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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』 第一章 『外界侵入編』
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第二部 第39話 半分の怪物

静寂。



「試してみるか?」



翔の声だけが、 境界へ沈んだ。



冷たい。



静か。



なのに。



空気が変わった。



笑う者が、 初めて気付く。



違う。



“薄くなった”。



翔の気配。



いや。



削ぎ落ちた。



余計なものが、 消えていく。


静寂。



“それ”が、 止まる。



初めて。



僅かに。



観測が揺れた。



『危険度再更新』



『規格外変動確認』


静かな声。



士郎が、 少し眉を動かす。



そして。



笑った。



「へぇ」


静かな声。



「久々だな」



「その顔」



笑う者が、 数秒止まる。



『……え?』



『何が変わった?』



士郎は、 楽しそうに肩を竦めた。



「無駄が消えた」


静かな声。



「こいつ」



「少し本気出しただけで怖ぇ」


静寂。



翔は何も言わない。



ただ。



歩く。



一歩。



音がない。



気配もない。



殺意もない。



なのに。



近い。



気付けば。



もう。



目の前。



笑う者が、 本気で凍った。



『え』



『速——』



遅い。


静寂。



翔の掌が、 静かに動く。



霧流掌。



ただ。



半分。



それだけ。



“それ”の周囲。



黒い輪が、 一斉に展開する。



存在隔離。



因果切断。



観測分断。



界吏を超える、 完全防御。



だが。



意味がない。


静寂。



翔の掌が。



届く。



違う。



“繋がる”。



防御を越え。



存在を越え。



気配そのものへ。


静寂。



“それ”が。



初めて止まった。



観測が乱れる。



輪が崩れる。



空間が軋む。



初めて。



声が揺れた。



『……接触』



『あり得ない』



翔が、 少しだけ笑った。



冷たく。



「遅ぇ」


静かな声。



「届いた時点で終わりだ」


静寂。



“それ”の身体が。



初めて。



静かに。



崩れ始めた。



笑う者が、 本気で絶句する。



『……は?』



『いや待て』



『界吏より上だぞ!?』



『なんでもう死にかけてんの!?』



士郎が、 腹を抱えて笑った。



「ハハッ!!」



「だから言ったろ!!」



「壊れてんだよコイツ!!」


静寂。



境界が、 静かに軋んだ。



“それ”が。



初めて。



後ろへ下がった。

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