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ハッピーエンドじゃ終われない  作者: りゅう
1年生
13/44

進路選択

冬休み後の初めての部活。

なんで真面目に出るかって?

そりゃ、後がこわいからだよ!!

・・・女の子って、一人だけだと結構かわいい感じだけど、集団になるとこえーんだよ!!

特に、あいぼんと里美が二人で来ると、もう最恐!!

二人じゃ集団じゃないって?

あのさぁ、一人一人がこわいの。

前に、殺られそうになったし!!

この二人がそろったら、マジで殺られるって!!

だから、逆らわずに、ちゃんと部活に出るんだ。

これが、唯一俺が無事に生活できる条件。

「ちはー」

ふすまを開けて中に入った途端、異様な寒気を感じた。

辺りを見渡したけれど、特に不振なものはない。

はて、こりゃ気のせいか?

ふすまを閉めて、荷物を隅に置いたとき、首に何か冷たいものを感じた。

と思うのとほとんど同時に、それが首を絞めてきたのだ。

なっ!?

突然なことと、あまりの息苦しさに思わず本気で抵抗した。

ようやく、圧迫感がなくなって、咳き込みながら後ろを振り返ると、そこにはあいぼんの邪悪な笑み・・・。

じゃなくて!!

「いきなり、何すんだよ!?」

「キリのノー天気な顔をみたら、つい・・・」

ついってゆー強さじゃなかったぞ!!

本気で昇天すっかと思っちまったわ!!

しかし、ニッコリと笑う顔に、何か言おうものなら、本気で生命を失いそうな予感がした。

なんだかなぁ・・・。

また、首を絞められる前に、距離をとりながら、里美、塚本さんのいる方へ移動した。

「何の話?」

注意をそらせるため、少し大きな声で聞いた。

「進路の話」

ああ・・・、二年になるときの選択ね。

そーいや、提出期限が今日だったけか?

真面目に考えろって、担任がうるさかったな、最近。

「へー、で。どっち行く予定?」

「あたし、文系」

「私も文系です」

「私もね。キリは?」

「んー。一応、理系かな」

「やっぱりか」

やっぱりって、何なんだよ、里美!!

「よく成績上位者の中に名前あったもん」

「そうね。載ってないときなんてあったかしら?」

「・・・そういえば、名前が無かったことって、ない気がしますね」

いやいやいや、毎回あんなの見てんのかよ?

あんな女子の集団の中、よく見る気になれるよなぁ・・・。

って、俺以外女だよ・・・。

っつーか、あれって、数学の上位者しかのってないし・・・。

「・・・、文系って、確か数学選択しないのもあったよなぁ。

そんなヤツって、マジでいんの?」

「キリ・・・」

「キリさん・・・」

あいぼんと塚本さんが憐れむようにこっちを見た。

何?

俺、なんか変なこと言ったか?

「あたしがそうだよ!!数学なんて訳のわからないもんやってられない!!

何?あたしのこと、バカだっていいたいわけ!?キリのくせに、生意気!!」

そーゆー意味じゃねぇ!!

っつーか、それって人種差別だぞ、里美!!

キリのくせにって、何なんだよ!!

はぁぁ・・・なんだかなぁ・・・。

里美が繰り出す突きをテキトーに手で受け止めながら。

「そーいや、文特いくヤツっていんの?」

文特って、文系特進クラスの略。

文系で頭のいいヤツが集まる・・・ハズ・・・。

でも、進路希望で、文特を希望するかとか、選択肢あったし。

変な学校。

里美が不意に攻撃をやめて、興奮した感じで話し出した。

「あいぼんと茜がそうだよ!!」

あいぼんと塚本さんが?

へぇ~、あいぼんがねぇ・・・。

塚本さんはなんとなくわかるんだけどな。

だって、真面目そうだし。

「あいぼんってば、最初、文特希望してなかったんだけど・・・。

どうして、文特にしたと思う!?」

えっ?

