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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』 第一章 『外界侵入編』
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第二部 第50話 煙

静寂。



『終わった』



『もうこの人』



『煙草切れねぇ』



笑う者の声だけが、路地へ沈んだ。



士郎が、腹を抱えて笑う。



「ハハッ!!」



「これで機嫌直ったか?」



翔は、煙を吐く。



静かな目。



気怠そうに肩を竦めた。



「少し」


静かな声。



笑う者が、本気で頭を抱えた。



『安っ!!』



『世界壊しかけた奴の機嫌の直し方が安すぎる!!』



静寂。



煙草屋の店主が、少しだけ笑った。



震えていた顔。



ようやく。



少しだけ。



力が抜けていた。



「……助かった」


静かな声。



「本当に」



深く頭を下げる。



黒服達も、何も言わない。



もう。



逆らう気配はない。



街の支配者も。



沈黙していた。



恐怖は残る。



だが。



目が違う。



士郎を見る目。



翔を見る目。



敵じゃない。



“触れてはいけないもの”。



笑う者が、小さく肩を竦めた。



『これで終わりかな』



『煙草も手に入ったし』



『街も救ったし』



士郎が、少し笑う。



「救った覚えねぇけどな」


静かな声。



「煙草屋守っただけだ」



翔が、煙を吐く。



「結果だ」


静かな声。



笑う者が、数秒止まる。



『……え?』



『今ちょっと相棒っぽかった』



士郎が吹き出す。



「今さらだろ」



静寂。



その時だった。



街の奥。



遠く。



警鐘。



低い音。



重い。



何かが。



近付いている。



笑う者の輪郭が、ぴたりと止まった。



『……あ』


静かな声。



『早くない?』



士郎が、少し笑う。



獰猛に。



「何だ?」



笑う者が、露骨に嫌そうな顔をした。



『街の上位戦力』



『来た』



静寂。



翔が、煙草を指で弾く。



灰が落ちる。



静かな声。



「一本吸う暇はあるか?」



笑う者が、空を見上げた。



『多分ない』



『あいつら、空気読まねぇし』



その瞬間。



空が。



静かに歪んだ。



夜空の中心。



何かが。



こちらを見ていた。

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