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剣王と魔術姫  作者: 熢火
剣人-第1章/王城に咲く血の桜
7/38

剣人-一方通行

お待たせしました。

二ヶ月ぶりの投稿。更新速度、もっと上げたいです´д` ;

「ラウレ、買出しに行くぞ」


朝食を食べ終わってすぐ、ナールは開口一番に言った。


唐突に言われたラウレは、数拍空けてから彼に疑問をぶつける。


「いつ?」

「今から」

「どこに?」

「もちろん外に」

「何を買うの?」

「生活雑貨、その他諸々」

「私長く歩けないよ」

「途中休憩を挟むか、また明日行けばいい」


食器が乗ったトレーを返しながら、淀みなく答えたナールに、彼女は最も懸念していることを訊いた。


「私、邪魔じゃない?」

「邪魔じゃない。なぜそんなことを訊く?」

「だって、私は長く歩けないし、い、異種族だし」

「別に急いでるわけではから、歩くのはゆっくりでも気にせん。それに、今時異種族であることを気にするとは珍しいな」


現代は異種族間の交流がとても盛んだ。もはや『交流』ではなく『共存』とすら言えるほどで、異種族間の結婚なども普通に行われている 。

だが、どこにでも偏見をする者はいるし、過去にあった種族間の争いの影響で、獣人差別主義者もいまだに残っていたりする。


彼女が懸念している理由は、過去に差別を受けた経験があり、トラブルに見舞われる可能性を考えたからかもしれない。


「俺にとってはくだらんことだな。と言うのも、俺の初恋の相手はダークエルフだったぞ。振られたがな。だが、振られたからといって、彼女も彼女の種族も嫌いにはーー・・・」


