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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』 第二章 『王の死んだ世界編』
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第二部 第72話 王様ごっこ


風が。


止まった。



「王様ごっこ続ける気か?」



士郎の声だけが。


街道へ沈んだ。



領主が。


震えていた。



地面。


泥。


血。


宝石。


豪華な服。



全部。


汚れていた。



もう。


威厳なんてない。



怪物を見る目。


恐怖。


屈辱。


怒り。


全部。


混ざっていた。



そして。


叫ぶ。



「ふざけるなァ!!」



絶叫。



「余は王となる男だ!!」



「次の王となるのは余だ!!」



「余こそが法だ!!」



震える指。


城へ向く。



「ま、まだ兵はいる!!」



「近衛兵!!」



「殺せ!!」



遠く。


城門。



黒鎧。


最後の近衛兵。


数十。


動く。



だが。


次の瞬間。



霧。



通り過ぎた。



それだけ。



首。


血。


崩れる。



終わり。



翔が。


もう戻っていた。



煙を吐く。


静かな目。



「長い」


静かな声。



「終わった」



笑う者が、数秒止まる。



『……は?』



『もう終わった!?』



『お前いつ動いたの!?』



領主の顔から。


血の気が消えた。



重力。



動けない。


逃げられない。



士郎が、ゆっくり歩く。



静かな目。



笑っている。


なのに。


冷たい。



怖い。


ただ。


怖い。



領主が。


崩れた。



「ま、待ってくれ……!」



掠れた声。



涙。


鼻水。


泥。



ぐしゃぐしゃだった。



「わ、悪かった!!」



「余が悪かった!!」



震える声。



必死に笑おうとする。



歪む。


醜い。



「こ、これからは民を助ける!!」



「税も減らす!!」



「食い物も配る!!」



「優しい王になる!!」



笑う者が止まる。



『胡散臭ぇ……』



『今思い付いただろそれ』



領主が、必死に頷く。



「ほ、本当だ!!」



「改心する!!」



「王を諦めてもいい!!」



「だから助けてくれ!!」



涙。


鼻水。


震え。



威厳なんて。


もうない。



ただ。


死にたくない。



それだけ。



士郎が。


止まる。



静かな目。



老人。


子供。


痩せた民。



全部を見る。



そして。


領主を見る。



少し笑った。



違う。


冷えている。



「……遅ぇよ」


静かな声。



少し間。



冷たく。



「散々奪われたあとに」



少し間。



「飯やるって言われても」



沈黙。



「もう信用ねぇだろ」



領主の顔が。


凍る。



士郎が、静かな声で告げる。



「王様ごっこ終わりだ」

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