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ハッピーエンドじゃ終われない  作者: りゅう
2年生
25/44

姫ポジションって?

ほんのりGL風味?

少し胸くそ表現出てきますので、ご注意を。

俺は今、人生最大の屈辱を受けている。


実行委員での打ち上げはカラオケだった。ドリンクバー付きフリータイム。人数が多いので、3部屋借りてやっている。なんとなく無礼講の雰囲気で学年入り乱れた初期配置だったが、時間が経つにつれて、部屋を行き来するものが増えた。ちなみに俺は初期配置から動いていない。

実行委員の中で浮いている自信があったのだが、積極的に先輩、同級生に話しかけられた。女子校だから、理系が少なくて、理系イコール頭いいと思っていたから、話しにくかったとか。(理系イコール頭いいは間違ってると思う。それに、俺は頭は良くない。数学以外は悲惨である)黙々と真面目に作業してたから、きっかけがなかったとか。(女子のオシャレの話題や校内の噂がわからないし、混ざれる気がしなかっただけだ)

けれども、かるた部の連中と仲良く話していたり、イメージカラーがピンクになったりと、話してみたかったんだそうだ。話してみると意外と普通だねというお言葉を頂いた。うん、俺って普通じゃないんだけどね、主に性別が。

王子と仲良くて羨ましいという話もあったが、突き刺さるような視線ではなかった。なんというか、同じ時間を過ごしてきて、噂のような人物とではないとわかってるからって。かるた部の連中が俺はちょっとズレてて面白いとか、裏工作をしていたようだ。なんか、矛盾してるけれども、生暖かい言葉に俺は居心地の悪さと共に居心地の良さを感じてしまった。

これも、かるた部が俺を浮かないようにしたせいだ。

頬が赤くなるのを、冷たいウーロン茶で誤魔化した。

飲み物を取りに外に出て、ドリンクサーバーの前で何にしようかと悩んでいたら。

「かーのじょっ」

軽い声と共に、肩に手を置かれた。なんなんだと振り返ると、高校生くらいの知らない男2人組がいた。

「かわいいじゃん。ねね、今から俺らのとこ来ない?」

「楽しいからさ!お友達も誘ってさ」

…なんなんだ、この状況。

いわゆるナンパというものだろう。拓也に続いて2回目だ。男に声をかけられてもうれしくない。

無視して、ドリンクを入れ帰ろうとしたら、ドリンクを持っていない方の手を掴まれた。

「つれないなぁ。ちょっとだけだからさ」

強引な手にむかっとして、振り払う。

「男に興味ないんで」

そう言って後ろを向いたのだが、また腕を掴まれる。無言で振り払うと、もう1人が前に回り込んでいた。

「君ら、女のグループで来てんのわかってるから。気取るなよ」

「っていうか、男に興味ないって、レズ?ウケるわ」

なにやら、2人で盛り上がっている。どうしてくれようか。

「キリ、何やってんの?」

女にしては低い、聞き慣れた声が聞こえた。ちょうど女子トイレから出て来た王子がいたのだ。

「王子?」

なんでここに、と聞こうとしたが、男に遮られた。

「「王子?」」

トイレの入り口と王子を見比べて目を見開く男達。その隙に王子が俺を引き寄せた。

「俺の大事な友人に何か用?」

いつも飄々とした雰囲気の王子が、少し硬い声で聞く。俺は、流れで抱き締められてしまい、顔が赤くなる。思っていたよりも柔らかい感触と仄かに甘い匂いを感じて。

「おいおい、ホントにレズかよ」

「百合なら、もっと可愛い子同士のが見たいよな」

「っつーか、ホントに女?ないわー、萎えるわ」

などと、どんどん出てくる俺たちを貶める言葉たち。

何も知らないこいつらに何故こんなことを言われなければならない?

女子高生はじゃれ合いの延長で抱き合ったりなんて日常茶飯事だ。むしろ、男同士でもふざけて抱き合ったりする。なのに何故?

あまりの屈辱に唇が震える。

なおまだ俺たちに言葉を投げつける男に何か言おうと王子から抜け出そうとしたとき。王子がぎゅっと強く抱き締め直して。

「あんたらの目、大丈夫?どう見ても俺は女だし、この子とはただの友人だ。それ以上何か言いたいなら、俺が相手になるよ?」

ごめん、王子。すごくカッコいいけど、俺もあなたは男に見えます。スカート履いてないと男にしか見えません。

なにやら一触即発な雰囲気になってきた。

一応男の俺が、女の王子を矢面に立たせるわけにはいかない。

「いい加減に「いい加減にしなさいよ!」…?」

俺のセリフに被せるように、女の声が響く。

「さっきから聞いていれば、好き勝手言ってくれて」

「か弱い女の子虐めて楽しいのかしら?」

「コミュニケーションの取り方は人それぞれです」

「公共の場で見苦しい」

いつの間にか実行委員の皆が集まっていた。

大勢の女子に囲まれて、男たちが怯む。

「…なんだよ!ちょっとからかっただけだろ?」

「これだから女はウザいんだよ」

負け犬の遠吠えよろしく、吠えながらそそくさと逃げる男たち。

それを中指を立てながら里美が。

「一昨日来いよ!」

と少々口汚いセリフを言っていた。

「大丈夫?」

実行委員の皆が次々と声をかけてくれる。それは本当に心配してくれていたのがわかって。俺は何も言えず、ただ首を縦に振っていた。

王子は爽やかに、一人一人にありがとうございますと声をかけかけている。余裕だ。

王子は部活が終わってから、鈴木さんとカラオケに来ており、たまたまあの場面に遭遇したそうだ。

「キリはかわいいから、気をつけなよ」

と言って、部屋に帰っていく王子。

それを目をハートにしながら見送る一部実行委員。

それから、王子に庇ってもらって羨ましいだとか、本当に仲良くていいねだとか。普段、王子とは何をしてるのなど。王子関連の話題で終わった。


18時になり、解散して何故かかるた部2年と途中まで一緒に帰る。

「さすがピンクだよね。ピンチに王子が助けに来るとか女子力高い(笑)」

「ある意味、お似合いだったわ(笑)」

「キリさんはかわいいから、こういう事には気をつけてくださいね」

里美と悪は笑い混じりに、塚本さんは真剣に心配してくれていた。

そう言われて、俺は気づく。


いつの間に俺は姫ポジションになったんだ?


男の俺が、王子や実行委員の女子達に助けられ、女子力高いなどと言われて…。

俺が頭を抱えているうちに分かれ道に差しかかり、解散したのだが。

俺はどうやら、真剣に男として悩まなければならないと感じた1日だった。

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