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銀色の虹の果てに  作者: ぺんぎ
第一章 Epilogue
14/24

『歯車は廻り、糸は絡み付く』

「やはり、古竜程度ではアレ(・・)を破壊するには至らなかったか」

 闇の中で、男の声がした。

「仕方ない。当初の目的は達成できたからいい……かも」

 厳格な中年のような堅い口調の言葉に、女の声が応じた。淡々としているが、相当に幼い。

「でも、僕らと同じようにアレ(・・)を見張ってた奴、ほっといてよかったの?」

 と、今度は少年のような声が闇に響いた。

「構いませんよ。何が目的かは知りませんが、アレ(・・)をどうこう出来るわけでもないでしょうに」

 それには、先程とは違う大人びた女性のような声が答えた。

「ちぇっ。せっかく回収(・・)したんだから使えばいいのに……」

 少年のような声はつまらなそうにぼやいたが、

「余り、彼の力を甘く見ない方が良い」

「古竜の二の舞……かも」

「わ、わかってるよ……!」

 透かさず(いさ)められて、慌てて取り繕った。

「……にしても、」

 そこに、別の男の声が入った。

 青年のような声に、他の四つの声は会話を中断する。

「相っ変わらず集まりわりぃなぁ。他の奴らは?」

「現在、他地域での回収(・・)に当たっております」

 厳格な中年のような声が、堅い口調をさらに(かしこ)まらせて答えた。

「って言っても、ほとんどの奴らはまだこっちに来てないんだけどね」

「それに、来たのは()いのですが、こうも手間暇が掛かると、ねぇ?」

 対照的に、少年のような声と大人びた女性のような声はやれやれといった声色だった。

「仕方がないだろ?しばらくは我慢してくれよ。それに、こっちに来てて仕事もない奴がいた気がするんだけど?」

「寝てる……かも」

「おいおい、さっそくサボりかよ……」

 幼い少女のような声に、青年のような声はガクッと項垂(うなだ)れたようだった。

「起こしてくる……かも?」

 小首を(かし)げたような言葉に、青年のような声は小さく溜め息を吐く。

「いや、いいよ。しばらくは仕事もないし」

「って、アレ(・・)はどうするの?」

「『監視者』の連中にでも見張らせておくさ。(やっこ)さんも退屈してるだろうしな」

「あら、連中も来ているのですか?」

 少年のような声に肩を竦ませたように返された言葉に、大人びた女性のような声がピクリと反応した。

 霜が見えそうな声色に、その場の空気が硬く張り詰めた。

 青年のような声は、それを敢えて無視する。

「あぁ。確か、今来てるのはハルートとマルートだったっけな」

「ちっ、あの馬鹿コンビか……」

 その名を聞いた途端、舌打ちと毒づきが聞こえた。

「……おい、素が出てんぞ?」

 目を細めたような声が、突然の豹変に向けられた。

 大人びた女性のような声は、注意されたことを特に気にするでもなく口調を戻す。

「あら失礼。ですが、あまり連中に任せ切りにするのは気が進みませんわね。暇過ぎて余計な事をしなければ良いのですが……」

「それに関しては、流石に連中も(わきま)えているだろう」

「どーだか。正直、あの二人って『監視者』ってガラじゃないでしょ」

「それはわかる……かも」

 本人達のいないところで、四つの声達は勝手な言い分を述べていく。

「まぁ何にせよ、」

 青年のような声が再び会話を遮った。

「事が事だけに慎重にはならないといけないが、こっちにも余裕があるわけじゃないんだ。仕事になったらきっちり働いて貰うぞ?」

 少し緊張感を帯びた声に、四つの声は各々の口調で返事をした。

「今度こそ、失敗は(ゆる)されない」



 歯車と糸は、既に廻り、絡み始めていた。



 ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。


 この小説を書き始めて約一年と二月、ようやく第一章が完結しました。


 というか、まだ序盤の序盤なのにこのペースって、一体いつになったら書き終えるんでしょうね。考えただけでもぞっとしません(汗)


 何はともあれ、これから物語は徐々に展開していくわけですが、第二章に入る前に物語の補完の意味でサイドストーリーを描く予定です。というかさわりの部分は数か月前に既に書き始めてました。


 そちらは別冊扱いとさせて頂きますので、書き終わり次第活動報告とこのあとがきにて伝えさせて頂きます。


 それでは引き続き、拙作を宜しくお願い致します。


                                                        2012.02.22

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