表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』 第二章 『王の死んだ世界編』
303/460

第二部 第78話 王の条件


風が。


少しだけ揺れた。



「戦争は終わらせたい」



男の声だけが。


広場へ落ちた。



笑う者が、少し止まる。



『お?』



『ちょっと王っぽいこと言った』



翔が、煙を吐く。



静かな目で。


男を見る。



「理想論だな」



少し間。



「弱い奴ほど最初にそれを言う」



男が、苦笑した。



「……否定できない」


静かな声。



「でも」



少し間。



子供を見る。



痩せた民を見る。



広場の怒鳴り合いを見る。



「腹が減ってるのも」



「怯えてるのも」



「もう見たくない」



士郎が。


少しだけ笑った。



獰猛ではない。



試すような目だった。



「で?」


静かな声。



「見たくないなら、どうする?」



男が止まる。



答えがない。



強くない。



金もない。



兵もない。



王になる方法なんて知らない。



沈黙。



そして。


小さく呟く。



「……分からない」


静かな声。



「でも」



少し間。



震えた声。



「やるしかないなら」



子供を見る。



パンを抱える小さな手。



「逃げたくない」



風が吹いた。



翔が、煙草を指で弾く。



灰が落ちる。



「弱いな」


静かな声。



少し間。



「でも」



「逃げない奴は嫌いじゃない」



士郎が吹き出した。



「珍しいな」



「お前がそこまで言うか」



翔は煙を吐く。



「腹減ってる奴に飯渡す奴は」



少し間。



「少なくとも退屈じゃない」



笑う者が、数秒止まる。



『評価がちゃんとしてる……!?』



『今日どうした!?』



その時だった。



広場で怒鳴っていた者達が割り込んできた。



鎧の男。



商人。



神官。



全員。


顔を歪めている。



「ふざけるな!!」



「こんな若造に国を任せるだと!?」



「平民だぞ!?」



「力も金もない!!」



士郎が静かに見る。



冷たい目。



少し笑う。



「じゃあ聞くけどよ」



老人。



子供。



痩せた民。



全部を見る。



そして。


三人を見る。



「お前らは今まで」



少し間。



「腹減ってる民に何してやった?」



沈黙。



誰も。



答えられなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