表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハッピーエンドじゃ終われない  作者: りゅう
2年生
34/44

デートはさりげなく誘おう。

あの日以来、一ノ瀬さんと連絡をとるようになった。と言っても、用事もないのにどんな内容を送ればいいかわからなかったので、直球で誘った。

今度、M市に用事があっていくので、会えないかと。

いや、あのさ、友達だから会いたいって言ってもいいんだけどさ。その、恥ずかしいじゃん?

一ノ瀬さんからの返事は、OKだった。

事前にM高の部活がないかとか、塾の夏休みの講習が何時に終わるだとか聞いておいたから、用事のない日をチョイスした甲斐があった。これで断られるとへこむよ。

こうして、俺は、当日までに着ていく服を選んだりと忙しく楽しい日を過ごした。まぁ、服と言っても、女物かユニセックスな服しか持ってないんだけどな。ホントはこう、男っぽい服を着たいのだが、身長のせいなのか、男装した女にしか見えないと言われて以降、ユニセックスな服を着ている。これだと、ギリで男に見える。少なくとも、男装した女には見られない。

いや、顔が女顔というのもあるってわかってるよ。でもさ、こうにじみ出る男らしさってあるじゃん?ユニセックスな服がその男らしさをより際立たせてくれてると信じてる。


デート当日。俺はいつもよりも早くに起きて、準備をする。と言っても、髪をワックスで遊ばせたりとかしたりしない。あれって、慣れてないとつけすぎてしまって、頭がてらてら光ってかっこ悪いんだよな。はっきりいって、そんな奴と一緒に歩きたくないだろう。朝シャンをして、汗臭さを流し、軽く制汗剤をつける。香りは柑橘系。なんかさわやかな感じがするだろ?朝ごはんを食べて、歯を磨き、顔を洗って、化粧水をつける。日焼け止めを塗って、白く跡が残っていないか確認する。

財布の中身を確認して、サブバックにハンカチ、ティッシュとともに入れる。

よし、忘れ物はないはず。

真新しいスニーカーを履き、のんびりと駅へ向かって歩く。できるだけ汗をかかないように気を付けるが、じりじりと照り付ける太陽の光で体温も上昇。うっすらにじむ汗をタオルで拭きながら、駅につく。交通手段はもちろん電車だ。汗臭い男とデートなんて嫌だろ?そりゃ、生理現象だからしょうがないけど、においや見た目の不快感をなくす努力はすべきだろう。特に女子って清潔感なるものを大切にするからな。

この前の二の舞にならないように、注意して電車に乗る。今回は、だいぶ空席が目立ったので、安心して座る。スマートな席譲りって大変だ。あとから知ったのだが、この世にはマタニティマークなるものがあって、それをカバンなどにつけることにより、妊娠しているか否かを他人に知らせるキーホルダー的なものがあるらしい。赤ちゃんを抱いたお母さんのマークだ。ネットで調べた際に、妊婦様問題が勃発しているというのも知った。まぁ、妊娠してるんだから、席を譲るのが当たり前だよねって態度はムカつく。あくまで善意の末なのだから、善意の強奪も、押しつけも互いにしこりが残ってしまう。お互いに気持ちよくできるからいいものなのだ。まぁ、最近はひねくれたものの見方をして、いい子ぶってるなどと言われたくなくて、善意を表に出せなかったりするが。周りというか社会全般が善意を容認できる雰囲気になれば変わるのかもしれないが、まあ、無理なんだろうな。

ボーっと、景色を見ていたら、目的の駅に着いた。電車から降りると、駅ビルに入っている洋服屋さんに行く。一応、用事があって来ていることになっているので、S市にないこの洋服屋で欲しい洋服を買うという大義名分を果たしておくことにした。本当は一ノ瀬さんに選んでもらったりとかしたいんだけど、恥ずかしい。S市には、中学の知り合いが多く住んでいるのだから、買い物してる様子とか見られたら恥ずかしすぎて死ねる自信がある。

