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ハッピーエンドじゃ終われない  作者: りゅう
2年生
14/44

ここは女子高だったよな?

2年生になりました。

新学期。

それは妙に心が落ち着かない、そんな日だ。

学年の変わる学期は、特に。

俺、片桐大もそれは例外ではない。

まぁ、普通の人とはかなり違った心配をしているだろう以外は。

「なぁ、母さん。俺、いつまでS女に通うんだ?」

「あらあらまぁ・・・。まぁちゃん、早くしないと遅刻よ」

いや、まだかなり余裕があるけど。

「まぁちゃん、教室一番乗りするんだしょう?さぁ、早く早く」

んなこと、いつ言ったんだよ!?

ぐいぐいと玄関に追い詰められて、

「いってらっしゃい」

バタンッ。

空しくドアが閉められ、再び開くことはなかった。

ご丁寧に靴とカバンが外に出されていた。

・・・俺、まだ朝飯食ってないんですけど・・・。

はぁ・・・、なんだかなぁ・・・。

靴をはいて、カバンを持って、しょうがないから学校へ行った。

暇人というものは多いもので。

教室に着くと、黒板の方に人だかりができていた。

そーいえば、黒板にクラス分けを掲示すっつってたな。

・・・あの中に入るのは・・・、ちょっと・・・。

しばらく、待って人がいなくなってから、ようやく俺は自分のクラスを探せた。

えっと、片桐麻衣 10HRね。

荷物を持って、二年のクラスに行くと、そこには人がかなりいた。

しかし、その中で一際目立っていたのは・・・。

おいっ、ここ!!

女子高だったよな!?

なぜに、男がいるんだ!!

教室の中央で、他の頭よりも抜き出ているその顔は、完全に男だった。

茶色のサラサラとした短髪に、くっきりとした二重まぶた。

鼻筋はすっと通っていて・・・。

う"・・・、かなりカッコいい。

くっそぉ~、こーゆーヤツがいるから、俺がモテないんだ!!

はて、しかし、SHRがそろそろ始まるのにこいつ出て行かなくていいのか・・・。

疑問に思いつつ、とりあえず、自分の席へ着いた。

と同時にチャイムが鳴り、それぞれ席につく。

ヤツが、俺の右斜め前の席に座った。

おいっ!!

男の席もあるんかいっ!!

だったら、俺だってなぁ、わざわざ女装してまで・・・。

ふと、下を見たら、スカートが見えた。

えっ・・・、もしかして・・・女ぁ!?

・・・まっ、まさかね・・・。

どーみても、女装した男だろ?

そうこうしている内に、担任が入ってきていた。

女で、火野先生・・・らしい。

簡単な説明の後、定番の自己紹介。

淡々と続いていった後、ついにヤツの番が来た。

「八王子 結花。渾名は王子。部活はバスケ。よろしく」

彼、いや、彼女は・・・・、れっきとした女だった。

待て待て、あれが女だったら、俺も絶対女だ。

秀だって、女だ!!


しかし、後から里美に聞いたところ、

「八王子 結花?あぁ、彼女は有名よ。何、知らなかったの?」

と、女であること証明されてしまった。


休み時間になると、王子の周りに女が集まる。

キャーキャーと黄色い声があがる。

いつからここは宝塚になったんだよ!!

ここに、本物が男がいるってのによ・・・。

果たして、これはモテない男のひがみなのだろうか?


学年が変わると、委員会や教科係というものを決めなければならない。

去年と同じ暇で目立たず、人気もない図書委員でもやろうと思っていた。

しかし・・・。

「よ~、キリ!!一緒にHR展リーダーやろうぜ」

なぜ、俺?

