「トントン」
トントン。
ノックの音がした。
玄関では無いところから。
もう一度鳴るかな、と耳を澄ませてみる。
…鳴らない。
空耳かな?と、パソコンに向き直る。
と、同時に「トントン」。
心なしか、音が近くなった気がする。
どこ?
どこから?
他の家のノック音が響いているだけ?
それにしては、音が近かった気がするのだけれど。
もう一度、耳を澄ませて、しばらく様子を伺う。
だけどやっぱり、音は鳴らない。
なんなの?と訝しみつつ、再びパソコンに向き直った時、
突然、背後の壁を叩く音が響いた。
いま、部屋には、わたししかいない。
「トントン」
「トントン」
「トントントン」
「トントントントントントン」
どんどん、増える、音、音、音…
複数重なった、ノック音!
わたしは、後ろを振り返ることもできず、
固く目を閉じて机に突っ伏し、音が去ってくれることを祈った。
2本目です。よければ1本目も読んでみてくださいね。