表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハッピーエンドじゃ終われない  作者: りゅう
2年生
15/44

俺の意見も聞いてくれ!

HR展リーダーというものは、6月に行われる文化祭でクラスの出し物の、まぁ、責任者みたいなものだ。

6月の前にも5月に合唱大会があり、色々と忙しい。

合唱大会の練習も出て、文化祭についても話し合い。

生徒会との相談や、クラスでの決定事項、提案書に報告書その他etc...

部活で忙しい王子、王子がいないと途端にサボり出すクラスの連中。

それをなんとかやり過ごす俺。

だからさぁ、これだけ頑張ってるんだからさぁ。

今学期初の部活にちょっとくらい遅れたって、許されてもいーんじゃないスか?!

目の前には、不気味に笑顔の悪、怒りを隠そうともしない里美。

困ったようにそれを見つめる塚本さん。

それらを楽しそうに眺める浜崎先輩。

いわゆる一触即発の状況で、逃げ出すこともできず、ただ腰が抜けたように座り込んで動けずにいた。

「キーリー。あなた、分かってるのかしら?大会まで、そんなに日が残ってないこと」

「だいたい何事も初めが肝心なのに、何、初日から遅刻してんの?」

「すっすみませ・・・ん」

悪と里美の怖さに、何に対して謝ったのか?

口からそんな言葉が出ていた。

「まぁ、反省してるのならいいけど・・・」

「・・・悪がそういうなら、まぁ、しょーがないなぁ」

今日はやけにあっさりと引いていく。

二人から素早く離れて、部屋の隅へ行く。

「皆、委員会、何入ったー?あたしは厚生委員♪」

「またなの?」

「だって、一番、楽できるし。まぁ、じゃんけんに勝てたからだけどね。そーゆー悪は?」

「風紀委員よ」

「私は、・・・環境委員です」

「うわー、一番めんどい所選んだね。ワックスがけとか、あたしやりたくないよ」

「茜は誰もやりたがらないから、やったのよ」

ただ単に、おしゃべりをしたかったらしい。

あぁ、だから、あんなにもあっさりとしていたのか・・・。

「・・・で、キリは?」

「・・・へ?あっ、・・・えっと、HR展リーダー」

「「はぁ!?」」

悪と里美の声がきれいにハモル。

「キリ、あんたわかってんの?文化祭の一週間前に大会あんのよ?」

「・・・はぁ・・・」

そうつぶやいた後。

「はぁ!?」

今なんとおっしゃいました?

文化祭の一週間前に大会!?まじですか?

「・・・その様子じゃ、わかってなかったようね・・・」

悪が軽く頭を抑えるポーズをする。

「あんた去年も大会でてたでしょ!!」

いや、知らねーし。

っつーか、この時期サボってましたから、ヨユーで!!

「・・・そういえば、去年はキリさん、いなかったと思いますよ・・・?」

小さく助け舟を出してくれる塚本さん。

「それにしたって、何でそんなメンドクサイのに入るのよ?信じらんない!!」

怒りMAXの里美がじりじりとこちらに攻めてくる。

「しょっ、しょーがねーじゃん。王子が勝手に巻き込んできたんだよ!!」

俺の発言は全く意に介されずに空しく響いただけだった。

うわー、もう、おしまいだ・・・。

目をつぶって、里美の攻撃に耐えようとした。

「君たちの行動はおもしろいんだけどさ。 私は文化委員長で、おまけに文化祭実行委員に入ってるんだよ?」

ずっと、こっちをおもしろそうに見ていた先輩の爆弾発言。

里美は一瞬、動きをとめて、それから、また攻めてくる。

「なっ、なんでこっち来んだよ!?」

「あんたがHR展リーダーなんてなったから」

「どーして先輩はよくて、俺はダメなんだよ!!」

「だって、キリだし」

人種差別だ!!

確実にイジメだろ!!

「今、実行委員の人数足りなくてさ。よかったら君達も、入ってくんない?」

絶体絶命のピンチに、またもや先輩の声。

「部活の人数だって少ないし、練習やるなら全員でやった方がいいだろ?

君達も実行委員になってくれたら、連絡するの楽になるしなぁ」

何気なく語られた言葉で。

「じゃぁ、私、入ります」

「茜が入るなら、わたしも」

「先輩の頼みじゃ、断れないから。あたしも入ります」

先輩の一言にすばらしい団結力を見せた三人。

あー、これで皆、同じ土俵に入った。

もー、俺だけ責められずにすむ。

「ありがと。じゃ、これにHRNOと名前書いてくれる?」

紙とボールペンが差し出され、次々と名前が書き込まれていく。

「はいっ、キリ」

目の前に差し出されたのは、紙とボールペン。

「?」

「早くHRNOと名前書きなさい」

なんで、命令形?

っつーか、なんでですか!?

俺。実行委員とか入るとか、一言も言ってねーし。

「何、聞いてたの?キリも入るの当然じゃん」

なに、当たり前発言しちゃってるんですか!?

ただでさえ俺、HR展リーダーで文化祭前忙しいんだって。

んなことやってる暇なんかないっつーの!!

「もー、めんどくさい。あたしが書く」

勝手に書かれた名前。

しかし、HRNOのところで手が止まる。

「あんた何番?」

「・・・」

はっ、誰が言うもんか。

これ以上忙しくなるなんて、ゴメンだね。

「いーよ、後で調べるからさ。ありがと」

先輩が紙とボールペンを取り、かばんに入れる。

はい?どーゆー意味ですか、それは!!

「明日の放課後から生物室に来てくれる?そこでやってるからさ。もちろん、キリもね」

「はっ、いや、俺入らないし・・・」

「往生際が悪いぞ、キリ」

「そうね、もう、入ることは決定したんだしね」

やっ、ちょっ、待とーぜ、おい!!

「じゃ、そろそろ部活始めようか、君達」

それぞれが、部活の準備を始める。

誰もが、俺の言葉に耳も傾けない。

おいっ、ちょっとでいいからさ。だからさ・・・。

俺の意見も聞いてくれ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