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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』 第二章 『王の死んだ世界編』
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第二部 第90話 勇気


静寂。



風が。



止まった。



「……やる」



若い男の声が。



小さく。



でも。



逃げなかった。



士郎が、少し止まる。



そして。



笑った。



獰猛に。



「いい」


静かな声。



「じゃあ最初の仕事だ」



男が、目を見開く。



「え?」



士郎が、広場を見る。



鎧の男。



商人。



神官。



地主。



まだ。



顔を歪めていた。



そして。



民。



痩せた子供。



老人。



腹を空かせた人達。



全部。



見る。



静かな声。



「椅子取り終わらせろ」



風が。



止まった。



男が、固まる。



「……は?」



笑う者が、頭を抱える。



『急!!』



『ブラック企業より雑!!』



士郎が、鼻で笑う。



「王やるんだろ」



少し間。



「なら決めろ」



静かな目。



冷たい。



「誰助けて」



「誰切るか」



男が。



止まる。



怖い。



重い。



責任。



全部。



来る。



だが。



後ろ。



子供。



老人。



母親。



全部。



見えた。



深く。



息を吸う。



そして。



初めて。



前を見る。



静かな声。



少し震えていた。



「……食料庫」



広場が。



止まる。



男が、続けた。



「開ける」



商人が、顔を変える。



「なっ——!?」



男が、止まらない。



「子供」



「老人」



「怪我人」



少し間。



民を見る。



「腹減ってる奴優先だ」



風が。



揺れた。



神官が、怒鳴る。



「ふざけるな!!」



「蓄えを崩せば国が——」



男が、初めて遮る。



震えている。



でも。



逃げない。



「国って」



少し間。



怒った目。



「民が死んでも残るのか?」



静寂。



商人が、後退る。



鎧の男が、顔を歪めた。



「黙れ!!」



剣。



抜く。



その瞬間。



霧。



通り過ぎた。



静寂。



鎧の男。



崩れる。



終わり。



翔が、もう戻っていた。



煙を吐く。



静かな目。



「邪魔」



少し間。



「長い」



笑う者が、数秒止まる。



『早っ!?』



『しかも理由それ!?』



士郎が、腹を抱えて笑った。



「ハハッ!!」



そして。



男を見る。



静かな目。



少しだけ。



試す笑み。



「続けろ」



静かな声。

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