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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』第三章 『虚無界侵蝕編』
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第二部 第118話 王の終わり


黒い海が静かに揺れていた。


沈んだ城。


崩れた塔。


終わった国。


巨大な王は動かない。


都市ほどの剣を支えたまま。


死んでいる。


なのに。


まだ立っていた。


『守る気がなくても』


低い声。


虚無界そのものが軋む。


『背負う時は来る』


少し間。


『気付いた時には遅い』


沈黙。


士郎は王を見る。


説教とは思わない。


脅しとも違う。


経験だった。


低く息を吐く。


「……お前もか」


静かな声。


王の目がわずかに動く。


『気付けば』


少し間。


『国があった』


沈んだ街を見る。


『気付けば』


低い声。


『守る者がいた』


崩れた王冠。


折れた剣。


沈んだ文明。


全部。


終わっている。


それでも。


王だけが残っていた。


翔が煙を吐く。


静かな声。


「終わってない」


王の目が翔へ向く。


翔は黒い海を見る。


少し間。


「終わってるなら」


煙を吐く。


「まだ立ってない」


沈黙。


長い。


笑う者が少しだけ笑った。


『厳しいね』


王は答えない。


ただ。


ゆっくり。


巨大な剣を下ろした。


海が震える。


『責務は終わった』


低い声。


『国も沈んだ』


少し間。


『民もいない』


それでも。


王の目だけが。


まだ沈んでいなかった。


『だが』


静かな声。


『終われなかった』


虚無界が揺れる。


『王だったからだ』


士郎が少し黙る。


ユースが頭を過る。


笑っていた子供。


働いていた兵。


小さい国。


まだ弱い王。


低く息を吐く。


「……面倒な生き物だな」


王の口元が。


ほんの少しだけ動いた。


笑ったようにも見えた。


『そうだ』


静かな声。


『だから滅ぶ』


黒い海が静かに沈む。


王の身体。


崩れた鎧。


都市ほどの巨体に。


亀裂が走った。


笑う者が目を細める。


『あ』


少し間。


『終わるね』


王の視線が。


士郎へ向く。


最後だった。


『怪物』


低い声。


『あの王を』


少し間。


『沈めるな』


静寂。


そして。


巨大な王は。


ゆっくり。


黒い海へ崩れ落ちた。

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