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ハッピーエンドじゃ終われない  作者: りゅう
2年生
26/44

テストは一夜漬け派です。

ほんのりBLっぽい表現入ります。ご注意ください。

なんだかんだと時は過ぎて、期末考査が始まる。

文化祭以降、元実行委員を中心に女子との仲が縮まった気がする。少なくとも、教科書や辞書の貸し借りをする程度には。さらに鈴木さんとも仲良くなり、クラスでの視線が緩和され、過ごしやすくなっていた。


現代文のノートを見返しているが、さっぱりわからない。そもそも何を勉強すればいいのかすらわからない。古文と漢文は文法とかとにかく暗記すればいいと知ってるが、(あれは日本語ではなくて、外国語だ)現代文はどうすればいいかわからない。何?ここの文から主人公はこう思った?うん、わけわからん。

と、勉強が遅々として進まない。

そんな時、秀から麻衣宛にメールが届いた。連絡を入れて以降、毎日こうしてメールが届くようになった。大宛には週一くらいのペースなのに。

拓也といい、秀といい、女子相手には毎日メールしないといけない法律でもあるのだろうか?

俺も大として女子と連絡とるようになったら、見習うか。

いつも他愛ない日常会話や大についてなど、今日は果たして何の話題かとメールを開く。

そこには、明日会えないかと、一言。

S高もテスト期間で部活が休みだから、テスト後に会いたいという意味だろう。明日は金曜日で、次のテストは月曜日。テストの中休みに遊ぶ者は多いだろう。かくいう俺も、テストは一夜漬けタイプなので、適当に過ごす予定であった。つまり、予定は空いている。だが、だからと言って制服スカートで大(俺)の知り合いに会う趣味はない。

どうにか断ろうと、テスト勉強するから会えないと送る。すると、月曜日以降のテスト科目は何?とくる。世界史Aと地理B、数学IIB及び英語II、オマケに化学Iである。素直に科目を送ると、すぐに返ってきた返事。すると、世界史と英語が得意だから教えるという素敵なお言葉。

確かこいつも理系だったはずなのに、暗記科目も得意とか…。イケメンよ滅べ。

ちなみに、俺が数学が得意なのはこいつも知っているから、何も言ってこなかったのだろう。

なんだろうか、何かコツでも教えてくれるつもりなのだろうか?

はっきり言うと、魅力的な申し出だ。いつも平均を下回っている(赤点では断じてない。ここ、重要)世界史を教えてもらえるなら歓迎だ。しかし、制服…。少し悩んでいると、ダメ押しとばかりにメールが届く。

俺の中間テストの成績。という題名で画像がついていた。ファイルを開くと、学年総合順位21位という、好成績の成績表。バランスよく全教科取れていた。得意だというだけあって、世界史の順位は学年3位。ついでに日本史選択だ。覚えることが多い歴史系を選択しているところをみると、暗記系が得意か、歴史が好きなのかもしれない。

ぜひとも、よろしくお願いします。

気が付けば俺のささやかなプライドなど、ごみ箱に捨て去っていた。

いや、あのさ。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥というだろ?つまりは、ちょっとスカートを我慢すれば、憂いない夏休みが待っているというわけだ!そのためなら、スカート恥ずかしいなど、大事の前の小事にすぎぬ!


テストが終わり、待ち合わせ場所である駅の噴水前に向かうと、そこには既に秀の姿があった。声をかけようと小走りに近づいていくと、秀に話しかける女子がいた。

知り合いか?

私服姿のギャル風な女子がしきりに秀に話しかけているのだが、秀は無表情で一言二言返すだけである。どこか不機嫌な様子に見える。どうしようかと少し離れた場所でその様子を見ていると、秀と目が合う。すると、どうだろう。ホッとしたような笑顔になって。

「片桐さん」

こちらに向かってきた。

おいおい、女子をほっといていいのか?

女子はこちらを向いて、俺を少し睨みつけるように言う。

「あーあ、待ち人来ちゃったか」

俺を待っている間に、ちょっと話してただけなんだろうが。睨むってことは、もっと話したかったということだよな?