よくわからない方向に話が逸れ始めた。要は、自分が非差別主義者であると言いたかったらしい。

だが、ふと別のことに気がついたかのように、語るのを止める。


「ん?それとも俺と買い物は嫌だったか?黒髪は目立つからな。だった無理強いはーーーーー」

「べ、別に嫌じゃないよ!行く!」


いきなりものすごい剣幕で捲し立てられ、ナールはたじろいだ。


「な、ならいいんだが・・・」


そう言って、ラウレが持っていたトレーを受け取って返却すると、そのまま外に向かおうとする。


その途中、出入り口付近にあるフロントに居た女将に声をかけられた。


「おやおや、朝からデートかい?」

「で、デートじゃありませんっ、買い物です!!」


ラウレがすぐ反応し、女将のからかうような言葉を否定した。尻尾がピンッとなっていることから、かなりの動揺ぶりであることが伺えた。


「まあどちらにせよ、楽しんどいで。あと、部屋は当分空きそうにないね。最低でも十日はかかりそうだ」

「気長に待つから構わん」


申し訳なさそうにする女将に、ナールはさらりと言ったが、彼女はそんな彼の態度が解せないのか眉をひそめた。


「こう言うのもなんだが、宿を変える気はないのかい?」

「座ったまま寝たりするのには慣れてるんでな、こいつの寝床があるだけで充分だ」


ナールはラウレの頭を撫でて、彼女を指しながら言う。


ラウレはナールの発言に対し、嬉しさ半分恥かしさ半分といった感じで、少し俯きながら彼を横目で睨む。


ナールはその視線に気がつくと、すまん、と頭から手を退けた。


彼女なりの照れ隠しなのだろうが、それを理解しているのか、否か。

突然耳が悪くなったり、鈍感になったりする某連中よりは症状が軽いとはいえ、やはり鈍感は鈍感であった。





ナール達は一昨日、盗賊のアジトに居た子供達を教会に連れて行った。


アジトから最寄りの教会は、居住区の南東、商業区よりにあったが、商業区の南には少し距離があるとはいえ、脱走した奴隷市場がある。

ナールの珍しい黒髪は露見していることから、見つかれば目をつけられるのは予想できた為、次に近い北の教会へ行くことにした。


子供達を教会に任せた頃には、昼時は丁度終わりを迎える時間帯で、そのまま北の商業区にあった料理店で食事を済ませ、現在の宿に泊まった。


つまり、ナール達は現在北におり、ラウレの足を考慮して、買い物は近場で済ませることにした。

通りは人通りが多いが、道幅が広く混んでいないこともあり、二人は並んで歩いている。


「ラウレ、何か欲しい物はあるか?」

「私は特にないよ」


即答。

外に出たはいいが、さっきからこれである。


「洒落た服は?」

「今ので充分だよ」

「かわいい靴ーーーーー」

「歩きづらいからいらないかな」

「髪どーーーーー」

「後で短くするから大丈夫だよ」

「くーーーーー」

「別に必要ないよ」

「ーーーーー」

「あなたは皆のものだよ」


格好に無頓着なのか、遠慮しているのか。勿論後者に決まっている。


これではナールが、嫁のご機嫌とりをしている尻に敷かれた旦那に、見なくもない。結婚どころか、先日出会ったばかりだが。


蛇足だが、言う前に拒否された内容は上から順に、『髪留めは?』『櫛は?』『俺はいらないか?』というものだった。

最後のはご丁寧に、皆のもの、と言われた。いらない、と言われなかっただけマシだろう。


ラウレのぶれない対応に、ナールはその場で崩れ落ちそうになるのをなんとか堪えながら返した。


「最低でも、櫛と髪留めは買うぞ。その髪、どう考えても邪魔だろ」


ラウレの髪は、長い間伸ばしっぱなしだったようで、後髪は太ももあたりまで、前髪は胸あたりまである。

その長い前髪は現在掻き分けられているが、食事の際などは垂れてきて邪魔だろうし、視界も狭まる。

食事中に、彼女が鬱陶しそうに髪を掻き分けているのも事実だ。


「それならハサミが欲しいかな。切っちゃえば、気にならないだろうし」

「切るのか?綺麗な髪だからもったいない気がするが・・・」


ナールがさも当然のように言うと、ラウレは髪を手に持ちながら渋面をつくった。


「き、綺麗?これが・・・?」


彼女の髪は、奴隷生活の影響か艶やハリがない。

本人もそれを理解しているのか、自嘲気味に笑った。


「髪質は悪いし、灰色なんて地味じゃない」

「髪質はそのうち良くなる。それに、色は派手だから良いってわけじゃないだろうし、灰色はお淑やかで良い色だと思うが」

「・・・物は言いようだね」


ナールの意見に、ラウレは髪を放して、表情を苦笑に変えた。


「じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな。櫛とハサミをお願い」

「結局切るのか・・・まあ無理強いはせんが」


ナールはその言葉を聞いて残念そうにすると、すぐにラウレが首を横に振る。


「流石に長すぎるから、丁度良い長さにするだけだよ」

「前髪はともかく、後髪はどうやって切るんだ?」

「切れないことはないけど、他の人にやってもらった方がいいかも」


そう言った彼女の視線が、切ってくれる?と問いかける。

視線の意味を理解したナールは、髪を綺麗に切ることには自信がないのか、大人しく辞退した。


「そういうのは、専門の店に頼んだ方がいい」

「そ、それは悪いよ。お金かかるし」

「何度も言うが、気にせんでいい」


そう言われても、自分の為だけに金が消費されるのは、ラウレ自身悪いと思っている。悪いと思っているのだが、彼の好意を無下にするわけにもいかず、強く断ることもできない。

