4話 家の探索
ムショは見る見るうちに成長して、言葉をはなせるくらいまでになった。家から出ることを禁じられているムショはしばらくはおとなしく寝たり玩具で遊んでみたがそれにも飽きてしまい家中を探検感覚で縦横無尽に駆け回っている。
「なんだこれ?」
棚の端から1冊の本を取り出し、中を開いてみる。
{魔法書vol1 初歩的なスキルの身に付け方}
本の背表紙にはそうかかれていた。
この世界では魔法を使えるのかーと感心させられると同時にムショは自分が出来るのか試してみたくなった。
「物体を動かす呪文か」
初めにかかれたページを見て真似してみることに。机の上に置いてあるコップにむかって
「ムーブムーブイット」
対象物に向けて指を指しながら、言うとコップがいきなり動き出し、机から落ちてしまう。
「あ、やっちまった」
母や父に怒られると思うと気が気ではいられない。それを目の当たりにしたマリーがやってきて、
「ムショ坊ちゃま凄いわ! 魔法を覚えられるのが早すぎるわ」
もうそれはそれはベタ褒めで、ムショは自分がなぜ魔法が使えたのかわからないでいた。
その夜
「奥さまムショ坊ちゃまが、魔法をこの年でお使いになられたんですよ」
興奮気味に話すマリーに母は少しご機嫌斜めの様子でした。
「マリー、ムショを危ない目にさらしてはなりませんよ。コップを割ったのは許されるべきではありませんよ」
母はムショに近づいて頬をつねった。
「ごめんなさい」
ムショは先程のハツラツさはどこへやら消えていきシュンとなってしまう。