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ハッピーエンドじゃ終われない  作者: りゅう
1年生
6/44

大会2

「今までの結果は、

まず八木さん2ポイント

次に広川さん1ポイント

同じく塚本さん1ポイント

同じく私、1ポイント

ビリが・・・」

「ビリのドン決が、キリ!!0ポイント」

食べていたおにぎりがのどに詰まった。

「げほげほ・・・」

だってさ、しょうがねぇじゃん?

俺、やる気ないし。

だいたい部活自体、無理矢理だったし?

「あたしが、連れてきたんだから、もーちょっとねばれっつーの!!」

里美が、さっきからこっちを睨んでる。

や、だから無理矢理だったし・・・。

つーか、むしろ、ビリを強調するな!ビリを!!

俺だって、傷つくんだけどなぁ。

「まぁまぁ、里美。キリだって、初めてだったんだし・・・。初めてのわりにはすごいんじゃない?」

「甘い!!甘すぎるよ、茜!!そうでしょう?あいぼん」

「そうね・・・」

静かにメガネを外して、魅惑的に微笑む。

「練習のときよりも、集中が足りないんじゃないかしら?」

その、あいぼんの下目遣いが俺の心臓を刺激する。

ドクドクと、鼓動が耳元で聞こえてくる。

「午後は、もっといい結果を見せてくれるわよね?」

やべぇよ、俺の心臓。

外にもれてねぇか、っつーか、破壊されそう・・・。

にっこりと笑いつつ、メガネをかけ直す。

「そうそう、一回くらいは勝ってくれないと」

いったん、言葉が止む。

「あたし、帰りの電車であんた、突き落としそう♪」

ぞおおおお。

背中に悪寒が走った。今、絶対走った!!

っつーか、それ犯罪じゃん!!

「あら、突き落としちゃダメよ」

あいぼん、信じてたよ、お前を!!

「飛び降りにみせなきゃ」

ちょっと、待て!!

「あはははは」

先輩がいきなり笑い出した。

「君たちの会話は面白いけど、もうそろそろお昼食べ終わらないと、ヤバイよ?」

時計は、1時半をもうそろそろ指しそうだった。

慌てて、俺たちは食べ始める。

「食べながらでいいから、聞いてて。次の試合だけど、

八木さんが4将の人、

広川さんが3将の人、

塚本さんが4将の人、

私が副将の人。

そして、片桐さんが・・・

大将の人」

思わず、飲んでいた茶を全面的に吐いてしまった。

「汚いなぁ」

うるせー、それもこれもお前のせいだろうが、里美!!

てめぇは人を殺そうとしてるくせによ!!

「3ポイントとれば、決勝に行けるから、八木さんと、広川さんと、塚本さんが勝ってくれれば良い。

私は負けるからさ」

いや、先輩。

さらっと、負けること宣言しないでください。

むしろ、俺は負けること決定なんですね・・・。

確かに、午前中負けましたよ?

しかも、4将と5将に!!

でも、しかし、BUT!!

もしかして、勝てるかもしれないじゃないっすか?

ようやく全員が食べ終わって、そろそろ会場に戻ろうとしたとき。

「こんなところにいたぁ」

聞き覚えのある声が響いた。

「みかちゃん!!」

「もぉ、今日会おうねって言ったのそっちじゃない。

いきなり消えちゃうし。そっちは二部リーグで会わないし・・・。

ひどいと思いますよ」

「ごめんごめん、忘れてた」

その、忘れられぬ、声。

「皆、紹介するね。あの進学率が高いM高校の"市ノ瀬みか"ちゃん」

「初めまして。市ノ瀬みかです。

里美ちゃんとは、最初はペンパルだったけど、最近はメル友になってます」

そっと、振り向くとやはりそこには、忘れられない俺の"天使"がいた・・・。

「片桐・・・君?」

驚きと、動揺が目にとってわかるように、彼女は止まってしまった。

「?」

状況がつかめないでいる俺とみかちゃん以外はキョロキョロしている。

いや、先輩だけはどこか、俺を観察しているみたいだ。

「・・・」

何も言うことが出来ずに、俺は立ちすくむ。

「・・・ああっ!!」

里美が、どこかひらめいたように言う。

「片桐麻衣。片桐大のイトコだって。

前、メールでいってたじゃん?異常に私に詳しかったイトコさん」

「・・・そう」

納得したように、みかちゃんは里美を見た。

「市ノ瀬みかです。よろしく、麻衣さん」

「・・・よろしく」

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