だから、最低限譲歩はする。ついでに釘を刺す意味も込めて。


「それなら安い店でいいからね?」

「あ、ああ」


相槌の歯切れが悪かったのは、高い店に行こうとしていたからだ。やらないだろうが、有り金の約五十万カーディを貴族御用達の理髪店で散らさないとは言い切れない。


釘を刺して良かった、とラウレは内心安堵の息を吐く。

それと同時に、ふと疑問が浮かんだ。


だが、その浮かんだ疑問を言葉として発する前に、ナールが目的の店を探し始めた。


「まずは、櫛から買うか」


言いながら彼は、立ち止まらず左右を見た。

丁度二人は、焼肉を売っている露店と焼魚を売っている露店に挟まれた路上に居た。

ナールは少し迷ってから、焼魚を売っている露店の方に足を向ける。ラウレの胃を考慮したのだろう。


その場で焼いている為、露店からは魚が焼けるいい匂いがする。


どう考えても櫛とは無関係だが、ラウレは怪訝そうにしつつも何も言わず、ナールの後を追う。


怪訝そうなラウレの視線に気づいたのか、ナールは説明した。


「櫛を売ってる店の場所を訊く。理髪店の場所もな」


二人共アジェナについては詳しくない。

店の場所を訊くのは、どこにあるかも分からない店を探して、体力が少ないラウレを連れ回すことを避ける為だ。


なるほど、とラウレが理解を示しながらナールから視線を外し、露店へと向けた。

露店を営業しているのは、厳つい男だ。


火で炙っている串刺しの魚を焦がさないように見ているが、いかせん眼つきが悪く、魚を睨んでいるようにしか見えない。

客が居ないのは、営業スマイルがなっていないことと、顔に傷跡があるからだろうか。露店の店主より冒険者の方が似合っている。


「二つ貰おう」


ナールは、店主の見た目に臆することなく注文した。


「ん?あぁ、らっしゃ。一本二十カーディだ」


値段的には普通だ。

中には法外な値段を提示してくる輩もいる。


顔に似合わず真面目に仕事をしているのかもしれない、などと失礼なことを考えながら、ナールは懐から金が入った袋を取り出した。


金の管理は全てナールが行っている。

緊急時の為として、ラウレにもいくらか渡してあるが、それ以外の金を彼女が受け取らなかったのが主な理由だ。


男に小銅貨四枚、四十カーディを渡して、代わりにこんがり焼けた魚を二本受け取り、礼を言ってから背後に居るラウレに片方を渡そうと振り返った。


直後、どこかで聞き覚えのある声がした。


「アニキィ!!」


ナールは、自分を兄と慕う人物に覚えがある。だが、その人物はもっとお淑やかで、決して兄である自分を『アニキ』とは呼ばないし、声もこんなに低くない。


「店の前で騒ぐんじゃねぇ!!客や周りに迷惑だろぉがぁ!!」


声に応じたのは店主の男だ。


お前が一番うるさい、というツッコミは置いといて、ナールとラウレは店主が怒鳴り返した方を見る。


既視感のある二つの顔が走って来た。二人の身なりは随分ボロボロで、顔や手にも痣や擦り傷が多い。

二人とも男で、店の前に着くと息切らしながらも店主に事情を説明しようとする。かなり切羽詰まった状況のようだ。


「で、ディルクの、奴ら、エッボ達が、殺られたのは、俺たちの差し金じゃないかって、いきなり襲ってきてーーーーー」


一人が状況の説明をしていたが、もう一人がナールとラウレを見ると、一瞬ポカンとしてから誰なのか気づいたようで、説明を遮るように怒鳴った。


「お、お前ら、なんでここに居る!!」


説明していた男もナール達を見ると、同じようにポカンとしたが、少しすると戸惑いを露わにする。


「な、なんでアニキの店に!?服だけじゃ満足できなかったのか!?」


この発言はよくない。

まるでナールが男から奪った服と靴で、『満足するようなこと』をしようとしたようではないか。つまり、変態と指摘されているようで不快だ。


その気持ちを隠しもせず、声色と顔に出した。


「この前は世話になったな」

「「っ」」


わざとらしく笑ったナールを見て、彼らーーーーー裏路地で恐喝したゴロツキ達はたじろぐ。

どうやら正当防衛(過剰防衛)の際に見せつけた『実力差』が効いているらしい。一方的にボコしてやった恐怖とも言う。


「お前ら知り合いか?」

「ああ、裏路地で恐喝された」


やりとりを見ていた店主の質問に、ナールがゴロツキより先に答え、だから恐喝しかえした、と続けようとしたが、


「おめェら!!真ッ当に生きるッつう約束はどうした!!」


その前に店主がブチキレた。

額に青筋を浮かべた形相は、かなり迫力がある。


「もう『そういうこと』からは足洗うッつッただろうがッ!!」


ゴロツキは一瞬で謝罪姿勢に移行した。


「す、すんません!もう二度としません!」

「今度こそまともに生きます!」

「謝る相手がちげェだろォ!!」

「「は、はい!!」」


ゴロツキ二人はナール達に向き直り、謝罪する。


そして、店主も屋台から出てくると、二人と同じように頭を下げた。


「弟がすまねぇ。この通りだ。勘弁してくれ」


なんとも潔い。店主の怒鳴り声で集められた周りの好奇の視線などお構い無しだ。


『顔に似合わず真面目』などと評価して悪かった、とナールは内心で謝罪しつつ、躊躇いがちに声をかけた。


「頭を上げてくれんか。実は俺がーーーーー」


恐喝を誘発させ正当防衛(過剰防衛)で服を奪った、という事実を言おうとした。


言おうとした理由は主に二つ。

一つ、周りの目が痛い。特にラウレ。

彼女は、ナールが服を奪う目的で恐喝されたのを知っている為、非がある彼に非難の視線を送っている。

二つ、自分にも非があるというのに、悪くもない第三者に謝罪をさせていることに対し、罪悪感を覚えたからだ。


だが、結局言えなかった。

またもや途中で遮られた。


「見つけたぞ!!」


唐突な怒鳴り声に、その場に居た五人は声のした方を向く。

視線の先では、二十人ほどの集団が道を占拠していた。


全員がチンピラといった風貌で、一目で粗品だとわかる武器を手に持ち殺気立っている。

そのうちの一人の男が、一歩前に出て喚いた。


「フェリクス!!エッボさん達を殺ったのは、お前の差し金だろ!!」


店主ーーーーーフェリクスは顔を顰めた。


「ディルク、なんのことか知らねぇぞ?」

「とぼけんじゃねえ!!元頭のお前が指示したんだろ!?」


喚いている男がディルクらしく、ゴロツキを襲った張本人で、間違いないだろう。


雲行きがあやしいどころではない。ゴロツキ二人の姿や状況を鑑みて、確実にリンチにする気満々だ。

商業区の大通りで、二十人近い集団が喧嘩しようものなら衛兵が飛んでくるだろうが、そんなことは気にしていない風だ。


ディルク達チンピラがとても殺気立っていることに、疑問が湧いたナールは、好奇心でゴロツキの一人に事情を訊いた。


「なぜあんなに殺気立っている」

「ああ、それがなーーーーー」


ゴロツキが言うには、ディルク達の上の組織が壊滅させられたらしい。その壊滅させる為に人を送り込んだという疑いがかけられているのが、元敵対していたゴロツキ集団の頭であるフェリクスということだ。