夏だから、淡い色がいいと、水色のシャツを購入。俺の好きな漫画が今度映画になるので、それを記念したコラボTシャツで、男女ともに着られる無難なデザインだ。漫画自体が少年漫画ではあるが、女性にも大人気なのだから、男女ともに受けるデザインとなったのだろう。

紙袋を受け取って、時計を見ると、待ち合わせの15分前。トイレで制汗剤をもう一度つけてから、待ち合わせ場所へ向かう。

待ち合わせの噴水前に10分前に着いた。周りにはほかに待ち合わせをしているであろう人がたくさんいる。その中にひときわ可憐でかわいい一ノ瀬さんの姿を見つけた。白い半袖のカーディガンに、赤い花が刺繍された膝丈スカート、夏らしい麦わら帽子がいつもと違った雰囲気を出していた。まだ、時間になっていないせいか、カバーをかけた本を読んでいる。驚かせたりしないように注意して、声をかける。

「一ノ瀬さん」

「片桐君。こんにちはぁ」

俺に気づいた一ノ瀬さんのふんわりとした笑顔に心が癒される。あー、かわいい。

本を手荷物の中にしまい、俺の方に小走りでやってくる。その小動物としか思えない行動が、また、かわいい。

「用事は終わりましたかぁ?」

「うん、終わったよ。ありがとう。…じゃ、お昼行こうか」

事前に食べたいものを教えてもらい、お店を調べてあったので、スムーズに進む。

「楽しみですねぇ」

一ノ瀬さんもそのお店のことが気になっていたらしく、上機嫌で隣を歩く。

駅からちょっと離れた場所にあるそのお店は、三か月前にオープンしたばかりなのだが、口コミで一気に人気が出たオムライス屋さんだ。ネットでの評判を見る限り、民家を改装して作ったため、こじんまりとしているが、アットホームな雰囲気ととろとろのオムライスがとても合っていて絶妙らしい。どこか懐かしい家庭の味がするらしいのだが、とろとろオムライスを普段から出てくる家庭ってなかなかないと思う。家では、薄く焼いた卵をうまく巻けずに上にのせてあるだけのオムライスが定番だ。

今日も暑いねと話しながら、歩けば、すぐにお店に着いた。

現在11時14分。11時半オープンのお店なのに、すでに先客が並んでいて、人気ぶりがうかがえる。その後ろに並んで、楽しみだねと、メニューを見る。本日の日替わりオムライスは、きのこと揚げナスのミートソース。一番人気はケチャップオムライスとシンプルなもの。どれにしようかなんて話しているうちにオープンの時間になって、お店に入る。

中は、評判通り、こじんまりとしていたが、家具がすべて木製で温かみのある雰囲気になっている。ところどころにある猫の置物もかわいいアクセントとなっている。女子が好きそうな感じだなぁと思っていると、一ノ瀬さんが感動して目をキラキラさせていた。また、先にいた女の子2人組もはしゃぎながら店内を写メしまくっている。うーん、写真を撮るのはいいけど、後ろつかえてるんだよね。狭い店内なので、人が通れる隙間がせまく、行き違いができない仕様となっている。だから、前にいる女の子が店内を写メっていると、当然後ろの俺たちも進めない。こういう周りの迷惑をかけるような行為はあまり好きではない。俺と一ノ瀬さんは苦笑して、女の子たちが満足するまで待っていた。

ようやく席に着くと、店員さんに注文して待つ。その間、あそこにも猫がいると、店内猫探しなんかをしていた。

二人して、一番人気のケチャップオムライスを食べて、店を出る。おいしかったねなんて話しながら歩き、M湖公園に行く。M湖公園は、その名の通り、M湖の周りを一周ぐるっと囲っている公園で、散歩コースとして人気が高い。また、遊具と観覧車、季節ごとにクレープ屋さんやアイスクリーム屋さんがあって、小さな子どもにも人気のスポットだ。

M湖の周りを歩きながら、花がきれいだねとか話す。なんというか、もう夫婦の領域に達してるみたいでうれしい。途中、アイスクリームを食べて、休憩してから、観覧車へと一ノ瀬さんを誘った。

次に続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