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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』 第二章 『王の死んだ世界編』
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第二部 第63話 王の飯

沈黙。



小さな子供が。



肉を見ていた。



痩せた顔。



細い腕。



腹が減っている。



それだけで分かった。



店主が、慌てて頭を下げる。



「す、すみません!!」



「見苦しいものを……!」



子供が、びくりと震える。



すぐに目を逸らした。



士郎の手が。



止まっていた。



肉。



子供。



薄いスープ。



痩せた客。



全部を見る。



そして。



静かな声。



「……飯」



「足りてねぇのか?」



店主の顔が曇る。



沈黙。



やがて。



掠れた声。



「王が死んでから……」


静かな声。



「税だけは……残ったんです」



笑う者が、小さく黙る。



店主が俯いた。



「兵が来て……」



「領主が変わって……」



「食べ物も」



「金も」



「持っていかれて……」



震えた声。



「残るのは……骨みたいな暮らしです」



空気が重くなる。



翔が、酒を飲む。



静かな目。



子供を見る。



そして。



皿を押した。



肉。



静かに。



子供の前へ。



店主が止まる。



「え……?」



翔が、煙草を咥える。



静かな声。



「食え」



子供が目を見開く。



笑う者が数秒止まった。



『え?』



『優しい!?』



翔が、少しだけ眉を寄せる。



「うるさい」


静かな声。



「見てて鬱陶しい」



士郎が止まる。



そして。



吹き出した。



「ハハッ」



「お前も案外そういうとこあるな」



翔が煙を吐く。



静かな声。



「腹減ってる奴は」



「動けない」



士郎が。



少しだけ目を伏せた。



遠くを見る。



燃える街。



痩せた民。



王を失った国。



そして。



小さく笑う。



冷たく。



「……終わってんな」


静かな声。



立ち上がる。



空気が沈む。



笑う者が嫌な顔をした。



『あ』



『これ嫌な予感する』



士郎が、静かな目で店主を見る。



「この辺で」



静かな声。



「一番偉い奴どこだ?」



沈黙。



店主の顔から。



血の気が引いた。

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