これだけだと、フェリクスを筆頭としたゴロツキ集団が強いように思えるが、実際フェリクス達が敵対していたのはディルク達チンピラのみで、今回壊滅した上の組織とは対立はしていなかったらしい。


だからこそおかしい。

なぜ敵対してもいない組織を潰す必要があったのか。

既にフェリクス達は『そういうこと』から足を洗っている為、今さら意味がない。


「今この状態になっているってことは、エッボっていう奴の組織が壊滅したのは最近か?」

「一昨日だ」

「・・・」


なぜだろう。

フェリクスに壊滅した日を言われ、とても嫌な予感がした。


「どんな組織だったんだ?」

「アジェナで人攫いとかしてる盗賊だ」

「アジトとかはあったのか?」

「あったぞ。東側の居住区、貧民区寄りって聞いたことがある」

「「・・・」」


((ナール()が殺ったとこだ))



さらに強まったラウレの非難の眼差しが痛い。

自然と顔が引き攣る。


「お前らあの人数から逃げてきたから、そんなにボロボロなのか?」


顔を引き攣らせたまま、ナールがゴロツキに問いかけると、すぐに否定の返答があった。


「いや、俺らを襲ってきたのは五、六人だ」

「対アニキの為に、あれだけ揃えたんだろ」


やはりリンチする気満々のようだ。

フェリクスの実力を知っていて、あれだけの人数を揃えたらしい。


巻き込まれるのを恐れてか、野次馬の一人もおらず、つい先ほどまで道の向かい側で肉を焼いていた露店は、店を畳んで既に退散している。

通行人があれだけ逃げたのだから、衛兵にも伝わっているだろう。


(衛兵が来るまでなんとか時間をーーーーー)


「つーわけで、お前ら全員殺すぜ?」


(だめだ、殺る気満々だ)


「まあその女は、かなりの上玉だからな。フェリクスの女かは知らねえが、優しくしてやんよ」


ディルクがラウレに下衆な視線を送ってくる。

同調して、彼の後ろに居るチンピラ達が笑った。


身体中を駆け巡った寒気に身震いしたラウレを守るように、ナールは前に立って彼女を背中に隠した。


その様子を見て、フェリクスは言った。


「あんたらは逃げてくれ。これ以上迷惑はかけられねぇ」


迷惑もなにも、元凶はナールにあるのだが。

本人はそれを自覚しているのだが、戦うかどうかを此の期に及んで迷っていた。


(迷惑をかけたのは俺の方だ。ゴロツキや店主が知らないからと言って、できれば逃げたくはない。だが、戦えばラウレを巻き込みかねん)


