表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』第三章 『虚無界侵蝕編』
345/464

第二部 第120話 墓守


黒い海は静かだった。


波もない。


風もない。


ただ。


沈んだ世界だけが続いている。


崩れた塔。


折れた橋。


半分沈んだ街。


全部。


終わったものだった。


士郎達は歩く。


王の残骸を越え。


さらに奥へ。


気配が変わっていた。


重い。


静か。


なのに。


圧だけがある。


翔が煙を吐く。


少し間。


「近い」


短い。


士郎は周囲を見る。


沈んだ王国の跡。


剣。


冠。


玉座。


王ばかりだった。


低く息を吐く。


「随分、王が好きな場所だな」


笑う者が肩を竦める。


『逆だよ』


静かな声。


『王しか残れない』


士郎が視線だけ向ける。


『国が沈む時』


少し間。


『責務だけ残る事がある』


翔が短く言う。


「未練とは違う」


『うん』


笑う者が頷く。


『終われない』


少し間。


『そういう死に方』


静寂。


歩く。


足元。


黒い海に。


何かが沈んでいた。


無数の剣。


折れた旗。


王冠。


全部。


海底に刺さっている。


まるで墓標だった。


翔が止まる。


煙が少し揺れる。


静かな声。


「……いる」


前方。


闇。


いや。


座っていた。


巨大な影。


黒い海の中央。


玉座。


都市ほどある。


その上に。


何かがいた。


痩せている。


だが。


巨大。


王より細い。


なのに。


存在感だけが異常だった。


頭を垂れている。


顔は見えない。


周囲。


無数の剣。


王冠。


墓。


全部。


その影へ向いていた。


笑う者が珍しく笑わない。


『あぁ』


静かな声。


『墓守だ』


沈黙。


次の瞬間。


――カラン。


音。


一本。


剣が海へ落ちた。


影が。


ゆっくり。


顔を上げる。


空洞。


目がない。


なのに。


見られていた。


世界ごと。


覗かれる感覚。


低い声。


男とも女ともつかない。


古い。


壊れた声。


『……また』


少し間。


『王を連れて来たか』


士郎は動かない。


低く息を吐く。


静かな声。


「違うな」


少し間。


「通りすがりだ」


黒い海が。


静かに軋んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