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ハッピーエンドじゃ終われない  作者: りゅう
2年生
44/44

秋といえば?

なんやかんやとありましたが、既に季節は秋になっております。暦の上では、とっくに来ていたが、気温が追いついてなかった。

だってさ、10月入ったのに、最高気温30度超えとか真夏日って、夏ついてるやん。これを秋と呼んではいけないと思います。

と、そんなどうでもいいことは置いておいて。


さて、みなさん、秋といえば何が思いつく?

食欲?読書?スポーツ?芸術?…まぁ、他にもいろいろとあるだろうけど、忘れちゃいけない。

そう、修学旅行!!恐怖の修学旅行がやってまいりました。

これだけ言えば、わかるかな?俺のテンションがおかしくなってる理由。

どうにかこうにかサボる手段はないかと試行錯誤したが、結局思いつかずに、ただいま、駅に集合して点呼取られています。

いや、普通なら修学旅行は楽しみにしてるよね?俺だって、普通の状態だったら、楽しみだと思うよ。

例え場所が中学ですでに行っていた、京都・奈良(ついでに兵庫)だとしても。

でもな、考えてほしい。いくら集団で大浴場に入るわけでもなく、2人ないしは3人部屋の風呂に入る予定でいても。何かしらトラブルが起きる可能性があるってことを。

本来なら風呂は、ホテルの大浴場にクラスごとに時間制で入ることになっているのだが、女性特有の日の生徒は、部屋風呂に入ってもいいことになっている。俺が大浴場に入るわけにはいかないから、もちろん部屋風呂コースだ。だが、もし、同室の女子(王子と鈴木さんなんだけど)が部屋風呂コースを選んだとしたら、俺、どうすればいい?

先に入るとして、俺の風呂が長くて待ちきれず、女子同士だからいいよね、なんてノリで風呂に入ってこられたら、終わるだろ?かといって、あとに入るとさっきまで女子が入ってた風呂に妄想しない自信がない。あと、よくあるうっかりカウントで裸の鈴木さんを見るというラッキーがあるかもしれないことを期待したりしている自分がいたりもするし。

だって、男の子だもん。

王子ならともかく、(あいつ本当に女か時々疑ってしまうこともあるし)鈴木さんは、地味目だけど、よく見るとかわいい。さらに、胸も結構あるんだよね。水泳の授業の時にチェック済み。(変態とかいうなよ!プール見学の時に、レポート提出しなきゃいけないから、授業風景をちゃんと見とかないと書けないだろ?そのときに、女子の胸に目がいくのは、男の性だから。どうしようもなく、逃れられないものだから)

風呂入って、妄想して眠れなくなって、次の日の行動に支障が出ても困るだろ。それに、女子と同じ部屋で眠るってさ。こう、わかってくれるよな。無防備な女子が目の前にいて、寝てるんだぜ?据え膳食わぬはなんとやらをできはしないけど、考えちゃうだろ?

と、これから2泊3日の修学旅行、つまり2回も試練の待っている修学旅行を目の前にして、普通のテンションでいるとか無理。


◇◆◇


「キリ、さっきから何ひとり百面相してんだ?」


点呼も終わり、先生の指示に従って、指定の席に座ったときの、王子のセリフ。

ちなみに、新幹線の3人席で、窓側から鈴木さん、王子、俺の順番に座っている。

鈴木さんは酔いやすいそうなので、窓際で景色を眺める作戦だ。まぁ、最悪、新幹線にはトイレついてるし、どうにでもなるだろう。


「別に、ちょっと憂鬱なだけだよ」


これからのことを思ってな。俺の危機的な意味で。


「まぁな。なんで、わざわざ宝塚を見に行くのか理解ができないよな」


王子は、日程の一番最初にある宝塚を見に行く意味を見いだせないでいた。それは、俺も同意である。


「ああ…。日本の伝統を学ぶとかなんとか言ってた気がするけど。俺は、それだったら歌舞伎とか能の方が一般的だと思うよ」

「だよなぁ」


そういって、王子は鈴木さんの様子を見る。新幹線が動き出してからまだ数分しかたっていないのだが、鈴木さんは全く会話に入ってこない。すでに気分が悪いのか、こちらの会話を聞く余裕もなく外を見ていた。