奴隷市場の時とはわけが違う。二十人の人間があれだけ密集していれば、側のラウレまで気遣うことができない。

単身で突っ込むのはいいが、取りこぼしが出るのは確実だ。


ナールは一人悩んでいたが、フェリクスに怒鳴られた。


「早く行けぇ!!」


フェリクスは、その体格に合わぬ腰に差していた護身用のナイフを抜くと、構えた。

ゴロツキ二人もいつの間に拾ってきたのか、角材を持っていた。


それを見て、ナールは名案を思いついた。


「そうか、その手があったか。店主、こいつを守っていてくれ」


ナールは、ラウレの頭に手を置いて彼女を指しながら頼むと、持っていた魚をラウレに押し付けて、了承を得る前に集団に向かって走り出した。


「おいッ!ちょッと待てッ!!」


フェリクスの制止の怒声が聞こえたが無視する。


守りながら戦えないなら、守らせればいいのだ。

了承を得なかったのは、フェリクスの性格からして、ナールが一人で戦うことに首を縦に振ることはないと、容易に予想できたからだ。


ナールに合わせて、ディルク達も走り出した。


「一人とか舐めてんのか!?ぶっ殺せぇぇぇッ!!!!」

「おぉぉぉ!!!!」


物騒な叫び声を上げたチンピラ集団と、ナールがぶつかった。





一人の衛兵の男はその様子を影から伺っていた。

警邏中の衛兵は、二人一組で行動するのが常だというのに、彼が今一人で居るのは、黒髪の少年を見つけても手は出さず、尾行しろと命令されているからだ。

命令通り手は出さず、相方に応援を頼み、仲間の到着を待っている状態である。


だからと言って、この抗争に無関係な人間が巻き込まれれば、その人達を守らなくてはならない。

それが衛兵としての義務だと男は考えている。

だは、その心配はなさそうだ。


既に身の危険を感じた一般人は、蜘蛛の子を散らすように逃げ去っているし、死者が出る気配はなかった。

二人ほど出た取りこぼしが、フェリクスに瞬殺されたのを見て、ナールを最初に倒す方針に変わったチンピラの戦闘は、一方通行の状態が続いている。


攻撃を繰り出すのは必ずチンピラで、ナールはぬらりくらりと躱し、いなし、流してから、カウンターの一撃で相手を沈める。

大の大人が少年に触れた直後に宙を舞う光景は、見ている者を唖然とさせるには十分だった。


チンピラ達は一方的な攻撃を行い、ナールは一方的な封殺を行う。

正に、同音異義の一方通行。

隙をつかれて昏倒させられたチンピラの数は、既に七割にも上っている。


(凄いな。盗賊団をたった一人で壊滅させたのも頷ける)


衛兵の男がそう思考している間にも、二人昏倒させられた。

もうじき決着がつくと彼が予想していると、ディルクが喚いた。


「なんで、攻撃が当たらねぇんだよ!?」

「無駄が多過ぎる。出直して来い」


ナールが嘲るように返すと、ディルクが苛立ちに染まっていた顔を、なぜか勝ち誇ったような笑みに変えた。


「もういい、ぶっ殺してやる。ゲルト、出て来い」


そう言うと、ディルクと残ったチンピラは道端へ身を引く。


それと同時に、近くの脇道からゲルトと呼ばれた完全武装の新手が姿を現した。

プレートアーマに盾と片手用直剣。

シンプルな装備品で、装飾の一つもない無骨な見た目をしていた。

全ての装備品が使い込まれており、手入れも行き届いている。


(チンピラって感じじゃない。冒険者か?)


装備品や、ゲルトに向けられるチンピラ達の期待の眼差しから、戦闘力は高めなのだろう。ただし、チンピラ達と比較したらという前提が付くが。


冒険者の中にはそれを利用して、裏で人殺しを引き受ける者もいる。

そのことをギルドに知られたら、冒険者証の剥奪だけじゃ済まされないが、そういったことをする冒険者は後を絶たない。


ゲルトもその口で、フルフェイスのヘルムを着けているのは、顔を隠すのが目的なのだろう。

十中八九名前も偽名だ。


「不味いか・・・?」


ナールは素手だ。チンピラ程度とならそれでも大丈夫だろうが、冒険者ともなればリスクが高いかもしれない。


衛兵の男は、自分の腰に差してある剣の鯉口を切り、いつでも割って入れるように身構える。


殺せだの刻めだのといった周りのチンピラの煽りには応えず、ゲルトは腰に差してあった剣を引き抜くと走り出した。


鎧をカチャカチャ鳴らしながら肉薄されても、ナールは構えたまま一歩も動かない。


衛兵の男はその対応を見て怪訝そうにした。


(迎え撃つつもりか?)


路上にはそこいら中に、倒れたチンピラ達の武器が落ちている。斬れ味は悪いだろうが、素手で完全武装の敵を相手にするよりはマシだろう。

だが、ナールは武器を拾おうとしない。


そうしている内に、ゲルトが彼を間合に捉え、剣を上段から振るった。


対して、ナールは剣の軌道に左手を掲げる。


「なッ!?」


衛兵の男はその行動に目を疑った。

気でも狂ったか!?と内心叫ぶが、またも目を疑う現象が起きる。


ぶつかっているのは、ゲルトの剣とナールの手の甲。だというのに、一滴の血も流さぬまま、刃が手の甲を滑る。


(どうなってる!?)


不可解な現象を目にし、衛兵の男が動揺している間にも戦いは進む。


手で攻撃を流しながらナールは踏み込むが、彼は素手だ。全身を覆う鎧と、防御の為に構えられた盾をなんとかしなくてはならない。

だが、ナールはそんなこと気にしていないように、右手で拳をつくり、振るった。


無謀だ。

たとえSランク冒険者並みの闘気をもってしても、鉄製の盾を破ることは叶わない。歪めるぐらいが関の山だ。


鈍い音と共に、硬さで負けた彼の拳が潰れる光景が脳裏によぎるが、聞こえた音は酷く軽快。

カツン。

右手の拳は盾の表面に置かれていた。


「?」


ゲルトが怪訝そうにするのが見て取れた。


傍観している自分より戦っている彼の方が困惑が大きいだろう、と思った瞬間、大きいわけでもないのに耳に残るような声がその場に響いた。

それは、聞き慣れない技名。


「《(かん)》」


ゴキボキグシャッ!!!!