「待たせてごめんなさい。あちらの方はいいの?」

秀に一応謝っておく。

「いや、大丈夫。じゃ、行こうか」

強引に秀が手をつないで、その場から逃げるように去る。俺は振り返りながら、ついていく。女子は、しばらくこちらを見ていたが、諦めたように別の方向へ歩き出した。

ファミレスに入ると、すぐに席に案内された。席に座りながら、俺は気になっていたことを聞く。

「お話してる途中だったのに、よかったんですか?」

「なんの話?」

本気でわからないという顔をする秀に呆れる。

「私が来る前に、女の人と話していたじゃないですか?途中みたいでしたけど、よかったのかなって」

「え?…あぁ。別に、知り合いでもないし、暇って聞かれてただけだよ」

何でもないという風に答える秀。

あぁ、逆ナンというやつですか。イケメンは大変ですね。

そういえば、メニュー表を眺めている秀は、男の俺から見ても整っている顔をしている。俺のような女顔ではなく、カッコいい系の顔だ。確かに女子が騒ぐのもわかるような気がする。

うらやましくてじーっと見ていたら、目が合う。

「…何か俺の顔になんかついてるかな?」

「え?顔がカッコいいなぁって思いまして」

途端に、秀が目を見開いた。

「…ありがとう。もう、メニュー決めた?」

顔が少し赤くなっている。さらりとお礼をいう辺り慣れているっぽいけど、これは間違いなく照れてる!顔もいいし、頭もいい、足も速い秀の意外な弱点を見つけたようで俺はニヤニヤしてしまう。

「ん~、おろしハンバーグにするって決めてます」

「わかった」

店員さんを呼び、注文を済ませると秀が水を飲む。顔はまだ赤い。

もう少しからかってやろうと俺は口を開く。

「本当に、見れば見るほどカッコいいですよね!惚れちゃいそうです!」

秀がますます赤くなるものだから、俺はつい調子に乗ってしまう。

「彼女に立候補したいくらいです」

「…本当に?」

ずっと赤くなるだけだったのに、どこか色気を感じさせる表情でこちらに問いかける。まるで、肉食獣に狙われた獲物のような気分になる。

「そしたら、俺、彼氏に立候補しちゃうよ?」

黙ってしまった俺を面白そうに見つめてくる瞳が、色っぽい。その視線に絡めとられてしまいそうで、必死に俺はとんでもないことを口走っていた。

「私には彼氏がおりますので、間に合ってます!」

「…」

目をつぶって叫んだため、秀の表情はわからない。ただ、無言の時間が過ぎて…。

「どんなやつ?」

「え?…えーと」

今更嘘でしたなどとも言えず、必死に頭をフル回転させた結果。

「みんなに王子って呼ばれてて、いつも一緒にいるんです」

頭には王子の姿が思い浮かんで、反射的にそう答えていた。

「ふーん…」

なにやら、納得していない秀に、必死に王子の説明をする。

「優しくて、バスケやってるんです。すごくカッコよくて、男前で…」

しどろもどろに俺が王子の特徴を言っていると、秀の組んでいる手が小さく震えているのが見えた。それは、笑いをこらえているようで。ようやく秀にからかわれていたことに気づいた。

「からかわないでください!」

むーっと、頬を膨らませてみる。ごめんなさい。女の子がやるとかわいいけど、俺がやるとキモいだけですよね。わかってます。でも、もう引っ込みつかないので、続行します。

「…ごめんごめん。怒らないで」

秀が謝ってきたので、これ幸いにと俺は顔をもとに戻す。

「別にいいですけどね」

などとやり取りをしていたら、料理が運ばれてきた。

それを合図に和気あいあいとご飯を食べて、互いに教科書を取り出す。世界史の教科書は同じだが、英語の教科書が違った。学校が違うとこういうことが起こるんだな、と俺は納得する。

世界史は教科書をベースに、英語は参考書を使って勉強することになった。


夕方になって、キリがいいからと解散した。

俺は、いつになくすっきりと世界史を理解していた。S女もS高も進学校と呼ばれているだけあって、世界史など入試で必要な科目以外は、センター対策のためとマークシート式になっているという共通点があった。また、出題傾向もセンターに準じているため、ここだけ押さえればいいというポイントを教えてもらい、自信がついたのだ。英語は今までなんとなくで解いていた部分の基礎的なところから見直したりしたため、すべては終わらなかったが、俺一人ではここまで進まなかっただろう。

すごく充実した時間を過ごした金曜日だった。


そうして、家でも勉強した結果、テスト当日、今までにない手ごたえを感じて終わらせることができた。

あいつ、家庭教師向いてるんじゃないだろうか?

センター試験、廃止されますよね。今後はどうなるのでしょうか。

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