実で似顔絵などを描くときだって、あえて少し崩したり整えたりして、その人物の特徴を誇張することがあるじゃないですか。そういうことをしたつもりになっていたんです。
――それがだめだった。
勉強した今ならわかるのですが、そもそも人体には基本のバランスというものがあります。誇張されている絵であっても、それは基本を知ったうえで違和感のないように誇張しているのであって、何も知らないのに好き勝手に弄って魅力的なものになる可能性は高くないんです。
僕はそんなことも知らなかったので、とりあえずいろんな部分を誇張して設定をしました。
その結果、全員、微妙に違和感のある体型に。
けれど、僕はその違和感に気がつくことはありませんでした。
とりあえず全員が違う体型になったたので、「人物ごとの個性が出てていい感じ」とむしろ肯定していました。
そしてもうひとつ、3D人形には罠があります。
こやつらは、人間ではありえない動きをする。
さすがにここまでになると分かります。
けれど、少しおかしい、くらいのものに気づく目を、僕は持っていませんでした。
3Dは肩周りが弱いです。肩がよく埋まります。
あと腰周りも弱いです。
でも僕には分からない。
3Dを使ってはじめて描いた絵はこれです。
うーんなんとも言えない。
3D人形というもの自体はものすごく便利で、使える人が使えば、ポーズや構図のおおまかな確認や、あたりをとる(単純になぞって描くのではなく、おおまかに目安をつけて、細かな部分は自分で補正して描く)とか、人と人の大きさの差の確認とか、非常に有用だと思います。
このときの僕にはそれができなかったので変になっていただけです。