ゲルトの盾を持っていた左腕が、盾と鎧越しだというのに、問答無用で折れた。


「ぐあぁぁぁ!?」


痛みに叫んだゲルトの腕が、盾と鎧の重さに引きずられるように、だらりと下を向く。鎧の隙間から血が流れているのは、折れた骨が皮膚を突き破ったのかもしれない。


片腕が使えなくなったことによるバランス力の低下と骨折の激痛からよろめく。そう思ったのも束の間、すぐに踏み止まり、後退しながら剣を振るった。


「『骨肉よ』」

「魔術剣士か」


魔術剣士とは、魔術と剣術を併用して戦う者を指す。


ナールの呟きを無視して、ゲルトは詠唱を紡いだ。


「『正常な形に戻りて』」


ゲルトは剣でナールを牽制しているが、不能の片腕がバランスが崩れる原因になったいる為、振りが荒い。


容易に攻撃を避け、ナールが素手の間合いに踏み込む。



「『再起ーーーーー」


(遅い)


衛兵の男が評価するのと同時に、ゲルトが詠唱を終える前に、ナールが彼の鎧の隙間から手を突っ込み、気道を首の上から塞いだ。


魔術は、才能がなくとも魔力さえあれば、少しの練習である程度扱えるようになる。

それは現代では一般化された『詠唱』で、『強いイメージ力』や『魔力を事象への変換』を補助できるのが大きい理由だ。

逆に言うと、詠唱に頼って魔術を行使する者が、詠唱を正しく言い切れなかった場合、魔術が発動することはまずない。


現にゲルトは回復魔術の詠唱を行っていたが、それらしい現象が起こっていないのは、彼の動かない左腕を見ればすぐわかる。


「でぃぎぅ・・・!?」


詠唱を続けようとゲルトは無理矢理声を出そうとするが、奇声が漏れるばかりだ。今も気道は塞がれており、呼吸すらできていないのだろう。

苦し紛れに剣を振るうが、ナールの首に直撃した剣は、金属音を立て接触点から折れてしまった。


(あいつの体どうなってるんだ?)


衛兵の男は呆れたように内心呟く。


実際は、剣が当たる部位を予測し、斬れ味のいい剣を生やしただけだ。

ただし、剣というより刃の方が適切なぐらい小さなそれを、遠目に確認するのは難しい。

ゲルトぐらいの距離なら確認できただろうが、ナールの手から逃れようと無我夢中な彼が気づくことはなかった。


少し経つと、ゲルトは酸欠で気を失ったようで、折れた剣が手からこぼれ落ちる。

ナールが手を離すと、ゲルトが倒れる重々しい音が響いた。


殺せだの刻めだの煽っていたチンピラは、いつの間にか黙り込んでいた。

頼みの綱が呆気なく切れた現実に、頭がついてこないのか何もアクションを起こさない。


それを見たナールは、ディルクに向かって言い放った。


「終わりか?」

「う、あ、うわあぁぁぁ!!」


その言葉は、ある種の処刑宣告に聞こえたのか。

ディルクを含めたチンピラ達は、その声を引き金に、一目散に逃げ出した。

だが、逃げた方向には、顔だけならナールより怖い魚屋の店主が居た。


「死者無し。一般人への被害なし。いやぁ、めでたしめでたし」


衛兵の男の呟く声は、チンピラ達の絶叫によりナール達に聞こえることはなかった。


(あれ(・・)とことを構えるかもしれないのか・・・、気が重いな)