それって、俺に聞いてんだよなぁ・・・。

わからん。降参」

待ってましたとばかりに、里美が話し出した。

きっと、しゃべりたくてウズウズしてたんだぜ。

「今年って、文特希望者がすっごい少なかったから、文特希望する人に、先生が商品出したの」

あ~、あるほどね。

ものにつられたってワケね。

「・・・それだけじゃないわ。・・・ちょっと、生活変えたくて・・・」

「何なに?意味深っ!!」

里美が興味深深といった感じであいぼんにまとわりつく。

あまりにしつこかったからか、それとも他の理由か。

そこのところはわかならいが、降参したとばかりに、あいぼんが話し出した。

「冬休みにしゅうと別れたの」

「えー!?すっごく仲良かったじゃん」

「そうですね。・・・どうして、そんな突然?」

「・・・性格の不一致よ」

少しびっくりした。

何だかんだと、結構二人は仲良さそうに見えたから。

まぁ、俺と秀が時々一緒にいたとき、メッチャこわかったけどさ。

「あいぼんと秀って、すっげぇ気ぃ合っ」

あいぼんが俺の口を塞ぐかのように、メガネをはずした。

言いかけたことも忘れ、俺は見とれてしまった、あいぼんに。

急に黙った俺を不振に思ったのか。

「そういえば、キリってあいぼんがメガネをはずすと、いっつも黙るよね?なんで?」

「それはね・・・」

あいぼんが、優雅に話し出す。

おれは、それに見とれながら、夢見心地で話を聞く。

「私の目を直接見ると、男はみんな、私に惹かれるのよ。なぜかは、わからないわ・・・。

もっとも、女で惹かれる人は、キリが初めてだけど・・・」

あいぼんの流し目に魂をとられそうになりながら、

言葉の意味を理解するのに努めた。

そして、はっと気がついた。

「っつーことは、無差別に男を誘惑するってことか!?」

「・・・人聞きの悪いこと言わないでよね。勝手に惚れてくのよ」

「なになに!!じゃぁ、それで男を全部騙してくってこと?」

「・・・そうゆうことになるわね。ま、メガネかけちゃえば大丈夫だけどね」

「・・・それでも、大変ですね。見境なしですか?」

「別にそんなに大変じゃないわ。嫌なこと、全部押し付けれるし」

「うわぁ・・・。悪女~」

・・・なんつーことだ!!

つまり、俺はずっと騙されてきたってことか!!

そーなんだよな!?

「・・・何が、あいぼんだ。んなかわいー渾名なんて許せねー!!

悪ぼんだ。いや、いっそ、悪で十分だ!!」

思わず、叫んでしまった後、気づいた。

自分の失態に。

「キリのくせに・・・。本当、生意気だわ」

殺気と共にあいぼん・・・もとい悪がこっちにやってくる。

逃げろ!!逃げるんだ!!

心の中では、逃げようとしているのに、体が動かない。

まるで、金縛りにでもあったかのように、全然。

悪の手が俺の首にまわり、ゆっくりと絞めていく。

恐怖のためなのか?

全く動いてくれない体。

抵抗することも、できない。

少しずつ、苦しくなっていく息。

あぁ、俺、ここで死ぬのか・・・?

16年間か・・・。

人生って、なんて短かったんだろう・・・。

この世とのお別れを覚悟した瞬間、里美が。

「いいね、悪。呼びやすくて。そう思わない?茜」

「えっ・・・はぁ・・・」

「・・・里美、茜」

手が緩み、解放された。

ゲホゲホと咳き込みながら、自分が生きていることを確認する。

里美に救われたのか・・・?

ありがとう、里美!!

マジ、恩に着る。

悪がメガネをかけながら、深くため息をつく。

あきらめるかのように。

搾り出すかのように。

「・・・別にいいわ、悪でも。好きな風に呼んで」

こうして、俺は、悪へのあのドキドキ感は幻だと知り、ほっとする一方、

しばらくの間、後ろからの攻撃に注意することになった。

だってさぁ、マジで殺られそうなんだぜ・・・。


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