第二部 第67話 王と呼べないもの
鐘が。
鳴り続けていた。
重い。
警戒音。
◇
城壁の上。
兵達が騒ぐ。
怒号。
槍。
魔導砲。
全部。
街道へ向けられていた。
◇
士郎達へ。
◇
老人が震える。
店の客達も。
民も。
青ざめていた。
◇
「に、逃げてくれ……!」
震えた声。
「あれは……!」
「逆らっちゃいけない……!」
◇
笑う者が、深くため息を吐く。
『もう遅い』
『この二人に逃げろは通じない』
◇
翔が、煙を吐く。
静かな目。
城を見る。
「弱そうだな」
静かな声。
◇
笑う者が、即座に突っ込む。
『まだ会ってねぇ!!』
◇
士郎が、少し笑った。
「会えば分かる」
静かな声。
◇
少し間。
獰猛に。
「王の格ってのは」
◇
その時。
遠くで。
重々しい音が響いた。
◇
城門が。
開いた。
◇
巨大な鉄門。
ゆっくりと。
左右へ割れる。
◇
その向こう。
騎兵。
黒鎧。
百。
二百。
整列。
◇
そして。
中央。
巨大な馬車。
◇
金。
装飾。
豪華。
無駄に。
豪華。
◇
翔が、少し眉を寄せた。
「趣味悪いな」
静かな声。
◇
笑う者が頷く。
『分かる』
『絶対強欲タイプ』
◇
馬車が止まる。
◇
ゆっくり。
扉が開いた。
◇
男が出てくる。
肥えた身体。
宝石。
豪華な服。
脂ぎった笑み。
◇
民を見る目。
家畜。
それだった。
◇
男が、鼻で笑う。
「貴様らか」
静かな声。
「我が兵へ手を出した愚か者は」
◇
士郎が。
止まる。
◇
静かな目。
笑わない。
◇
老人。
痩せた民。
子供。
◇
そして。
男を見る。
◇
沈黙。
◇
少し間。
◇
士郎が。
小さく笑った。
◇
違う。
冷えている。
◇
怖い。
ただ。
怖い。
◇
「お前」
静かな声。
◇
少し間。
◇
冷たく。
「王と呼べるもんじゃねぇな」
◇
空気が。
止まった。