そして、今後のことを考え嘆息した。





「好きなのを選んで構わんぞ」


そう言ったナールが居るのは、乱闘があった場所から一キロほど離れた地点にある雑貨屋だ。

今頃乱闘があった場所では、衛兵によって倒れたチンピラ達とゲルトは拘束され、フェリクス達は事情聴取されているだろう。


これ以上迷惑はかけられない、というのがフェリクスの言い分で、盗賊団を壊滅させたことやゴロツキ達をはめたことを話しても、その態度を変えることはなかった。

根気負けしたナールは、礼を言いに行くとしてフェリクスの家の場所と、近くの雑貨屋と理髪店の場所を聞いて、その場を後にした。

フェリクスに教えられた雑貨屋が、今居る店だ。


礼は酒でいいか、とナールは考えつつ、櫛を選ぶラウレを見た。

彼女の背後では、ズボンに空いている穴から出た灰色の尻尾がゆらゆら揺れている。


それを見ていると、掴んだりリボンを巻いたりといった悪戯をしてみたい衝動に駆られたが、ぐっと我慢する。

幼少時に獣人の尻尾をいきなり掴んだ経験があるが、なんでもデリケートだそうで、とても嫌がられ怒られた。やるにしても許可を得てからにしろとも言われた。

考え方によっては、他人の体にいきなり触っているのだから、確かに失礼だろう。


まあ頼んでもラウレは触らせてくれないだろうな、と諦めていると、ラウレの尻尾がピタリと止まった。

ナールは怪訝そうにラウレの横顔を見ると、彼女は難しそうな顔をしていた。


ラウレの視線の先には、手に持った一本の櫛がある。半円に近い形をしており、装飾として花が描かれている。

安くはなさそうだ。品質は高級品の分類に入るだろう。


(桜か。装飾と形状的に、リントヴルムから流れてきたものか?)


ラウレのことだ、また遠慮しているのだろう。


分かりやすい奴だ、と内心呟きつつ声をかけた。


「桜が好きなのか?」

「うん。故郷でね、友好の証として、他国から贈られた桜の木があるんだけど、満開になったその木を見るのが好きだったの」


普段よりも饒舌であることから、よほど思い入れがあることが伺える。


(『だった』か)


今は違うのか?と疑問が湧いたが、そのことではなく別のことを訊いた。


「その『他国』っていうのは、キルシュバオムか?」

「たぶんそうだと思う。度々交流があるから」

「『桜国』キルシュバオムか・・・」


何気なく呟くと、ラウレに予想外のことを言われた。


「一度行ってみたいな」


その言葉に、ナールはなぜか冷や汗を流した。


「あ、ああ。そ、そうだな」

「?」


ラウレに他意はないだろうし、桜が好きなら一度行ってみたいと思っても不思議ではない。だが、いきなりキルシュバオムに行きたいと言われ、しどろもどろな答え方をしてしまった。

まるで、彼とキルシュバオムとの間に因縁がある(・・・・・)かのようだ。


頭上に疑問符を浮かべたラウレが、サファイアのような青い瞳を向ける。


ナールは、咄嗟に誤魔化すように話題を変えた。


「櫛はそれで構わんのか?」

「・・・うん。これでお願い」


ラウレは少し逡巡するそぶりを見せた後素直に頷いた。


櫛が気に入ったのか、遠慮するだけ無駄だと理解したのかは判断がつかなかったが、ラウレが遠慮しなかったことに対し、ナールは関係の進歩を感じた。

自然と嬉しさが生まれる。それと同時に、いつか自分の過去を話さなくてはならないという不安も。

そんな不安を払拭するかのように、いつの間にか来ていた店員に金を支払う。


櫛の値段は一万四千カーディだった。値段も品質も、雑貨屋に置いてある商品ではない気がするレベルだ。

値段を聞いたラウレは顔を引き攣らせてなにか言おうとしたが、ナールが躊躇なく支払いを済ませたこともあり、結局口を閉じた。


櫛を買い、用がなくなったので、さっさと店から出る。

店から出た所で、ラウレはふと湧いた疑問を口にした。


「あなたは買いたい物ないの?」

「旅に必要な物に、戦闘服と武器ぐらいだな」

「生活雑貨品が必要だったんじゃ・・・」

「前に衣類を買った時に全て揃えた」


宿でラウレに買いたい物を問われた時に答えた内容は、彼女を買い物に誘う為の方便だったのだろう。

お前の欲しい物を買う、と隠さず言ったらどうなったかは、宿を出た直後の会話を思い出せば言わずもがなだ。


「私の為だったの?」


気を遣わせてしまったことを気にしているのか、ラウレは困ったような顔をする。


「目的は、お前の買いたい物を買うことと、外に出かけることの半々だ」


言い訳がましい理由を言ってから聞き返した。


「気を遣われるのは嫌か?」

「ううん、嫌じゃないよ。むしろ嬉しい」


ラウレは首を横に振り、でも、と苦笑した。


「迷惑はかけたくないから」


その言葉に、ナールは冗談めかした。


「頼られると喜ぶ性分なんだがな」

「なにそれ」


ナールの言葉に、ラウレは思わずといった感じで笑う。


その笑顔を見て、ナールも笑った。


「頼れよ。迷惑だとは思わんから」

「メイド服を着るのを強要したり、裸を見ようとするのを止めたら頼るね?」

「あれは冗談と不可抗力だ」


痛いところを突いてくる。


(メイド服はそんなに嫌か・・・)


