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ハッピーエンドじゃ終われない  作者: りゅう
2年生
23/44

どうすりゃいいの?

ほんのりGL風味?入ってるかもなので、注意をお願いします。

文化祭一般公開日は2日間ある。ちなみにS女は、高校生以下の学生以外の一般客(親兄弟含む)は、事前に配布されるチケットを持っていないと入ることができない。昔、一般客が痴漢目的で入ったりと大変だったらしい。まぁ、確かに世間ではお嬢様学校といわれるだけあって、かわいい子が多い。見に行きたい気持ちはわかる。俺も、女子高の実態を知らなければ、見に行きたかったと思う自信はある。やっぱり、かわいい子と話したいし。えっ?一ノ瀬さんは好きだけど、好きな子とまた別枠っていうかさ。ほら、デザートは別腹っていうし、別に浮気をするわけじゃないんだから、いいだろ?

で、このチケットというのは、一人5枚まで申請できて、家族に配るものなのだが、噂によるとチケットを売買しているようなこともあったりするらしい。うん。お金かけてまで見に行きたいかな?

というわけで、(どーゆー訳だとか聞かないで)昨日に引き続き、走り幅跳びのコーナーにて店番中。鈴木さんも一緒なわけだが。王子と打ち解けられてうれしいのかどうかわからないのだが、昨日からもう王子の話をし続けていて、はっきり言って、おなかいっぱいだ。

「でね、王子と一緒に帰ったんだけど、その時にね…」

口調も微妙にため口になっていて、これは仲良くなれた証だと思うからいいんだけどさ。

「もー、キリちゃん、聞いてる?」

「うん、聞いてます」

「そう?でね、王子が…」

ちょっとにらみながら言ってくるところもかわいいよ。でもさ、女子って仲良くなるとこんなにおしゃべりになるものなの?ちょっと、めんどくさいんだけど…。

「よう、鈴、キリ、ちゃんとやってる?」

なんて、王子がたまに見に来て、鈴木さんと仲良くおしゃべりをしている。鈴というのは、鈴木さんのあだ名。鈴木すずというのが本名。で、二人は昨日一緒に帰って、お互いにもう無視することができないと結論に達したらしい。噂が怖いけど、それ以上に王子と話せない状況の方がつらいっていじらしいことを言われたら、そりゃ、ノックアウトするよ。王子の、俺が守ってやるに、男にも関わらず、俺すら惚れるかと思うほど、男前な一言で、二人でいちゃいちゃしてる。はたから見るとただのバカップル。二人でどこまでもいくといいと思うよ。

「キリ、ここなんだけどさ!」

なぜかこの二人、俺を巻き込もうとする。二人で話してればいいのに、俺が同じ場所にいないと嫌だという。なんだ?俺が砂糖でも吐けばいいのか?なんて、ごくごく平和に午前中は過ぎていった。


HR展リーダーおよび実行委員特権で、シフトが午前中のみの俺は、教室で昼を済ませて午後は適当に一人で過ごそうとしていたのだが。

「キリちゃん!約束通り、来たよ!短いスカートが新鮮でかわいいね。この子が、彼女の恵だよ」

なんて、相変わらずのナンパ野郎の拓也とその彼女の恵ちゃんに見つかってしまって、校内案内をする羽目になった。ちなみに、クラス全員同じ服装で、ラベンダー色のクラスTシャツにくすんだ赤いミニスカートを履いている。スカートの下にスパッツを履いてはいるが、指摘されると恥ずかしい。

「初めまして、片桐さん。恵です。そのせつは、お世話になりました」

なんて、恵ちゃんに丁寧なあいさつを受けました。恵ちゃんは、茶色がかったきれいな髪を高い位置でポニーテールにして、フチなしの眼鏡が切れ長い目によく似合っており、どことなくクールな雰囲気である。なんだか頭がよさそうで、俺も畏まってしまう。

