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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』第三章 『虚無界侵蝕編』
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第二部 第136話 終わりの雨


黒い海が裂ける。


墓標のように刺さっていた剣。


折れた聖剣。


王冠。


終わった王達の残骸。


全部。


空へ浮く。


一本。


十。


百。


終わりが。


再び空を埋めた。


墓底の王。


細い身体。


壊れた鎖。


砕けた杭。


それでも。


立っている。


空洞が。


翔を見る。


『殺せると思うか』


低い声。


壊れた響き。


『終わりを』


沈黙。


翔は煙を吐く。


短く。


「知らん」


少し間。


右手を見る。


「まだ届いてない」


静かな声。


「でも」


墓底の王を見る。


「死ぬ感じはある」


短い。


事実だけ。


士郎が鼻を鳴らす。


「怖ぇ言い方すんな」


次の瞬間。


落ちる。


終わりの雨。


一斉。


黒い剣。


沈降。


距離。


感覚。


全部。


終わりへ沈む。


士郎が踏み込む。


真正面。


拳。


轟音。


黒い剣が砕ける。


だが。


止まらない。


次。


また次。


降る。


士郎が低く舌打ちする。


「鬱陶しいな」


沈む。


届かない。


終わる。


それでも。


前へ。


拳。


蹴り。


踏み抜く。


黒い海が裂けた。


翔は動かない。


見る。


墓底の王。


沈む距離。


終わる空間。


そして。


右手。


届いていない。


そのはず。


少し間。


一歩。


前へ。


違和感。


指先。


ほんの僅か。


“近い”。


空気が揺れる。


一瞬。


墓底の王の肩口。


霧が掠めたように。


輪郭が。


わずかに揺れた。


翔の目が細くなる。


静かな声。


「……今の」


右手を見る。


届いていない。


だが。


少しだけ。


触れた感覚。


違う。


“気配”に。


近い。


笑う者が少し笑う。


『嫌だね』


少し間。


『近付き始めてる』


士郎が剣を砕きながら。


低く。


「だから何だ」


笑う者が肩を竦める。


『多分』


翔を見る。


『終わりとか』


少し間。


『距離とか』


静かな声。


『そういうの』


少し笑う。


『無意味になる』


黒い海が。


深く軋む。


墓底の王が。


初めて。


ゆっくり。


一歩下がった。

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