どんな格好ならいいのだろう、としてくれる前提で思考を続けたナールに、ラウレは釘を刺してくる。


「私の基準で変な格好はしないからね」

「はい」


有無を言わせない笑顔だ。もう冗談でも言うのはよそう。

ナールが密かに決めた後も何気ない会話が続き、体力の問題でラウレの歩調が遅くなり始めた頃に、理髪店に着いた。


「丁度よく着いたな」


誰ともなく呟いた後、ラウレに金を渡した。


「大銀貨一枚あれば足りるだろ」

「うん、行ってきます」


金を受け取ったラウレは、店のドアを開けると中に消えた。

彼女の姿を隠した店のドアには、『男子禁制』と書かれている。


(何かつまむか)


手持ち無沙汰になったナールは、理髪のすぐ向かいの料理店で時間を潰すことにした。





異変に気付いたのは、そろそろラウレが店から出てくる頃になってからだ。


(騒がしいな)


開けっ放しのドアから見える商業区の通りは、賑わいを見せている。騒がしいとはそういうことではなく、賑わいの中に殺気とまではいかずとも、敵意や緊張感が紛れている気がした。


(早めに離れるか)


ナールは、テーブルの上にあった複数の一口サイズの肉を平らげる。ボアと呼ばれる猪の魔物の肉だ。

値段は安いが、調味料などを工夫すれば美味しく食べることができる。

テーブルの上の水を飲み干し、髪の色によって集まる周りの視線を無視して、金を払って外へ足を向けた。


「そこの黒髪、ちょっと待て」


そこで声をかけられる。

声をかけてきたのは、ドアの前に立つ、制服の上からライトアーマーに身を包んだ二人組の男だ。腰には剣が差してある。


店内に居る黒髪は自分ぐらいだろうと判断し、声に応じて足を止める。


「衛兵が何か用か?」


警戒心につられ、言葉が刺々しくなった気がする。


治安維持を旨とする衛兵に目をつけられる。心当たりがないーーーーーわけがなかった。

目をつけられることなど、アジェナに来て僅か数日の間に何度やったことか。あり過ぎて、どれについての用か分からない。


(いや、『それら』のことに関係しているとは限らんか・・・)


そんなことを考えていると、冷たい声が返ってきた。


「話がある。署まで来い」

「拒否権はなしか?」

「・・・」


衛兵は質問には答えず、一瞬視線を交わすと近づいてくる。


ナールは身構えたが、すぐに表情をうんざりさせた。


彼らの後方、店の入り口から重装の衛兵が姿を現した。数は十数人。


他の客がどよめく。ナールがどれだけの危険人物かを示しているのだから当然だ。


(俺は猛獣ではないぞ)


猛獣でなければ猛者でもない。十数人の衛兵が重装する場合は、Aランク冒険者並みの猛者を相手にする時ぐらいだ。

Cランクのナールには程遠い。


面白がる者や困惑する者の視線を集めながら、ナールは言った。


「ここじゃ迷惑だろ。表に出ろ」

「・・・」


無視だ。

全員が投降以外認めないという顔をしている。


「説明もなしに、俺が投降しなければならん理由はない。失せろ」


ナールが投降を拒否すると、前の二人組のうちの片方の衛兵が反応した。


「貴様、立場を考えてからものを言え!」

「立場?何のことか分からんな」


ナールはしらを切りながら、この場を切り抜ける算段を組み立てていると、自分を呼ぶ声がした。


「ナールッ、そこに居るの!?」


ラウレだ。

入り口を重装の衛兵が塞いでいる為姿は見えないが、ナールという名前を知っていることと、声からして間違いない。

店の外にも衛兵が居るらしく、揉めているようだ。


「通して!」


ラウレが衛兵に要求するとすぐに、駄目だ、と冷たく却下する声が続き、


「ッ!?離して!!」


抵抗するような声が響く。関係者として拘束されたのかもしれない。


ナールは彼女の身を案じ、一歩踏み出した。


「ラウレ!」

「動くな、黒髪!!」


最初に反応した衛兵が剣を抜き、ナールに突きつける。


その対応を見て、ラウレも同じことをされていると懸念したナールは怒鳴った。


「そいつに手を出したら、ただでは済まさんぞ!!」


怒声と共に発せられた殺気と気迫に、衛兵全員が抜剣した。

読んでくださってありがとうございますm(_ _)m

次話は11月15日(日)の同時刻投稿です。


Twitterで予定の変更などお知らせしております。

@Hohka_noroshibi




以下、ボツネタ


「振られたからといって、彼女も彼女の種族も嫌いにはならなかったぞ。今でもエルフは好きだ」

「それ好きになった理由はエルフだったからだよね?」


ーーーーー


「流行りの服は嫌いかな?」

「流行りじゃなくてもいいです」


ーーーーー


「洒落た服は?」

「結構です」

「かわいい靴は?」

「結構です」

「髪留めは?」

「結構です」

「櫛は?」

「結構です」

「俺はいらんか!?」

「君、ちょっと暑までご同行願おう」←衛兵

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