「こちらこそ、お世話になっております…?」

「なぜ、疑問形?」

「いや、私、恵ちゃんと会うの初めてだから?」

「そこは、俺にお世話になってますでいいじゃん?」

「そうなん?」

くすくすくす。

なんだか、三文芝居のような会話に恵ちゃんが笑い出す。

「拓也が言ってた通り、面白いですね、片桐さん」

笑った顔が、先ほどの印象を塗り替えて、とても柔らかくかわいく思えた。ナンパな拓也にもったいなくて、思わずこんなことを口走ってしまった。

「恵ちゃん、拓也よりいいやついっぱいいるぜ。こんなナンパなやつより私とかどう?」

「拓也がナンパなのは、昔からなので大丈夫です。もう、慣れましたし。…それに浮気したら翔くんと付き合うって言ってあるんですよ?」

「キリちゃん、恵を誘惑しないでくれよ?それに、俺は絶対に浮気はしません!翔なんかに渡せるかっての」

翔というのは、拓也の一つ下の弟で、拓也と違って真面目な優等生タイプ。同じS高に通っているらしい。

どうやら、こいつらも俺に砂糖を吐かせたいのか、ところかまわず拓也がいちゃいちゃしようとしている。それをクールに受け流す恵ちゃんがさすがだと思う。しかし、拓也がボディタッチをするたびに、微妙に耳先が赤くなっていて、照れている様子がとてもかわいらしく、拓也の一方通行の愛ではなくて、本当に好き合っているんだな、とうらやましく思う。

講堂で合唱部のミュージカルを見たり、購買で文化祭限定のアイスを食べたりとなんだかんだと時間が過ぎていく。もちろん、悪と塚本さんのいる文特クラスの出し物や里美のクラスを見に行って、挨拶周りもした。恵ちゃんももれなく女子らしく、かるた部2年と仲良くおしゃべりに興じたのは面白い発見だった。どんなにクールな感じの子も、女の子はおしゃべりだ。拓也がそれを微笑ましく見ていたのが印象的で、あとで聞いてみたら、恵ちゃんが初対面でこんなに仲良くなれるのは初めて見て、うれしく思ったと。なんだかんだとかるた部2年は人懐っこいからなんだろうなと返しておいた。

一般公開の時間が終わりに近づき、二人を昇降口まで見送って帰ろうとしたところに、秀の姿を見かけた。どうやら男同士で来ていたらしく、3人の男と話していた。声をかけようかとも思ったが、現在俺は女子の格好だったのでやめた。そろそろ教室での反省会が始まるため、帰ろうとしたときに、秀と目が合う。

「片桐さん」

声をかけられてしまったなら、立ち止まらずにはいられない。秀は、周りの友達になにやら断ってからこちらにきた。

「久しぶり。前は悪かったな」

「…お久しぶりです」

心持ち声を高くして返す。

「突然で悪いんだけど、大のことで相談したいことがあるんだ。俺の連絡先知ってるだろ?時間のある時でいい、連絡してくれないか?」

「え…?あぁ…」

以前、大(俺)として連絡をするために、悪から麻衣(俺)が秀の連絡先を聞き、麻衣(俺)から大(俺)に秀の連絡先を教えてもらったという設定だったことを思いだす。

「あいに聞いてもらえるように頼んだんだけど、なぜか断られてさ」

頭を掻きながら困ったように笑う秀に、周りの女子の視線が集中しているのを感じた。秀は結構背は高いし、何気に顔も整っている。性格は気持ちいいくらいまっすぐで、女子にもてるのもわかる気がする。

うん。元カレが自分以外の女に連絡したいなんて言われても、複雑な思いをするよな。

「元カノに男紹介してって言われるところ想像してみて」

鈍感な秀に悪の気持ちを知ってもらおうと問いかけた。

「ん~?」

「…なんか嫌な思いしない?」

「いや?」

「なんで?」

少し悩んでいるようだったので、予測される気持ちを聞くと、違うと言われ、反射的に理由を聞いてしまった。

「なんでって…。もう、俺とは終わってるんだから、お互いにいいパートナーを見つけるために協力しあうのは普通だろ?」

終わったことを引きづらないタイプのようでうらやましい限りです。どうせ俺は女々しいさ!

「…秀…くんに聞いたのがバカでした。ごめんなさい」

「なんかバカにされてる?まぁ、いいけど。「おーい、秀!もう行くぞー」わかった!…連絡の方、よろしくな」

そういって、秀は友達とともに帰っていった。俺、OK出してないんだけど…。

え?俺は麻衣として、お前から俺の相談を受けろと?


反省会を王子に締めてもらって、王子と鈴木さんと途中まで一緒に帰った。

そして今、自室のベッドの上で悩んでいる。アドレスの問題ではない。携帯は一つしかないのだが、麻衣として女子高に通うことになったときに、母に2in1にしてもらって、番号とアドレスが二つもてているから。秀との(一方的な)約束を破るのもどうかと思い、連絡をしたのだが、その返信に困っているのだ。

大が走るようになったのに、陸上の大会に出てないのはなぜかとか。そもそもどこの高校に行っているのかとかなどなど。答えられるようなものではなかったから。

俺、どうすりゃいいの?

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