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ハッピーエンドじゃ終われない  作者: りゅう
2年生
16/44

戦隊モノは5人が鉄則だろう?

…結局のところ、俺は"押し"に弱い人間らしい…。

目の前にある現実に軽く溜息をつきたい気分だ。そんなことしたら、

殴られそうで怖いからしないけどさ。

「こら、キリ。手が止まってる!!」

里美に怒られて、俺は作業に戻った。作業といっても、簡単なものだ。

細長い三角形(おそらく二等辺三角形だ)に切った色とりどりの画用紙を、

爪楊枝で巻いてすばらしく鋭角になってる部分にのりをつけ、張って、つまようじを抜けば完成。完成品は、箱の中へポイして、またつまようじで巻き巻きさ。

ああ、なんて単調な作業だろうか?

頭を使わずに出来るから、皆で生物室の机に輪になって

おしゃべりをしながら製作中。その数だいたい15人前後。これが、

文化祭実行委員装飾班の人数だ。

文化祭実行委員とは、オープニング班と装飾班に分かれている。

オープニング班は、文化祭を始める際の開会式にて、講堂で創作ダンスを踊ってオープニングを盛り上げるそうだ。

(ちなみに去年はものすごく人数が多くて、派手なオープニングだった)

装飾班は、昇降口のすぐ目の前にある大きな階段、通称・宝塚階段

(いつからこの学校は演劇学校になったんだ?まぁ、確かに、女子高だけどさ…)

と、各教室に行くときに、最も使われる頻度の高い中央階段の飾りつけという、かなり地味な役割だ。

宝塚階段は、毎年その年の文化祭のテーマにあわせた絵を一段一段貼り付けて、階段を一つの"絵"に仕立てあげるのだ。

こっちの作業はほぼ完成しており、あとは細部の修正だけだそうで、俺らはせっせと中央階段の飾りを作っているというわけだ。

「…なんか、広川さんって、黄色って感じだね」

文化祭実行委員長だという、3年のM先輩(ショートカットでかわいらしい人だ)が、そう言った。

「あ~、なんかそんな感じだね」

他の先輩方も、口々に里美を見て、言った。

俺も、里美の方を見た。一年の初めの方は、腰の辺りまであった髪を

いつのまにかばっさりと切り、すっかり軽くなった頭は、いわゆるわかめちゃんヘアーに近いおかっぱぽい長さで、ところどころ外に跳ねている。身長も低く、元気一杯で明るい様子は、なるほど、確かに黄色っぽい。

「そうですか?」

里美が先輩に向かって聞く。

「そうだね。黄色いイメージだね」

浜崎先輩も黄色に賛成。さすがだね、よく見てるよ。

「なんか、イメージ色って、戦隊モノみたいね」

悪も話しに加わる。

「戦隊モノ…。なんかいいかも!!そしたら悪は赤だね、時期部長だもん」

なんて、里美が悪の発言にのる。

ちなみに、悪が時期部長というのは、どうやら悪が里美や塚本さんを誘って、かるた部に入ったらしい。

つまり、仮入部から本入部までいたのは悪だけだったらしい。

「茜もそう思うでしょ?」

もくもくと一人話もせずに、巻き続けている。

「「茜?」」

里美と悪が同時に呼び、ようやく気づいたように、

「えっ、あっ、…何?」

慌てて返事をする。

どうやら集中していて、周りの話など、耳に入っていなかったらしい。集中力だ。

「イメージ色って、戦隊モノみたいでよくない?って、話してたの」

「イメージ色、ですか…。そうですね。そうしたら、あいぼんさんは、赤ですね」

…いや、そこでやっぱのるのか?

「M先輩、茜は何色ですか?」

「えっ、そうだね…」

自分の何気ない一言で、ここまで話広がっちゃった~。みたいな感じだぞ。

あせってるぞ!?

しばらく、茜を眺めた後、思いついたように言った。

「…青、かな?落ち着いている感じが、青っぽい」

「ありがとうございます。じゃぁ、キリはどうですか?」

えっ、俺まで!?別に俺はいいよ…。こっちをじぃっと見つめている。えっと、そのぉ…。

小さく口の中で何かを言うM先輩。

「…戦隊モノって、あと何色があったかな…」

M先輩困ってるよ!!誰か、気づいてやれよ。

他にも、黒とか緑とかあるって、教えてやれよ。

俺的には、黒がいいな。かっこよくね?

かなり考え込んで、手まで完璧に止まっている。

里美や悪は何色になるのか、キラキラと期待しているし、塚本さんは、その様子を笑って見ているだけだった。

他の先輩方はすでに別の話題に入っている。

「あっ…、そうだ。…ンク。ピンクだよ!!」

長い間考えた結果、うれしそうに大きな声で言った。

「ピンク…?」

一体誰のコトを指して言っているのですか…?

「なるほど、ピンク」

「…さしずめ、かるた戦隊ってとこかしら?」

えっ、何?認める方向!?

「俺のどこがピンクだよ!?他にもあるだろ?黒とか、緑とか!!この際、白でもいいからさ!!」

思わず、机を叩いて立ち上がっていた。しかし…。

「かばんにピンクのキーホルダーついてんじゃん」

それだけ!?それは母さんが勝手につけただけだし!!

「キリ、M先輩が決めたことだから、絶対よ」

悪がメガネをちらつかせながら、言った。

くっ、おどしかよ。こうなったら、M先輩に…。

M先輩は仕事をやり遂げたように、満足げな様子で、他の先輩方とのおしゃべりタイムに入っていた。

「まぁ…。あきらめも肝心だと思いますよ…?」

塚本さんのなぐさめにならないなぐさめに、俺は、全身の力が抜けた。

もー、好きにしてください…。

…じゃなくて、そもそも!!

「戦隊モノは5人が鉄則だろ!?」

全員がもくもくと作業を始めて、俺の叫び声は、虚しく響くだけだった…。

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