「鈴は、大丈夫なのか?」

「ん。大丈夫。ごめんね、酔うと困るから外見てるから、二人で話してて」

「あぁ、それは構わないが。昔から、酔い止め飲んでも弱いよな。何かあったら言えよ」

「ありがとう」


幼馴染だった二人は、お互いにわかりあっているようで、少し恐ろしい気分に襲われる。


俺にもいる幼馴染と呼べる存在は、同じ学校にいるけど、大だなんて言えないわけで。

クラス違うから大丈夫だと思うけど、里美にばれないようにしないとなぁ。そもそも、初登校の時点で、バレそうになったことは忘れられない。従妹の麻衣だといってあの時は引いてくれたし、部活で一緒にいるけれど、あれから特に何も言われてないから、気づかれてはいないはず。だけど、それで安心していいかと言われれば違うわけで。

今まで、泊りとかじゃなかったから46時中一緒にいることはなかったが、俺が気づいていない癖とか里美が知っていて、それがたまたま見られてしまう可能性も0ではないわけで。

俺は、運がどちらかというと悪い方で。悪い方向で偶然が起こったりすることの方が多い気がする。

そっと、ため息をして、この旅行が無事に終わることを祈る。


◇◆◇


新幹線を降りてから、クラスごとにバスに乗り、宝塚に到着する。

そこには、人があふれていた。某テーマパークほどではないが、平日だというのに、人がいっぱいなのだ。しかも、化粧なのか香水なのかわからないが、すごく一人一人から強烈な個性的なにおいを放つ妙齢の女性(ありていに言えば、ババア)で。いや、若い子もいるし、男もいるけど、圧倒的少数派で。

人酔いするかもしれない。バスの中で食べた昼食の弁当が駆け上っている気がする。

上演まで時間があるからお土産コーナーを冷やかそうと思ったが、やめた。上から何かが出る。

比較的に人が少ない場所に避難すると、そこにはカルタ部の連中もいた。


「キリ、あんたも避難してきたのね」

「すごい人ごみですもんね」

「あぁ、ちょっとお土産コーナー見ようとか思ったけど、人ごみで諦めた。…里美は?」


悪と塚本さんはいたが、里美の姿が見当たらない。


「里美なら、そのお土産コーナーに挑んでいたわよ。一生に何度も来るとこじゃないから堪能するんですって」

「里美さんは、バイタリティありますからね」

「あぁ…」


あの小さな体であの人ごみにチャレンジする里美を想像して、なんとなく納得してしまった。

里美は昔からよく言えば好奇心旺盛で、悪く言えば猪突猛進のところがある。そんなエネルギッシュさは部活でも発揮されていて、札を思いっきりとりに行くのはいいが、そこにあると思い込んで突っ込むことも多い。競技カルタは、枚数が少なくなるにつれて、札の場所を移動することも多いので、覚えなおしを何度もやり、出た札を頭で考えていなければいけないので、頭を使うのだ。思い込みをしてしまうのもしょうがないとも思ってしまうが、あの勢いで突っ込んでこまれると、俺の記憶が間違っていたのかとついつられてしまいそうになる。


「そろそろ開きますし、席に行きませんか?」

「そうね。行きましょうか」


塚本さんと悪が席へと移動する。俺も、それに倣って、席に移動することにした。

なかなか広い会場で、一学年400名以上いるのに、全員が座れ、なおかつ一般客も大勢はいる大きさにびっくりする。さすが、日本が誇る宝塚といったところだろうか。

プログラムによると、二部構成で、一部が歴史を題材にした劇、二部がショーのようだ。

演劇を生で見るのは久しぶりなので、ちょっとワクワクしながら開演時間を待った。


そして、これが終わると、恐怖のホテル行き。

果たして、俺は、無事に一日を終えられるのだろうか。

誰か、教えてください。


まぁ、今は、劇を集中してみるけど。

楽しまないと金がもったいないもんね。

宝塚を非難するつもりはありません。

個人的には、すごいと思ってます。

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