王子が肩に手をかけ、親しげに話しかけてきた。

「んなメンドそうなの・・・」

イヤだと言おうとしたが、周りの異様な視線を感じた。

クラス全員が俺を睨みつけているのだ。

「皆、おれと組みたいんだよ。・・・去年は大乱闘になりそうになったしな。

こちとら、人気で成り立つアイドルじゃねぇっつーの!!」

小声で耳打ちさせて、思わず同情した。

ああ、こうゆうヤツって、結構大変なんだな。

けどな。

だからって、俺を巻き込むんはねぇ!!

「決定!!おれとキリがHR展リーダーで決まり」

「な・・・!?やるなんて言ってな・・・」

さっきの倍以上の視線が突き刺さる。

「王子に指名されてやめるなんて・・・」

「てゆーか、なんであんな子なんかと・・・」

ひそひそとなにかが聞こえてくる。

・・・俺に拒否権は無いんスね・・・。

なんだかなぁ・・・。


◆◆◆


放課後がやってきた途端、5,6人の女に囲まれた。

リーダー格らしい女が口を開く。

「どーやって、王子をたらしこんだの!?王子はみんなのモノなのよ!!」

何なんだよ、一体!!

そもそも俺は何もやってねぇ!!

「しらばっくれるんじゃないわよ!!

王子は今まで誰も自分から誘うことなんて無かったんだら・・・。このあばずれ!!」

あばずれって・・・、俺、男だし・・・。

「かわいい顔してるからって、調子にのってんなよ!!」

「あんた、ウザイんだよ!!」

いや、あの、何を見て言ってんだよ?

っつーか、俺が一体、何をした!?

パニくっていると、この話の張本人、王子がやってきた。

「・・・どうやら、穏やかじゃないみたいだけど・・・。何をしてるのかな?」

「王子!!」

辛らつな言葉を放っていた口達が、嬌声をあげる。

「一人に対して、六人ね・・・。素晴しい比率だな」

「違うんです!!私は無理矢理・・・」

「「私も!!」」

次々と責任を押し付けあう。

女の友情って・・・。

「・・・そんなコトはどうでもいいんだよ!!キリに手ぇ出すんじゃねぇ!!」

凄みの効いた低音ではっきりと言う。

何つー迫力。コイツ・・・、本当は男だろ?

俺でさえ、押し黙ってしまった中、勇気あるリーダー格の女が。

「・・・どうして、こんな子・・・」

「キリはおれの・・・幼馴染なんだよ」

・・・。

ん?

はいっ!?

俺、王子と幼馴染だったんだ?

スマン、すっかり忘れてたよ。

へぇ~、そうだったんだ。

王子はそれだけ言うと、俺の肩を抱いて、ゆっくりと歩き出した。

後ろからは、くやしいのか、歯軋りが聞こえる。


校門を出て、しばらく歩いて、おもむろに口を利いた。

「ゴメン、俺、すっかり忘れてた。幼馴染だったんだな」

驚いた顔をして、こっちを見つめる王子。

何?俺、なんか変なこといった?

「あ・・・。ゴメンゴメン。違うよ。キリは、本当は幼馴染じゃないんだ」

「えっ、そうなのか?じゃ、なんで・・・」

「そうでもしとかないと、納得しなそうだったし」

「はぁ・・・」

「何?恋人って、方がよかった?」

「は!?」

「・・・冗談。それだと、逆にイジメられそうだしね。幼馴染ってことにしておいたけど、よかった?」

いや、あの・・・もう、過ぎた後に言われてもなぁ。

っつーか、幼馴染じゃなかったのか。

よかった、よかった。

俺の記憶力がどうかなっちまったのかと思ったぜ。

「・・・チヤホヤされるのはもう、馴れたけどさ。おれに言わないところは、最悪だよな・・・。これからも、何かあったらおれに言えよ。むしろ、

できるだけ、おれと行動を共にした方がいいな。・・・ああ、部活があるから送れないけど、気をつけて帰れよ!!」

そう言うと、走っていってしまった。

・・・って、ちょっと待て!!

これからも、あーゆーことがあるってことか!?

何なんだ?新手のイジメかよ、これは。


・・・俺が一体何をした!?

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