第二部 第166話 修正できないもの
白い世界が。
割れた。
深く。
大きく。
静かな場所。
初めて。
悲鳴を上げる。
“核”。
世界そのものみたいだった何か。
重力を纏った拳。
真正面。
叩き込まれる。
轟音。
白。
修正。
法則。
全部。
陥没する。
沈む。
歪む。
壊れる。
感情のない声。
初めて。
乱れる。
『修正異常』
短い。
『理解不能』
『排除不能』
世界そのものが。
震えた。
押し潰す。
消す。
修正。
全部。
一気に落ちる。
士郎へ。
だが。
止まらない。
黒い靄。
違う。
重力。
深く。
深く。
白い世界を沈ませる。
士郎が低く笑う。
「遅ぇ」
短い。
踏み込む。
轟音。
二発目。
拳。
“核”へ。
白い世界。
さらに割れる。
崩れる。
次の瞬間。
——止まった。
押し潰そうとしていた圧。
歪んでいた距離。
狂っていた時間。
全部。
唐突に静まる。
外側。
白い人型達が。
糸の切れた人形みたいに崩れた。
砂になり。
消える。
笑うものが。
完全に固まる。
『……え?』
短い。
『止まった?』
セレナの目が。
静かに開く。
小さい声。
「修正が……停止した?」
翔の煙が細く揺れる。
右手。
少し上がる。
沈黙。
“核”を見る。
違う。
その奥。
割れた白。
一本。
繋がる。
翔が動く。
静かに。
一歩。
前へ。
士郎が目だけ向ける。
低く。
「居たか」
翔が短く頷く。
それだけ。
右手。
僅かに動く。
次の瞬間。
——消える。
深い白。
割れた奥。
“何か”の気配。
唐突に。
死ぬ。
白い世界が。
完全に。
静かになった。




